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自称悪な俺と悪のお助けマンな後輩ちゃん  作者: たかくん
第2章 仲間を増やして次の悪事へ...
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●隣のクラスのマドンナは悪役令嬢?


第17話



俺は笠武の言葉を聞いて数十秒くらいは呆然としてしまった。いや、それほどまでに彼女の言葉の真意が理解できなかったからだ。


(いやいや!ちょっと待てよ...悪役同盟に入れてほしいって...いったい、笠武は何を考えているんだ?)


そもそもだが俺は瑠莉からの挑発、喜愛も父の死というきっかけがあったからこそ悪の道に走るのを決めて不本意ながらも悪役同盟を結成したのであって、自ら好んで悪の道に走って悪役同盟に入りたいという奴など普通はいないだろう。ましてやお嬢様として裕福で恵まれた家庭で育ったであろう笠武がわざわざそんな事を言い出す理由が俺には分からなかった。


まぁ、俺が知らないだけでそれ相応の理由があるかもしれないけどな...


「その...一応、理由を聞かせてもらってもいいか?俺からすれば笠武さんがこんな事を言い出す意味が理解できないんだが...」


「あっ、そうですよね...これから仲間となる方に隠し事など必要ありませんよね...分かりました。お話ししましょう...少し長くなりますが最後まで聞いてくださいね?」


「あぁ、もちろんだぜ。」


そして、笠武は俺に語り始めた。


「周囲から見た私の印象は家庭やお金に恵まれて毎日幸せな日々を過ごす勝ち組のお嬢様...みたいな感じですよね?ですが、私からすればそうではないのです...」


「.........」


「やりたくもない習い事をやらされ...毎日のように笠武家の名に恥じないように振る舞えと言い聞かされ...いいえ、ここまでならお嬢様として当然なのかもしれませんね...ですが、私が何よりも辛かったのは親から撫でてもらったり、温かい言葉をかけられたりといった愛情というものを感じた経験がなかったという事です。」


「親からの愛情...か...」


物語だとお嬢様の親が娘と深く関われないのには二つのパターンがある。


一つ目は娘に対して愛情こそ持ってはいるが家業や仕事が忙しいので関われる時間がないため。


二つ目は娘など自分や家の道具でしかないと見なしてそこまで関心を示さないため。


笠武の場合、愛情を感じたという経験がないという話からして後者のパターンなのだろう。


「お母様は私を生んだ直後に亡くなり、お父様は残された私には無関心でした...お父様は仕事を理由に私と一緒に暮らす事もなく、普段はここから遠い本邸で生活しています。ハッキリ言って父の顔を見る機会は年に1回か2回ほどですね...ちなみに私は執事や使用人の方に支えられて生活しています。確かにお金にこそ恵まれましたがそれは私が心から望んでいた暮らしとはかけ離れていたのです。」


そう話す笠武の表情は徐々に険しいものになっていく。


「ですから、決めたのです。私を愛してくれなかったお父様に復讐をすると...」


「なぁ、お前の復讐と悪役同盟に何か関係でもあるのか?」


「大有りです。この私がとてつもない悪事を働いてそれが公になればお父様に...笠武財閥に大きな打撃になるでしょう。いくら関心がないとはいえ、私はあの人の実の娘である事は紛れもない事実なのです。風評被害で潰れた企業はこの世にいくつもありますからね。まぁ、笠武財閥はその程度では潰れはしないでしょうけど打撃を与える事ができるのは確か...これが私の考えていた復讐でした。」


「それで偶然にも悪役同盟の存在を知って自分の復讐に利用しようってか?」


「利用...まぁ、あながち間違いではありませんね。」


ここまで聞いて思ったが笠武財閥に打撃を与えるという事は...


「.........私の将来や生活にも悪影響を及ぼす。そう言いたいのですね?」


「おう...」


頭の中で考えていたつもりが途中から口に出してしまったらしい...


「それについては心配ご無用です。復讐が成し遂げられたら後の事はどうなってもいいと思っています。何なら、この命を...」


「お前の覚悟は分かったから!これ以上は言わなくていい!」


その先の台詞を大体は予想できてしまった俺は慌てて笠武を遮った。できれば言わせたくもないし、聞きたくもない。


「では、入会費も払いましたし...私を悪役同盟の仲間として受け入れていただけますでしょうか?」


「いや、入会費って何だよ?」


「ふふっ、お忘れですか?二人分のラーメン代の事を...」


「そうだったな...」


さて、どうしたものか...少なくとも俺の口からは上手く断れそうにないな...いや、そうだ!


「はぁ...とりあえず、喜愛の了承が得られたらな?もしも、喜愛が嫌がったら諦めてくれよな?全く...とんでもない悪役令嬢がいたもんだぜ...」


「ありがとうございます!ふふっ、お褒めの言葉として受け取っておきますね♪」


「褒めてねぇし...」



まぁ、前に俺が宇來を助っ人認定した際も難色を示した喜愛の事だ。きっと今回の件も嫌がるに違いないからアイツの口から断らせるとするか...













「...それでしたら、大歓迎ですよ?」


「えっ?喜愛、済まないが...もう一度言ってくれないか?」


「大歓迎と言いました。その笠武先輩という方にもそう伝えておいてくださいね?」


「おいおい...」



...いや、何でそうなるんだよ!?




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