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08. トモダチ

マルスたちが死んだ。もとの世界でもアリスを襲うやつを殺してきただけあって心が痛まなかった。いや、これが俺の常識だ。


「ただいま、アリス全員死んじゃったよ」


「なにそれ、死んでたよ、じゃなくて」


アリスには見透かされているのだろう。


「アリス、収穫はあったの?」


「思ったよりもね、ルミナちゃんとは仲良くなれそうだね」


なぜかは分からないが、ルミナの心がついに折れてアリスとルミナは契約を交わしたようだ。この世界の契約は、契約魔法によって行われ、契約を違えることは=死を意味する。





―アリスとルミナの会話に遡る


「それで、何が目的なの」


「うーん、目的というか、ルミナちゃんのことが知りたいなあ」


何者なんだ、人間の少女にしては異様すぎる。でも実力で勝負したら絶対に負けない。あともう少し、もう少しで抜け出せる―


「あっ、そろそろ傷が治るね。さすが吸血鬼の女王(ヴァンパイアクイーン)じゃん」


「なっ!」


私の反撃は見破られている。くそっ、ここまでか・・・


「早く反撃していいよ」


「えっ?」


「だから、お兄ちゃんが来るまでに早くしてよお」


わたし、舐められてるの?何が目的か分からないけど、絶対に思い知らせてやるわ。


紅血の雨(ブラッドレイン)」 


地面すら砕く私の攻撃を受けられるかな。


「ずいぶんゆっくりな雨だね、そんなんじゃ勝てないよ」


なにこの女、目に追えないスピードでよけてる。どうしても私の攻撃が当たらない。


「なんでよ!」


「ルミナちゃん、見えてる世界が違いすぎるんだよ」


 私の魔法攻撃範囲内にいてよけれるって、ふざけないでよ。どんな魔法を使ってるか知らないけど、近接戦なら―


「それなら、紅血の剣(ブラッディソード)


「いいね、アリス近接戦闘も大歓迎だよ」


私の攻撃をすべて短剣でいなす。―なんなのコイツ、私の方が圧倒的に力は上回ってるのに。ただの人間に。魔力の低い人間に。


「じゃ、そろそろ終わりにしよっか」


「なめるなあぁ!」


あれ、どこにいった・・・


「えっ・・・」


「これが実力差ってやつだよ、ルミナちゃん」


致命傷は外れているがおよそ10カ所の刺し傷がある。これじゃもう動けない。


「私の負けよ、好きにして」


わざわざ、遠回りなやり方で私を倒さなくても勝てるってことね。奴隷か売り飛ばされるか・・・でも、辱めを受けるくらいなら―


「じゃあ、アリスの初めての友達になってください」


「はぁ?」


トモダチ?あの友達って意味?私、今殺されかけたんですけど・・・


「ちょっと、なにやってるの。友達になるために契約魔法使わないでしょ!」


この女、ほんとうにやる気だ。


「アリス友達作ったことないから、作り方なんて知らないもんだ」


結局、契約を交わしてしまった・・・

人間と仲良くするなんて、魔王候補としては失格ね、でも私なんかが魔王になれるわけもないか・・・







―宿屋にて


「あっ、俺、スグルって言います、今後ともよろしくお願いします」


「お兄ちゃん、なんでそんなに緊張してるの、面白い」


アリスはケラケラ笑っているが、目の前に魔王候補がいるんだから驚くのは当然だろ。兄としてアリスに初めての友達ができたのは嬉しいが、ちょっと待てよ。


「スグルさん、よろしくお願いします」


「普通にスグルでいいよ」


いくら年下とはいえ向こうはとんでもなく強いから、さん付けで呼ばれるのは歯がゆい。


「スグル」


「おっ、おう」


ルミナの背丈はアリスと同じくらいか、少し大きいか、なぜか妹が二人になった気分だ。


「アリス、あんたなにやってんの」


「腕立て伏せだよお、ルミナもやろうよー」


「ウデタテフセ?なにそれ?」


ルミナとアリスは二人でわちゃわちゃしていて微笑ましい。アリスが何を考えているのか分からないが、それでもこの笑顔を守っていかなきゃな。


「いたっ、ルミナ、急に飛び蹴りするなよ」


「スグルもやりなさいよ」


「お兄ちゃんも一緒にやるよ」


ルミナは今日あったばかりなのにやたらと距離が近い。アリスとは仲がいいが、俺、少し舐められてないか・・・


そんなこんなで異世界にきてからのせわしい一週間が終わった。



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