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79. 鏡像魔神

「あー早く牢屋から出たいなあ」


そろそろ一時間くらい経過しただろう。アリス達は上手くやっているだろうか。さすがに少し心配になってきた


「抜け出すって言ってもなあ・・・」


見張りは一人だがこの金属の手錠がスグルの脱出を阻む


「俺にも力があったらこんな手錠、こんな感じにヌンッっと・・・」


試しに手錠を無理やり外そうとする。すると大きな金属音とともに手錠の残骸が部屋に散らかった


「え?めっちゃ柔らかかったんだけど・・・」


ビニール袋を破るかのように手錠を破壊してしまった


「何事だ!」


大きな物音を立ててしまったせいで続々と組織の人間が集まってきた


「いやあ、大人しくするつもりだったんだけど・・・」


そう言って手錠の残骸を指さした


「これしっかりとした手錠じゃないとだめでしょ」


檻の外から手錠の残骸を見た者たちはあまりの恐ろしさに震えあがる。だがその様子に鈍感なスグルは気づかない


「もう一回付け直すよ。これで勘弁して」


落ちた手錠の破片を集め手錠の形を作りそこに手を通す。ウケを狙って反抗の意思がないことを見せようとするが逆に引かれてしまう


「もしかしてこの鉄格子も・・・ああやっぱり」


まるで粘土のように鉄を押し曲げる。本当は監禁するつもりなどなかったかのようだ


「「「「「ひ・・ひぇええ」」」」」


トドメの一撃であるかのようにその様子を見た者達は膝をつき崇めている。まるで魔王でも崇めるかのような姿勢だ


「ええっと。俺は人質で君たちは見張りだよね?」


「「「「「命だけは・・・」」」」」


おいおい。とんだ腰抜け集団かよ。お前らでもこの鉄格子も手錠も簡単に壊せるのに。変に勘違いされてるな


「どうしよう・・・」


普通に逃げようか考えていると騒ぎを聞きつけたある男がやってきた。俺と背丈は同じくらいだ


「バスター様。これは・・・」


みっともない部下の行動にバスターほ怒り出す


「言い訳はいい。死ね」


問答無用だとバスターは手に持った剣を部下に振り下ろす。だが────


「おい・・・」


剣を持った手を押さえる


「なんだ、お前はあとで相手してやるから」


バスターは剣を横に振り薙ぎ払おうとする。それを上手くかわして顎に拳をクリティカルヒットさせた


「ぐはっ」


思わぬ攻撃にバスターは仰向けに倒れる


「やめろよ。仲間殺しは気分が良くねーな」


バスターはすぐに立ち上がり殺気をスグルへと向ける


「人質だから殺しちゃあいけないけど・・・まあいっか」


バスターは素手のスグルに剣を構える


「いいのか?ご主人様に怒られるぜ」


「残念だったな。今頃、君の仲間は服でもひん剥かれているところだろう」


ざまあというようにケラケラ笑い始める。しかし、その言葉はスグルの危険なスイッチを押してしまった


「なんだやる気か?素手のお前じゃあただ切られておしまいだ。さっきは油断しただけで次も上手くいくと思うなよ」


──鏡像魔神(ドッペルゲンガー)──


バスターは分身を十体作り、スグルを囲む


「これで本体がどこにあるか分からないだろう」


先程のスグルの攻撃が効いたのかバスターはいたぶり殺すためスキルをフルに使う


「さあ、最高の殺戮ショーだああ」


バスターは逃げ出せないように円を描きながら少しずつ近づく


「怖いか?大丈夫ゆっくり殺してあげるから」


勝ちを確信したバスターは隙だらけだ


「へへ」


スグルの奇妙な笑い声を上げる


「そういう負け惜しみはいらない。盛大に泣き叫べっ──」


しかし、突然パンッと銃声が鳴り響く


「い・・・いったああああああああ」


バスターは意味の分からない攻撃に尻もちをつきのたうち回る


「なかなか良い声で泣くなあ」


銃弾は一体の太ももを貫通していた。だがその個体ではなく別の個体が痛がり始める


「的が大きくなっただけか・・・使えないスキルだな。しかも本体がすぐ分かるなんて」


一瞬、九頭大蛇を使うことも考えたが全く必要ないようだ


「ひえぇぇ!」


バスターは出した分身を急いで元に戻す


「痛かっただろ?今どんな気持ち?」


髪を掴み上げ問いかける。普段から人を殺す側に立っていたバスターにとっては初めての経験だ


「待った。なんでも言うことを聞く。だから・・・」


「だから?」


「助けてください」


あまりの痛みと恐怖に涙目になりながら助命を懇願する


「いいよ。そういえばさ──」


おそらくこの能力を使って人質を取った場合、この世界にはない携帯のような機能を発揮する。連絡用としては最適だ。相手の反応を見ながら常に遠くにいる人質を殺すことも可能。つまり、


「お前の分身、今あのラコンとかいう狸によこにいるんだろ?」


「は・・はいっ」


「やっぱりか」


すぐさまポケットから携帯を取り出しアリスにメールを送る


「なあみんな」


この組織の全員に向かって話し始める


「俺についていく気はあるか?」


この状況を見ていたすべての者が頷き始める。スグルはよしといいバスタ―をみんなの前に引きずり出す


「じゃあ今日からみんなは俺の手下。って訳にはいかない。早速だけどテストするよ」


引きずり出したバスターを指さす


「どっちについていくか。仲間だと思わない方を殺してくれて構わないよ」


気の狂ったスグルは残酷な選択をさせる



「大チャンス!ちなみにだけどバスター君は足が負傷中。上手く立てないよ」


多くの者たちが武器を持ち始める


「ちょっと待ってくれ。助けてくれるんじゃないのか」


「俺は殺さないよ、君の仲間たちならきっと君を思って助けてくれるはずだよ。君は仲間に優しい人間じゃないか」


スグルはバスターに向けて盛大の皮肉を言う


「や・・やめろおおおおおおお」


襲い掛かった数十人の兵士によってバスターは抵抗もむなしく絶命した



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