プロローグ
初めて書く、と言っても過言では無いです。
戦々恐々としてます。ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
「フッ、フッ、フッ、フッ、……」
「おはよ〜、煉〜」
日課の朝の竹刀の素振りをしていたら、隣に住む幼馴染の綾音が来ていた。
「いつもの事だけど、もうそんな時間か」
「そう、学校行く時間だよ」
「分かった。今シャワー浴びてくるから、その後すぐ準備する」
そう言って、俺は自宅に入り、ササッとシャワーを浴びてから通っている高校のワイシャツに着替える。
ここまではいつもと同じ流れだった。
「じゃあ行くか」
「うん!」
俺たちは、小学生から共に同じ学校に通い、同じ時間帯に登校していた。一時期そうでもなかったが、母親がいなくなってからは俺の事を心配したのか綾音がそばにいてくれるようになった。
正直長年ここまでしてもらって申し訳ないのだが、綾音には本当に感謝しかない。
しかし、長い間ほぼ絶えず一緒に居るとやはり周りが勘違いするようで、よく「お前らって付き合ってるの?」とかよく聞かれる。
俺からすれば、ここまで俺の面倒を見てくれる幼馴染に、恋人という役割まで押し付けてしまうのは避けたいところなので、とても迷惑な話なのだ。綾音にそのことを話すと、
「うーん、私たちが付き合ってるだなんて噂されると少し困るよね……?幼馴染だから"たまたま"一緒にいるだけだからね〜」
と、苦笑いされた。
綾音、『幼馴染』というだけではずっと一緒にいる理由にはならないぞ……同性ならともかくな。
「煉、今日の歴史の小テスト対策大丈夫?」
「ああ、昨日お前の部屋で一緒に勉強したから、結構自信があるぞ」
こう見えて、綾音は学年三位の勉学優秀な学年を代表する美姫として有名である。告白してフラれた男は数知らず……俺もフッている現場を見たことがある。
……ともかく、綾音は勉強が出来るのだ。俺は元々得意なわけではなかったので、自信が無い教科はよく綾音に教えを乞いている。
「そ、良かった」
「もしかしたら、綾音より高得点取れるかもよ?」
「あ、生意気〜」
少し照れてるような顔したと思ったら、またいつもの調子に戻った。
「なんなら勝負するか?」
「いいよ、どうせまた私が勝つんだろうけど」
「今度は絶対勝つさ」
と、これまでことある事に勝負を吹っ掛けては負け続けているこの俺。
実は、今回こそはと綾音に教えてもらったあと、バイトの合間や家でも復習したから、かなり自信がある。
綾音は賭けに勝った報酬として、よく俺をショッピングや映画館に連れていってくれた。なんでも、"練習"らしい。
「お、いつになく自信に溢れてるね。どうかしたの?」
「ああ。……実は、俺な、お前に言いたいことあるんだ……」
「……え?」
「言うぞ……せーの「ちょちょっと待って!」」
「なんだよ、せっかくいい所だったのに」
「ブツブツ……(ちょっと待って……これってもしかして告白?こんないきなり?っていうか、今日ちゃんと可愛いかな私?……一応メイク直さなきゃ!)」
なんだ?
「煉!ちょっと待ってて!すぐ戻るから!!」
「え……?」
シリアス感出しすぎたか?
いきなり声を大きくしたかと思うと、どこへともなく走り去っていった。
待ってくれ……俺は、お前に、「おすすめの『百合』の漫画を紹介したかっただけ」なのに……!(つまり布教だ! ※何度もやんわりと拒否されてます)
そう……俺は、紛うことなき『百合好き』だ。所謂「姫男子」と呼ばれる類のものだな。
ある日、バイトから帰る途中、本屋に立ち寄ってみたところ、デカデカと『店長オススメ!!』とあった漫画の試し読みをしてみたところ、沼ってしまったのだ。それがGL、つまり『百合』だったというわけだ。
それからというもの、バイト代から生活費や預金する分を抜いた残り少ない額は、数ヶ月に1度行くだけの本屋で『百合の漫画』を買うために使っている。
綾音も恋愛漫画には目がないらしく、よく、というか異常なほどまでに推された。しかし、内容が『百合』ではなく、『思春期の男女の幼馴染・両思い・ハッピーエンド』モノだった。
あまりに必死すぎて、少し怖かったな、あの時の綾音は。目が血走っていたぞ。リアルで見るとは思っていなかったが。
まあ、普通に綾音に勧められたのは全部読んだし、どれもとても面白かった。だが、幼馴染の綾音には悪いが、それでも俺は『百合』を断固として推してもらう。
決意を新たに固めた俺だった。
どこかへいなくなってしまった綾音に言われた通り、その場で綾音を待っていると、
「車が猛スピードで突っ込んでくるぞ、避けろそこの高校生!」
と誰かがこちらに叫んできた。
思わず周りを見渡し、運送用トラックが確かに猛スピードでこちらに向かっているのが見えた。幸い近くに公園があったため、フェンスを乗り越え、ひとまずは危機を回避した俺だったが、
「っ!おい、綾音避けろ!トラックに轢かれるぞ!!」
戻ってきた綾音が、ちょうど俺が元いた場所に来ていた。
不幸にも、彼女は俺を探しているのか、向かってくるトラックの異変には気づいていないようだった。
さっきとは違って時間的な余裕がない分、俺は冷静な判断を下せなかった。体は無意識に綾音の元へ走り、彼女を突き飛ばしていた。
ドンッ!
「(綾音、ごめん)」
「煉、何してっ……!トラックが!」
イテテ、と尻もちをついた綾音。俺が突き飛ばしたせいで、まだ自分の状況が分かっていないようだった。しかし、さすがに俺のした事と周りの様子が違うことに気づいたのか、顔色を真っ青に変えた。
綾音は驚きのあまり口をパクパクさせて、咄嗟に言葉を出せないでいた。しかし、その間にもトラックは迫っているし、俺だって綾音を突き飛ばしたことで体勢を崩したままだ。
しかも、突き飛ばしたあと、転んで左膝を強打して、上手く立ち上がることが出来なかった。立とうとしても、足に力が入らない。途中でフッと力が意図せず抜けてしまう。
なんともまあ、カッコつかない話だ。本来なら両方とも助かっていたかもしれないのに、咄嗟の判断で、その機会を無駄にしてしまった。
ここまでだいぶ時間の流れがゆっくり、もしくはあまり危機感を感じられない、という意見もあるかもしれないが、実はこの時、俺は周りのものがスローモーションになって見えていた。
剣道をしていたから、たまにそういう時はあったが、あの時とは違って、体の全ての感覚が鈍くなって、認識能力が落ちている感じがした。なのに、こうやって思考はいつもの何倍も早く回っているのだから、とても変な感じだった。
綾音のセリフの最後なんて、「とぅぅぉおおらあぁっっくぅぅぅ」みたいな感じだった。ふざけてないからな?マジだよ?
走馬灯だが、両親との記憶よりも綾音との記憶の方が鮮やかに多く、瞬間的に思い浮かんだ。やはり、俺にとって1番大切だと思えるのは綾音だったんだと、改めて実感した。
トラックに轢かれたというか、弾き飛ばされたというか、その直後は、体のあちこちから感じる、炎であぶられているかなような鋭い痛みと熱、そして、周りの救急車を呼ぶ声、そして何よりも、綾音の泣き顔が頭に焼き付いて離れなかった。
最後に腕を上げて綾音の目尻から流れる涙を救ってやろうとしたが、俺にはそんな余力は残ってなかったらしく、その前に俺の意識はプツッ、と途切れた。
< 現在 >
「……」
「そこのイカした嬢ちゃん、これなんか一つどうだい?」
「今日入荷したばかりの掘り出しモンだよ〜!早い者勝ちだから急いだ方がいいぞ〜」
「…………」
周りはワイワイ、ガヤガヤ、と賑やかで屋台や人だかりで溢れかえっていた。
「ここ、どこだ?」
意識が戻った俺は見知らぬ土地に、人混みにごった返されながら、一人、立ちすくしていた。
自分、ちゃんと悪口(最初の方はまだ登場する女の子たちが主人公を貶す部分が少しあるので)かけるかな?(( ;´Д`))
架空のストーリーであるとしても悪口書くのはな〜
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