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思考経済

作者: 出雲 寛人

貨幣の経済の世界に革命が起きた。


お金というものが無くなった。


クレジットなどのデータ上のものも全てだ。


そして代わりに、思考経済となった。


例えばパンを思考で買うということだ。


この革命により、思考量が多ければ多いほどぷくぷくとあたまは拡大していく。


逆に、何も考えずにいると風船が萎むように縮小していく。


何かを思考で購入した時、その分頭が小さくなるのだ。


私の彼氏はいつも考えている性格なので、頭がいつも大きくなっていって、羨ましくなる。


お金持ちならぬ、思考持ちだからだ。


私はというと、考えずに行動する派だったので、いつも小さな頭をしている。


毎日卵を買うので精一杯だ。


私のような行動派に対しては、計算ドリルが国から与えられた。それを一日5問解いていくことで縮小を最小限に止めることが出来る。


今までは、考えてなくても行動することで結果は付いてきたが、この革命によって変わってしまった。


今では行動しなくともただ家の中で考え続けているだけで、巨万の富(思考)が手に入る。


こんな世界でいいの?


そして彼氏は毎日膨大な思考をしているので、常に頭の大きさ一位の巨万の思考人となった。


今では彼氏の頭は大気圏を突き抜けて、太陽が見えなくなってきた。ヘアスタイルとかもはや誰も見れないし構えない。


そしてついに地球と同じ規模になり、頭に重力が発生した。


私はこんな頭に重力が発生するような彼氏と付き合っていて幸せなんだろうか?

というかそれは人間なのだろうか?


彼氏に思っていることを素直に伝えた。


すると突然彼氏の頭は私と同じくらいに萎み、少しの懐かしさと、やはりこの人が好きだという感覚があった。そしてその手には小さな箱があった。


そして彼氏は跪き、箱を開け


「結婚してください。」


と言った。


箱の中には指輪があり、指輪の内側は暗黒であった。


「ごめん、みんなが消えてなくなる前にプロポーズしたかったんだ。」


「どういうこと?」


「思考しすぎて、重力発生して、それでもまだ思考は加速して、とうとう超新星爆発みたいなものが起きてこのブラックホール指輪が誕生したんだ。」


「みんながその指輪に吸い込まれちゃうってこと?」


「そういうこと。けど、どうしようもできないんだ。」


「分かった。これでもう計算ドリルしなくて良くなるんだね。」


「そうだね。結婚してくれる?」


「もちろんです。」


そして婚約者は私の薬指に指輪をはめた。


2人の表情は柔らかく、心は温かで、永遠に感じられるひとときだった。


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― 新着の感想 ―
現実恋愛というか、とんでもSFやんw 大気圏を突き抜けた頭部を支える彼氏の首の強度に乾杯。 そしてブラックホールを閉じ込めることが出来る箱のすばらしさ。
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