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07. 囮


二日目の朝のこと。私はミゲルさんの話の中に面白いものを見つけたの。


「アリス、初心者の冒険者を利用して金を荒稼ぎする冒険者がいるって噂があるんだ。」


「どんな風に利用してたの?」


話によると、冒険者を囮にして、その隙に高位の魔物を討伐するという手腕だった。だったら逆に囮にしたら面白いかもって思った。あとは簡単、高確率で考えられるすべての事態の対策をしていけばいいこと。邪道魔法のトラップもそのために覚えたんだから。


「でもこの作戦の根幹は敵が情けという概念を知っているという条件付きだったからかけでもあったんだけどね」


いったいアリスはなにを言っているんだ?俺にはさっぱりだ。


「あっ!お兄ちゃんこれ食べて」


アリスはラムネのようなものを一粒渡してきた。口にしてみるとなんだか懐かしい甘い味がした。


「アリス、これ冒険に出る前に俺にくれなかったやつだろ!まぁ、結構美味い」


「ごめんね、解毒、耐性効果もある薬で、飲みやすいようにラムネにしたんだ」


おいおい、またとんでもないものを作ったのか。


「アリス、さすがに物騒な計画だな。俺の演技が下手だから事前に薬をもらえなかったのは察したけど、マルスたちがアンデットウルフと戦うときに裏切る可能性もあっただろ」


さすがに上手くいきすぎて、不思議に思う。


「十分その可能性はあるね、けどこの麻痺毒の魔法は無詠唱なのが強みなんだけど、触らないといけないのが弱点なんだよね。だから魔物を見て真っ先に突っ込めばお兄ちゃんもすぐついてくると思ったの」


ああ、だからあの時、アリスはアンデットウルフを見て突っ込んでいったのか。俺が絶対に後ろからついてくると信じて。


「それで私を拘束してどうする気なの」


「そうだね―」


アリスはどこまで先を見ていたのだろう。誰がどう見ても考えなしに動いてたのに・・・


「アリス、あいつらの様子見てくるわ」


アリスは何やらルミナと交渉を始めていて暇なのでマルスたちの様子を見に行こうと思った。


「リリスやウォールズは息がないな」


「た、助けてくれ・・・」


途切れ途切れにマルスの声が聞こえる。とても辛そうだ。


「生きててよかった、少し歩くぞ」


俺はマルスを背負いもといた方向とは別の方向へ向かった。暗い森から明るいほうへ、この危機的状況から脱せるかのように感じるだろう。


「だましてすまなかった、スグルさん本当にありがとう」


「いいってもうしゃべるな、死んじまうぞ」


俺は心を殺して進んだ。ゆっくりと。すると近くで遠吠えがした。アンデットウルフだ。


「スグルさん、早く逃げないと―」


俺はマルスを群れの中に放り投げた。思ったより軽かった。アンデットウルフの群れの中心に落ち、ゆっくりと迫っている。


「どうしてだよっ!仲間だt」


悲鳴とともに、アリスのもとへ帰ることにした。


「アリスを裏切ったからだ。それ以外ないだろ」


マルスの目や皮膚、肉が引きちぎられていく。そして最後、森全体にマルスの断末魔が響き渡った。


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