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カミサマ

 神様、、、かみさま、、、カミサマ、、、


 辺りは暗くなり、小さな虫の音色が静けさに調和する。明かりは人々が手にする松明のみである。ここはライン王国の東外れにある集落でとある儀式が行われていた。この頃、山を下りて人里にやってくる魔物に日々悩まされていた。そこで以前から村に伝わる生贄の儀式を始めた


 縄で手足を縛られ、十字架にかけられた白髪の少女は寂しそうに大衆を見下ろしていた。膝をつき手を合わせた人々は目の前の命を犠牲にしても自分さえ生きていればいい、皆がそう思った。


「白髪なんて気味が悪い」「お前のせいだ、、、私の息子を返せ」「死んで当然だ」


 家族が魔物に襲われた人や少女を忌み嫌う人々からの罵声が飛び交う。親もおらずこの村に移住してきた際には少女の白髪は気味悪がられた。そして今、少女は何も言葉を発さずにただ大人しくしている。自身の状況に抗うこともなくただされるがままに。


「神よ、我ら原初の民をお救い下さいませ」


 長い髭を生やした村長らしき人物が手に持った松明を使って十字架に火をかける。すると火は瞬く間に炎へと変わり少女を蔽いつくす。少女はあまりの痛みに絶叫する。


 ざざっ


 突然、近くの茂みで音がした。しかし、村の人々は誰も気づかない。少女の悲痛な叫び声に皆は夢中だ。少女の肌は焼けただれ美しい白い髪は徐々に灰となり空へと昇った。ものの数分で全身が黒く染まる。


「コロシテやる、、、」


 少女は最後にそう呟き絶命した。


 少女が死んだことを確認すると村人はお祭り騒ぎのようになった。十字架にかけられた少女のまわりを楽しそうに回っていた。ある人は木製のビールジョッキを片手に仲間と肩を組み、ある人は歌を歌い、ある人は大きく口を開けて笑い出す。


「「「「「「「わはははは」」」」」」」


 村人たちは村の厄介者がいなくなったことを盛大に祝った。しかし誰一人として異変に気付かない。


「「「「「「わはははは」」」」」」


 村中の人々全員が大きな口を開けて笑い出す。


 ぶうんっ


 口の中から何かの羽音のようなものが聞こえる。数人ほどだろうか、なにかおかしなことが起きていることに気づく。だが、いまだ多くの村人は笑い合っている。


「わはははは、、、はは、、、あああああああ」


 一人の男性が喉をおさえ急にもだえ苦しみだす。そして何かを吐き出した。粘液に混ざって吐き出されたのは“ハエ”である。


「なにこれ、、、」


 異変に気付いた時にはすでに遅かった。全身のあらゆる穴からハエが這い出てくる。笑うためにあけた大きな口からなん百何万ものハエが外へと放たれる。中には眼球を突き破るものまでいた。


「「「「うわあああああ」」」」


 人々の笑い声は悲鳴へと変わりそして沈黙に変わる。何億匹もの“ハエ”は十字架にかけられた少女の遺体へと集まる。気づいたときには体中を“ハエ”に蹂躙され人々は絶命する。しかしただ一人この村の村長と思しき髭をはやした老人は生きながらえた。


「なんじゃこれは、、、」


 老人は尻もちをつき、あたりを見回しながら後ずさりする。


「悪魔じゃ、、、ワシはなんてことを、、、」


 現れたハエは黒くなってしまった少女の体に集まり始める。徐々に体を覆い少女の体と同一化を始めた。ハエに包まれた少女は美しい白い肌と光沢のある白い髪を取り戻す。


「あっ、、、ああああ」


 老人はその光景に絶句する。少女は不敵な笑みを浮かべ老人を見つめる。老人は慌てて少女から離れるように走り出す。


「だ、誰か助けてぇ」


 老人は何度か後ろを確認しむせび泣きながら走る。少女は縄で縛られたまま微動だにしない。老人は自身の全速力で走る。隣村まで逃げ切れば生きていける、半日ほどでたどり着く距離である。もう一度後ろを確認すると少女はおぞましい顔で笑っていた。


「ひっひえええ」


 あまりにも恐ろしく何度も態勢を崩しながらもよろめきながらも走り続ける。しかし、どんっという衝撃とともに老人は体格の良い屈強な女性とぶつかってしまった。


「た、たすけてえええ」


老人は最後の希望で見知らぬ女性に助けを懇願した


「じいさん、あんたもう手遅れだよ」


 突然老人は白目を剥き、喉を押さえる。女はすかさず手刀で老人の首を落とした。首からはさなぎのような茶色の塊がが大量にあふれ出す。一部始終を見ていた女は興味をそそられ少女のもとへ向かった。


「あなたはだれ?敵なの?」


 少女は不気味な笑みを浮かべ女を見つめる。


「私はアナスタシア。魔物を殺すのは好きだが少女を殺す趣味はない」


 アナスタシアと名乗った女は少女を縛るひもを丁寧に解く。


「あんた名前は?」


「カナ」


「親はいるのか」


「さあ、分からない」


「そう、もう縄はほどいたから私は行くよ」


 アナスタシアは少女に興味がなくなったのか少女に背を向け歩き出す。少女はただ茫然とその場に立ち尽くした。


「ねえ、お姉さん。神様はいると思う?」


 少女は唐突に投げかける。アナスタシアは立ち止まり少し時間を置いた後、少女の方へ振り向いた。


「さあ、どうでもいいな。カナは行く当てがあるのか?」


 カナは横に首を振る。


「これから私はカミヤ国という国に行く。一緒に来るか?」


「カミヤ?なにそれ」


「人と魔族が共存しているとか、もしかしたらカナにとって住みやすい場所かもな」


 カナは少し考えたあと首を縦に振った。


「私のこと怖くないの?」


「ああ、怖くない。お腹すいただろ。これ、ミノタウロスの干し肉」


 アナスタシアはそう言いカナに向かって干し肉を投げた。


「ミノ、、、タウロス?干し肉?」


 いかにも野蛮な食べ物を見てカナは絶句する。しかし初めての人間のやさしさ頬を赤らめた。


「嫌いか?それなら私が食べる」


「カナはたべれるよ」


 そう言ってカナは自身の手と同じサイズくらいの干し肉を口いっぱいに頬張った。



また書き始めました。頑張ります。

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