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俺とお前のブラックシャインファング  作者: たかくん
第2章 仲間を増やして次の悪事へ...
19/31

◯悪事その⑦ 善男私刑晒し?

高評価・ブックマークよろしくお願いします!(作者のモチベーションに繋がります笑)


第18話



私がつい最近、神城先輩から初めてその話を聞いた時は色々な感情で複雑な気分だった。


(まさか、麺料理捕食魔逃亡劇が失敗に終わっていたなんて...とはいえ、悪役同盟の新メンバーとして笠武先輩...だっけ?優秀な人員になりそうなのは確かだけど...)


笠武藍夏というお嬢様によって初めて成功したとばかり思い込んでいた悪事が失敗に終わった事を知らされ、おまけに笠武先輩はこの映像をネタに自分を悪役同盟に加えてほしいとまで言ってきた。ハッキリ言って情報量が多すぎるというか...


(笠武先輩が自らの復讐のために悪役同盟を利用するのであれば上等というもの...私だって笠武先輩を利用すればいいんだもの...)


笠武先輩が麺料理捕食魔逃亡劇を失敗に終わらせた件については思うところがあるのは否定しない。だけど、それ以上に笠武先輩を悪役同盟の仲間に迎え入れる事はメリットがいくつもあるのだから...


まずは人員の増加。これは悪事を行う上での連携が少し難しくなるリスクこそあるが、単純に規模の大きい悪事を行える点は立派なメリットだ。


次に資金力。笠武財閥のお嬢様ならたくさんお金を持っているはず。そこを利用する事ができれば悪事を行う上での資金にも困らなくなるだろう。


最後に良心がそこまで痛まないという点も忘れてはいけない。神城先輩が勝手に助っ人認定したライナちゃんの時とは違って笠武先輩は自分から悪事に加担したいと言い出した存在...所謂私達の同類みたいなもの。そういう相手には必要以上の情を抱かずに済み、悪事にも支障が出る事はないと考えたのだ。













そして、今...


「改めまして私が笠武藍夏です。今日からお仲間としてよろしくお願いいたしますね。喜愛輝星さん。」


「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。笠武先輩...」


人気のない空き地にて互いに挨拶を交わしながらも私は相手の腹の探り合いも忘れない。笠武先輩の方も私の事をどういう人物か見極めたいのか、笑顔の裏で何かを探っている...みたいな雰囲気を感じた。


「一応、言っておきますが...私はまだあなたを完全に信用しているわけではありませんからね?」


「えぇ、分かっています。私としましても喜愛さんの信頼を得られるようにこれから頑張りますので...」


お嬢様らしく、本当に白々しい態度というかね...本心ではどう思っているのやら...


「おい、自己紹介は済ませただろ?そろそろ今回の悪事についての事を笠武にも...」


「えぇ、そうですね。笠武先輩にも説明しておかなければ...今回の悪事はズバリ善男私刑晒(ぜんなんしけいさら)しです。」


それまでは蚊帳の外だった神城先輩に急かされる形で私は本日の悪事について笠武先輩に説明を始める事にした。


「あらあら、中々素晴らしいネーミングセンスですね。」


「いや、ちょっと待て!どこがだよ!」


お約束の私の悪事の個性的なネーミングセンスは割と笠武先輩には好評みたいだった。それと、神城先輩は決して私の事をどうこう言える立場ではない。だって、あの人のネーミングセンスも大概だもんね...


「早速ですがその悪事の具体的な内容を教えていただけますか?」


「あっ、そういえば笠武先輩へは悪事の内容までは教えていませんでしたっけ。神城先輩、よろしくお願いします。」


「はいはい、分かったよ...いいか、良く聞いてろよ?」


少し文句を言いたげな表情をしながら神城先輩は今回の悪事...善男私刑晒しの具体的な内容について説明を始めたのだった...


内容自体は著名人のSNSアカウントに神城先輩がありもしない、でっちあげの捏造コメントをする事でターゲットの風評被害を誘うという意外とシンプルな悪事だ。実際にやるとしたら名誉毀損に相当する罪になる。


「おや?意外と単純な内容ですね。でしたら、別に私と喜愛さんが助太刀する必要がないような気がしますが...」


「いや、それがそうでもないないんだな。確かに俺が一人でやろうと思えばやれなくもないがそれだと面白味がないし、助っ人の存在意義がないだろ?」


う~ん、神城先輩はそう言うけど私達がやる事ってあるのかな?


「お前達二人にはターゲットを選別してもらう。正直、俺は人を見る目がないと分かったからな...ターゲットを二人で選んでくれ。条件は社会的にも影響を及ぼしそうな男性著名人だ!お前達も同性を冤罪のターゲットにするには若干の抵抗があるだろうからな...」


なるほどね...神城先輩なりに色々と考えているらしい...


「問題点があるとするならでっちあげが実は真実だったっていうパターンだな...それだと悪事としては成り立たなくなってしまう。」


「何を言っているのですか?仮にでっちあげの内容が真実だったとしても個人の名誉を傷つけた時点で名誉毀損は成立しますよ?刑法230条の常識ですね。」


「へぇ、流石は弁護士の娘...法律関係は詳しいんだな。」


「当然です...というよりかは神城先輩の知識がなさすぎるだけな気もしますが...」


昔からお父さんに教わったり、独学で勉強したりと法律関係の知識をある程度は身につけたつもりだ。もちろん、完全というわけではないけど...


「注意しないといけないのはそのでっちあげが万が一にも公共の利害に関する事実だった場合ですね。その場合、相手の社会的影響力によっては名誉毀損が成立しないですからね。」


「つまり、でっちあげの内容はターゲットの私生活によるものにした方が良いって事だな。」


「はい、その通りです。」


そう考えるとターゲットの方も慎重に選ばないといけないね...とりあえず、笠武先輩とも相談して...


「あの~、新参者ですが悪事のターゲットについて意見を述べてもよろしいでしょうか?」


「えっ?別に構いませんけど...」


急に笠武先輩が挙手したかと思うと、悪事のターゲットについて意見があると言い出した。まぁ、聞いておいて損はなさそうだから聞いておこうかな...


「ターゲットですが私は笠武財閥の人間を選びたいと思っているのですがどうでしょうか?ちょうど適任となりえる輩がいるのですが...」


「えっ?ちょっと待ってください!笠武財閥って笠武先輩の...」


「えぇ、そうです。お父様への復讐のためにも自分の財閥の人間がターゲットになって騒動になれば打撃を与える事ができますからね。それに神城君にも伝えましたが私は実家がどうなろうと関係ないと思っていますのでご安心を。」


「はぁ...」


そこまで言われたのなら反対するのも難しいし、特に指名したい人がいるわけでもなかった私は笠武先輩に従う事にした。



その後、


「神城君、ここにでっちあげの内容をよろしくお願いします。」


「よし、本当にコイツでいいんだな?」


「はい。」


「いくぜ...」


こうして、神城先輩は笠武先輩が指名した人物に向けてのでっちあげを書き込んだ。


ちなみに一見すると簡単そうに見えるこの悪事にはとある欠点もある。


「さて、上手く広まってくれたらいいが...」


「そもそも相手にされるかも心配ですね。」


それは結果が出るのに時間がかかるという点とでっちあげの内容が他のネット民から必ずしも信用されるとは限らないという点。



まぁ、こればかりは辛抱強く待つしかないよね...













ところがこの悪事が後に思わぬ事態を招いてしまう事を今の私は知らなかった...




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