◯私達はハーレム要員ではございませんっ!
せっかくなので3連休連休投稿!
第12話
「よし、いいですよ!あともうちょっとで...うわぁ!惜しい!」
「くっそ...このクレーンゲームって裏で店側が確率を操作しているんじゃないのか?いや、まさかな...」
「そう考えてしまうくらいに当たりませんよね。クレーンゲームって...」
「全くだ!」
私達は初めての悪事の成功の祝いとして共にゲームセンターで束の間の娯楽の時間を過ごしていた。
(うん、たまには息抜きとしてこういうのも悪くはないからね!)
ちなみにここに来る少し前には神城先輩の奢りで飲食店にて美味しい昼ごはんをありがたく~頂いていた。本当に人のお金で食べるごはんって美味しいんだよね...
...と、そんな時だった。
「あれっ?輝星さんじゃないですか!お久しぶりです!」
「ライナちゃん!?」
「はいっ!」
悪事その②で知り合った日本とウクライナのハーフ美少女の宇來ライナちゃんと偶然にも再会した。どうやら、彼女もこのゲームセンターを訪れていたらしい。
「それと隣にいる...誰でしたっけ?」
「いやいや!神城豪牙だよ!忘れたとは言わせないからな!」
「あっ、そういえばそうでしたね。私と輝星さんの出会いという良いムードをぶち壊しにしちゃった神城先輩ですね?」
「空気が読めなかったのは謝るけどよ...俺への当たりが半端じゃない気がするんだが?」
ライナちゃんが神城先輩に対して当たりが強いのは何でだろうね?私みたいにスカートをめくられたわけでもないのに...
「それでお二人はどうしてここにいるんですか?」
「えっ?まぁ、簡単に言うなら数日前に良い出来事があったからそのお祝いで遊びに来ちゃった~みたいな感じかな?ついでに昼ごはんを先輩からご馳走になったし!」
実際のところの私達は食い逃げに成功したお祝いとしてここに来ちゃってるわけだけど...流石に馬鹿正直に話すわけにはいかないからね?軽蔑されかねないよ...
...なんて、思っていると私の返事聞いたライナちゃんが何故だか頬を膨らませてプルプルと震えている。これはまるで怒りを堪えているかのような?
「輝星さん!まさか、神城先輩と...デートをしてらっしゃったんですか!?あんな神城先輩なんかと!?」
「えっ?」
いやいや!デートなんて好きな人とするものじゃないの!?私と神城先輩は別にお互いにそういう感情はないはずだし...
「違うよ?別に私は神城先輩の事は小心者の悪になれないダメ男というイメージではあるけど恋愛感情はないし...」
「恋愛感情に関係なく、男女がこうやって二人っきりでゲームセンターを訪れるのは世間一般ではデートというのだと昔の父からおそわりましたけど?」
「いや、でもね...」
これは困ったね...何とかライナちゃんの誤解を解いておかないと後で厄介な事に...
「おい、ちょっと待て。お前らの中の俺ってどういう認識な...」
「「あなたは黙っててください!」」
「はい...」
私とライナちゃんはどうやら、互いに神城先輩が口を出すと都合が悪かったのか見事に台詞が一致した。
中々に息ピッタリ...って!今は喜んでいる場合じないんだよ!?
「あっ!そうです!デートじゃないって事は私がお二人に同行しても大丈夫って事ですよね?」
「えっ?まぁ、それで誤解が解けるなら...神城先輩もそれで構いませんよね?」
「はぁ、もう勝手にしろ...」
そう...ライナちゃんの同行を許した場合は私にとってメリットは3つもある。
まずはせっかくのお祝いなので人が増えれば楽しくなりそうな点。次にライナちゃんの誤解を解ける点。最後に私にとって初めてのお友達といえるライナちゃんと一緒に遊べるという点だ。
「決まりですね!では、私も同行させてもらいます!」
「決まったからには仕方ないか...ライナちゃんも一緒に楽しもうね!」
「輝星さん、ありがとうございます!」
私の返事を聞いたライナちゃんは本気で喜んでいる表情をしていた。
「神城先輩~!次はあそこのUFOキャッチャーに行きましょう!早く!」
「輝星さんがUFOキャッチャーをやりたいというなら私も!ほらっ!神城先輩、急いでくださいよ!輝星さんの手を煩わせないでくださいね。」
「痛ててっ!ちょっ!お前ら、分かったから引っ張るな!特に左腕はやめろって!まだ痛いんだからな!」
それからはライナちゃんも加えてゲームセンター巡りは続いた。
しかし、どうも何かがおかしい...周囲がやけに私達の方をチラチラ見てて中にはヒソヒソと会話している人達までいるんだけど何でかな?
「ねぇ!そこの二人のお嬢さん達!そんな冴えない男のハーレム要員なんかになってないで良かったら俺と遊び...って!げっ!」
「あん?確かあなたは前にライナちゃんをナンパしていた屑男の片割れじゃないですか?」
「ひいっ!」
せっかくの私達の楽しい一時に何で水を差すんだろうね?この馬鹿は...おまけにこの様子だとまだ懲りてないみたいだし...
「...あのさ、また私にボコられたいわけ?痛い目に遭いたくなかったらさっさと消えなよ。それと私達の前には二度と現れないで...」
「はっ...はいっ!すみませんでしたっ!」
私が殺気を出してそう言い放つとナンパ男はあの時のトラウマが甦ったのか、一目散に逃げていってしまった。同時にこの光景を見ていたのか、それまでは私達の事をチラチラ見てヒソヒソと喋っていた人達も慌てて遠ざかっていくのが見えた。
「あっ!もしかしますとあの人達は神城先輩が両手に花感覚で私達と遊んでいるのが許せなかったみたいですね。醜い...」
「全くです!許せません!」
「その...お前ら...俺の事を...」
なんか神城先輩が勝手に誤解して感動した様子なんだけど、あなたのために怒っているわけじゃないからね?私とライナちゃんが許せない事はただ一つ!
「何で私が神城先輩のハーレム?頭が腐っているんですかね?」
「そうですよ!私達が神城先輩を好きになるなんて100...いいえ、1000歩譲ってもあり得ないのに...」
「はいはい!一瞬でも期待した俺が馬鹿でしたよ~だ!こっちだって1万歩譲ってもお前らと付き合うなんてあり得ないから安心しろよ!?」
人を勝手にハーレム要員にしないでほしいって事だ!それ以外にないもんね?