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「さて、お戯れはこの辺にして。君達の力量を計らせて貰おうかな」


「人の性癖で戯れないで欲しいんすけど」


「まだろっこしいのはナシだよ。とっても簡単」


 トリスさん普通にスルーされとる。かわいそ。えっ、ざまあみろなんて思ってませんよ! やだなぁ!


 ところで、結局どうやって私達の力を……


「戦えばすーぐわかるさ!」


「っ! おばあちゃん!」


 レオルカさんは、右手をこっちに向けていた。何か来る、と思った私はすぐにおばあちゃんの前に出る。何が来るのかはわからないから取り敢えず両手を交差して備えた。

 すぐに何かが物凄い衝撃で腕にぶつかってきて、私は倒れそうになるのをぐっと耐える。


「千冬!」


「いきなり何すんですか! せめて声をかけてくれません!? こちとらか弱い乙女と女神ですんで!」


「そんだけ悪態つけるんならまだまだ平気だね! 次は炎やるよ!」



 そう言った瞬間、レオルカさんの手からバスケットボールくらいの火の玉が出現して勢いよくこちらへと向かってきた。

 えっちょっうそでしょ!?

 喰らったらやばいやつじゃん! 

 急いでブレザーを脱いで、向かってくる火の玉をはたき落とす様にブレザーをぶん回した。

 火消しの時に服とかをばっさばっさして消すイメージでやってみた。


「!」


「あ、弾けた」


 よ、良かった! な、なんとかなるもんだな!


 というか戦えば、ってことはこっちも攻撃とかしないといけないのかな?

 無茶じゃね!? 魔術? の使い方わからないし武器とかだってないよ! 丸腰!

 あ、あんまりおばあちゃんから離れたくないけど、取り敢えず一発喰らわした方がいいんだよね?


「あーもう!」


 考えてる暇ないな!

 私はレオルカさんに向かって駆け出す。


「ほうほう! 勇敢だな! 本当に普通の女の子かあ!?」


 勿論ですとも!! ごく普通の、ちょっぴりやんちゃな女子高生です!

 なので、多少は卑怯な手を使うのは致し方ないよね!

 また何かしようと手をこちらに向けてきたので、私も右手を思い切り振りかぶる。


「喰らえ! 目潰し!」


「うわ!」

 

 ザアッと砂が勢いよく舞ってレオルカさんは目を開けていられなくなったのかぎゅうっと目を瞑った。まずは視界を奪わなきゃね。

 そしてその勢いのまま飛び上がり、横回転しながら腹を蹴り付けた。


「ぐっ」


「どーですか! 私のローリングソバットの味は!」


 自己流だけど結構良い感じだったと思う。


 レオルカさんようやくここで目を開けた。顔は笑っているけれど、少し赤くなった目は笑ってない。

 おい仕掛けてきたのそっちだろ、何怒ってんだ。


「はあ〜……。どーぶつか君は。まさかこんな手使うとは思わなかったよ」


「えっ、そんな。こんな無力でか弱い乙女が普通に渡り合えるわけないじゃないですか。このくらいのハンデはいただかないと」


「千冬。無力でか弱い乙女はローリングソバットなんてプロレス技をかけません」


 呆れたおばあちゃんの声が聞こえた。


「ち、違うよ、おばあちゃん。これは正当防衛だから、普段から常用してるわけじゃないなら、違うよ。今日が初のお披露目だから、ほんと」


 や、やばい、おばあちゃんには慎ましやかにお淑やかに過ごす様に言われてるんだ。

 ちょっとだけ、長峯に手伝ってもらったけれども喰らわしてはない。本当に。

 あ、でもはるちゃんを襲おうとした不届き者がいたのでそいつで試したな。あの時は、顔面に当たったしその後受け身も取れずに尻もちついた。


 なんて、いつかの出来事を思い出していたら、レオルカさんが何かをしようとしていることに気づく。

 やばい、今私とおばあちゃんは割と距離がある。

 おばあちゃんの所まで走っても、間に合わないかもしれない。


「っ、」


 多分この時、今まで生きてきて一番頭の中を回転させたと思う。

 結果私は、おばあちゃんに走り寄って庇うよりも、レオルカさんに飛びつく事に決めた。

 間に合わず私に当たるか。飛びつくのに間に合うか。間に合えば軌道はずれるはず。最良の策のはず。


 そんな私の思惑は、バレていたのだろうか。


 レオルカさんが放った魔法? で私は大きく吹っ飛んだ。

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