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 レオルカさん薄情すぎんか。私とコイツは会って0日ですよ。

 いやでも、別に会話する必要ないじゃん。ぼんやり待ってりゃいいんだ、うん。こういう時スマホがあればなと思う。そういやスマホはどうなったんだっけ? 鞄の中かな。

 帰ったら確認しよう。


「……おい」


「ん?」


 ぼんやりと待っていた私にフレドが話しかけてきた。

 まじか。ぶっちゃけ私達の間に要件なんてないと思っていたから少し驚いた。話す内容もないし。何の用だろう。

 フレドの方を見ると、何やらもごもごしている。何かを言いたそうにしながらも私の方は見ない。


「えっと、だな。その」


「?」


 本当に何なんだろうか。

 一向に何も言わず、もじもじしているフレドに思わず訝しげな顔をしてこちらを見ない顔をじっと見た。


「あの、本当に何?」


 待ちきれず問いかけた。フレドはぴくん、と一瞬体を跳ねさせてやっとこさこちらを見た。


「……しりとりでもするか」


「は? しないけど」


 即答した私にフレドはぴしりと固まった。

 何だ何だ。いやしりとりはしないよ。あんなに言い淀んでるから何かと思った。


「……お前」


 何でそうな不満そうな顔をするんだ。よくわからないヤツだなあ。


 ……もしかしてだけど、気まずいの気遣った?

 そんなの気にするヤツだとは思っていなかったけれども、一応、間を持たせようとしたのだろうか。それだったらすまん。でもしりとりはしない。

 私もなかなか空気が読めないな。


「何かごめん。気遣ってくれたんだよね」


「は? 別に気なんて遣ってねぇしお前なんかに。俺の知識量を見せてやろうと思っただけだし」


 拗ねてんのか? これ。知識量て、君絶対に脳筋じゃん。それとも本当に文武両道の何でも出来るタイプなのだろうか。

 いやいや、違うよ多分。こいつは勉強はからきしのはず。そうであって。

 欠点が口悪いのと女慣れしてないだけだともう少女漫画じゃんやめて。

 長峯? あいつは勉強は中の下で運動は中の上くらい。普通です。


「……もう私、割と限界レベルで空腹なんですけど。もういいかな。食べて」


「……待ってろって言われたろ」


「いやもう無理よ。餓死する。私は食べます」


 そのまま地べたに座ろうとした私をフレドは制した。何だ何だ、何を言われようと私は食べるぞ。

 じろりと睨んだ私の言いたい事がわかったのか、フレドは首を振る。どうやら食うなとかそういう意味ではないらしい。


「わかったけど、そのまま座んな、汚れるだろ」


 そう言って、ふぁさっとカゴにかかっていた布? を敷いた。どうやらここに座れという事らしい。


「え、これそんな用途のものじゃないでしょ」


「いいから」


「てか押し倒したのに今更」


「それを言うな!!」


 さっと顔を染めてフレドが声を荒げる。触れられたくなかったらしい。

 あまり弄るのも可哀想だし折角のご厚意だ。私は遠慮なく腰を下ろし座り込んだ。


 包みを解き、ぱかりと蓋をあける。


 おにぎり、リクエストの煮物。綺麗な卵焼き。


 最高のお弁当じゃん……。


「……変わった料理だな」


 少し感心したような声が降ってくる。

 見上げれば、フレドが不思議そうな顔でお弁当を見下ろしていた。物珍しいらしい。


「ふふん、おばあちゃんは料理上手だからね。全部美味しいし全部最高なんだよね。私は今一番の幸せを体現していると言っても過言じゃないわけよ」


「何言ってんだお前」


 私が今世界で一番幸せという事だよ。

 わからなくていい。レオルカさんもトリスさんに知られただけでも割と不服なんだ、教えないよ!

 お腹から虫の音が響く。もう無理です。


「じゃ、お先にーー」


「チフユー! フレドー!」


 その声に顔をあげると、レオルカさんが何かを持って物凄い勢いで走り寄ってきているのがわかった。

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