表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/42

6

「お腹空いたんでお昼にしませんか?」


 時計がないからわからないけれども、私の腹は空腹を訴えている。腹が減ったらそれが昼食だ。


「そうしよっかー。チフユは持ってきてるって言ってたね。フレド、食べに行こ」


「あ、おれも自分の分持ってきました」


 そう言ってフレドは荷物置き場へと走っていく。そんな後ろ姿にレオルカさんは「はあー!?」と大声を上げた。


「うっそだろ!? 君達二人なんなの!?オレ一人で食堂行かせる気なの!?」


「え? 別に行けばよいのでは? てかフレドと一緒に食べる気ないし……」


 どこか適当なところで一人で食べるつもりでしたが……。


 やんややんやと喚くレオルカさんに若干引いていると、籠を持ったフレドが走ってきた。うわお洒落。


「フレドは食堂で作ってもらったん? 確か騎士達の寮あるよな?」


「ありますけど。普通にこれはおれが作りました」

 

「はあー!? ちょっ見せろ! うわ、美味そうなサンドイッチ……」


 ふぁさ、とレオルカさんが布を取り去り、籠の中身を覗き込む。私も興味があったので覗いてみればサンドイッチが入っていた。

 たまごサンド、ハムとレタスのサンド、ポテトサラダのサンド、フルーツサンド。

 何人分だこれ。めっちゃある。

 てか種類豊富だし普通に綺麗で美味しそう。


「まあ作ったっつっても簡単なヤツっすけどね」


「いやぁこれはなかなかでは……てか量あるな?」


「まあ。腹減るんで」


 ああ、男の子はなぁ。長峯も最近食っても食っても足りないって言ってたしな。食べ盛りというやつかな。


「おっと、私もう食べていい? あの木のそばで食べるから」


 そう言ってその場を離れようとした私だったけれども、むんずと腕を掴まれてしまい足を止めた。なんやねん、と腕を掴むレオルカさんに振り向く。いやに爽やかな笑顔にひくりと口元がひきつる。

 よく見たらフレドも腕を掴まれていた。私と同じような表情でレオルカさんを見ている。


「……何すか?」


 同じ言葉をフレドも口にしていた。思いがけずユニゾンしてしまったのがなんか嫌だ。いやそこじゃない。


「今から、オレも食堂に行って何か貰ってくるから皆で食お」


 うげ。ちらりとフレドを見た。……多分同じ表情をしていると思う。面倒臭い。


「いやぁ男同士のひとときを女の子の私が邪魔するわけにはいきませんよぅ。私のことはお気になさらず」


 私なんかいいから男二人でお食べよ。良い笑顔にで言ったものの、すぐにフレドが口を開いた。


「いやいやおれは二人とは初対面ですし、お気になさらず二人で食ってください」


 あっずるい! でもそうはいかない!


「いやいや私もレオルカさんとは昨日会ったばっかだから! 私なんて住む世界が違うし!」


 ガチで世界が違うからね。ははは。

 色々言って一人飯をキメようとする私とフレドだったけれども、レオルカさんはそれを許さなかった。


「三人で食います! すぐ戻ってくるから待ってて!」


 そう言い残し、あっという間にレオルカさんは走り去ってしまった。

 その場に残された私とフレドは、それとなく顔を見合わせる。


 ……普通に気まずい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ