表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/42

6

 しばらく進んで行って、歪みがあると言う森へと到着した。

 ひえ、ガチの森じゃん……。森なんて殆ど行った事ないよ。虫とか大丈夫かな……。いや虫どころの話じゃないんだよな。魔物がいるんだった。よくわからないけれど、得体の知れないモノは怖いし、フレドとレオルカさんが瞬殺したといえどあれは脅威だった。

 もしかして、おばあちゃんもああいうのに会っちゃったりしたのかな。

 だとしたら、やっぱりおばあちゃんを怖い目に合わせる訳にはいかないよね。同行どころかおばあちゃんにはお留守番してもらいたいな。

 いや、それもちょっと嫌だな。うん、同行が一番だ。


「あ、魔物。チフユ止まって」


「ウッス」


 制止されて素直に止まる。見ればそれは大きな猪みたいな生物がこちらを殺気むんむんに睨んでいた。こわぁ……。突き出た牙も、ありえないくらい大きくて、基本的に魔物ってサイズがバグっているとしか思えない。

 小型サイズはいないんです……?


「群れじゃないしサクッとやりますね」


 そんな事を言って、サクッと一太刀で首を落として仕留めるフレドに私はこいつはやはりおかしいと心の底から思うのだった。

 

「……おかしい」


 ぽつりとフレドが呟いたのは、森を小一時間ほど進んだ時だ。

 その言葉に、えっ自己申告? 奇遇だね私も君達おかしいと思うよ。と茶々を入れるのを堪えた。というか、あんなに平然とさくさく魔物を始末していたのにいきなり何なの。さっきまで普通だったじゃん! 何でいきなりそんな不穏な感じなの!? どうやら、森の様子がおかしいらしい。

 他の人達も、だよなと言わんばかりの顔をしていた。

 ちょっとそういうのは早めに言ってほしい。私は普段の森の様子など知らないわけで、この森怖いなとびくびくしながら歩いていたんですよ。普通の女子高生なら「あり得ないんですけど〜。とりま帰って寝るわ。乙」ととっくに踵を返しているところだよ。


「魔物が少なすぎる」


「す、少ないの? もう三体くらいは退治してなかった?」


「大型のヤツしかいなかったろ。小型や中型の魔物が一切出て来てない。……静かすぎるんだよ」


「そ、そっか。確かに、鳥の鳴き声すらないもんね」


「そういうこと」


 確かにそうか。

 一番最初に、今この世界では魔物が増えて……とか言っていたもんな。す、少ないのかぁ。割ともういっぱいいっぱいなんですけど。グロは苦手なもんでですね。


「多分だけど。やばいのがいるんだろうね。弱い奴は逃げたか隠れたかしたんだろう。危険を察知したわけだ」


「な、なるほど?」


 やばいのってどういうこと!? 今までよりやばいのがいるってこと!?

 今までもやばいのしかいなかったのに!?

 平静を装ってはいるものの、普通に怖いんですが。

 

「あとは、捕食された可能性もあるかなぁ。ま、どっちみち、心構えはしとこっか」


 なんて事ないようにレオルカさんが言うけれどもそんなさっくりとした感じじゃないよね? 緊張してるの私だけなの……?

 そう思い、周りを見渡してみたら、レオルカさんとフレド以外は緊張した面持ちで少し安心した。異世界人の私が感覚ずれてるわけじゃないようだ。王子は引き攣りながらも「ふん、面白いじゃないか」とか言っていたけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ