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57. 火種

第一王子 ハイエル・ライン、第二王子 フロウト・ライン、第三王子 マルクス・ラインは父、コロニアス王の死を見届けた


「フロウト、マルクス。私たちは父の遺志を継ぎこの国を守っていかなければならない。力を貸してはくれないか」


順当にいくならハイエル・ラインが次期国王となる。それを良しと思っていなかった弟たちだったが、この王国の危機に一つになろうとしている


「ハイエル兄様はこの状況をどうするのですか」


新国家カミヤの建国により一時は戦争になりかけた。しかし、国交を結ぶということで相手は手を打つのだが・・


「魔物の国と手を結ぶというのは人間の国に対する裏切りと捉えられてもおかしくない。絶対にあってはならないことだ」


「では・・戦争ですか」


「ああ」


父上が何をしようとしたか分からないが、おそらく残された手段はこれだけだろう


「失礼します。会議の準備が整いました」


王国の貴族が全員揃ったようだ。おそらく戦争に乗り気ではない貴族もいるだろうが、最大限のことは尽くそう





しかし、ライン王国の見えないところで事態は悪化していった


「ハァ・・ン・・ハァ・・・」


一人の男が自分よりも一回り大きい男を抱えノルン共和国にたどり着く


「ハァ・・やっとか」


その満身創痍な姿を見て人々はどうしたのかというように駆け寄る


「ダニエルを診療所に連れて行ってくれ」


精神崩壊して気を失っているダニエルをここまで運んだのは同じ銀の翼のメンバーであるマルコスだ


「あんたは大丈夫なのか」


「ああ、それよりも銀の翼から重要な話があると・・みんなに伝えてくれ」


A級冒険者ということだけあって、知名度は高くみるみるうちに多くの人がどうしたのかと集まってきている


「おい、お前らは吸血鬼城に行ったはず・・他の奴らはどうしたんだよ」


先日有名になっていた王国直々のクエストを受注したことを知っていた冒険者がマルコスに尋ねた


「死んだよ・・みんな嵌められたんだ。王国に・・・」


「はっ、どういうことだよ」


周りで聞いていた人たちは困惑している。王国が魔物と手を結ぶはずがないと・・だがその疑念も一瞬で晴れてしまう


「これを見てくれ・・」


マルコスの手にあるのは王国の紋章が入った騎士団長ナバルデウスの手記だ。そこには王国が吸血鬼の女王と手を結んで他国を侵略し領土を広げるという計画が書かれている。しかし、これはアリスが書き足したものでありよく考えれば信じるに値しないことなど明らかだ


「なんだと・・王国は人間の敵になったのか」


同調するように、多くの人々が声を上げる。拙い策略であるが影響力の強いA冒険者であることを含め、感情的になりやすい市民ならば十分すぎる計略であった


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