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 ぷんすか怒ってるフレドに、適当に謝ってから私はまた食事を再開する。


「……今頃おばあちゃんどうしてるかな。心配だよ。あんな完璧な女性中々いないもの。あんな男所帯に一人なんて心配が過ぎるわ」


「……一応おれの所属してる隊だしフォローするけどな。大体皆若い女が好きだから心配ないと思うぞ。お前の祖母だろ? なら五十はいってるだろ?」


 それはフォローなの?

 若干貶してない? 


「何だお前おばあちゃんの事年増だとでも言いたいのか? 五十四のおばあちゃんだけどめちゃめちゃに若々しいし才色兼備で思いやりがある女神のような人なんだぞ。歳なんて関係なく好きになる可能性は十分にあるでしょ」


「またキモい返答が来たな……」


「キモいとは! なんだ!」


 その若干引いた感じやめてくれんかなぁ!

 呆れ返った顔でフレドは息を吐くと、手に残っていたサンドイッチをぱくりと口へと放り込む。

 しっかりと咀嚼して飲み込んでから、私へと向き直ると、「いいか?」と言い聞かせるように私を見据える。私は怪訝な顔を返した。


「お前の祖母がどんだけ若々しいのか知らんけどな。大体十代二十代で、割と危険な事してるおれらは才色兼備だ思いやりだなんだはどうでもいいんだよ」


「ん?」


「取り敢えず、顔が可愛くてスタイルが良い若い女が好きなんだよ」


「はー!?」


 何だこいつ! いきなり中学生みたいなこと言い出したぞ!

 そんな目でおばあちゃん見て判断するな! 

 めちゃくちゃ腹立つから!


「ていうか女が苦手な奴が何言ってんの!?冗談でもやめろよな、おばあちゃんが査定されてると思うと腹立つ!」


「にっ、苦手じゃねえよ!」


 もういいよ、その感じ。苦手なのバレバレだもん。まあ突っ込むのも面倒くさいから特には言わないけど!


「まあまあ。チフユ、君の気持ちもよーくわかるよ? 心配だね。でもねぇ、騎士団の男共はチトセさんより君だろうねぇ」


「私? お世辞にも愛らしい顔はしておりませんが?」


「え? してるよぉ」


 語尾を伸ばすな語尾を。

 その手に持ってる蜂蜜みたいな甘ったるい声で言うな。そんな声音でそんな事を言うな。

 何か変な感じになるから。


 自慢じゃないけれども、生まれてこの方彼氏など出来たことがない。いや別に不思議じゃない。だってまだ十五だもの。

 その内イケメンな先輩あたりと付き合うようになるんだきっと。多分。

 そんなことを考えてることなど知らないはずのレオルカさんはにっこにっこしながら改めて私の顔を見つめる。そして何をどう考え及んだのかは知らんけれども、うんうん、と一人納得したように頷いている。

 何なんだ、一体。


「うん、やっぱりチフユは可愛いよ! 素朴で!」


「素朴ってつまり地味って事じゃん」


 知ってますよ割と地味顔な事くらい!

 その顔でドロップキックすんのかよ! ってヤンキーに言われたの思い出したわ。しちゃいかんのか? 地味な顔してたらしちゃいかんのか!? って言いながらやタックルかました事も思い出した。


「そんなつもりで言ったんじゃないんだけどなぁ。チフユは自分の賞賛も素直に受け止めた方がいいよ。そう、私は可愛いんだ! ってさ」


「いや、可愛くない。そもそも私のタイプじゃないんよな。私の顔」


「好みで自分の顔考えた事ねぇな。おれは悪くないと思うけど……」


「それは格好良いと思ってるのと同じでしょ。フレドは自分の顔好きなんだねぇ」


「ちが、おれじゃなくてお前の顔の事で……いや、別に可愛いとかそんなのはなくてだな」


 何慌ててんだお前。

 というかいらんから、その私の顔の評価とか! お世辞もいらん!

 もうやめよう! 顔の話は!

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