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56. 赤いクッキー

冒険者たちの血で塗られた戦場、生存しているのは銀の翼だけだった。しかし、リーダーのダニエルは気を失い、戦えるのはマルコスしかいない


「すごいね、この状況で立っていられるなんて」


自分よりも強いリーダーが倒れてしまった状況では勝つことはおろか逃げることさえできない。だが・・


「俺たちを殺さなかったのは理由があるんだろ」


この少女の攻撃を理解することはできないが、いつでも俺を殺すことができたはず。だからこそ今生きているこの状況が不自然だ


「理解が早くて助かるよ。君たちが取れる選択は死か主従契約だよ」


ああ、俺はどの選択をするべきなのか・・リーダーなら敵に屈することなく死を選ぶだろう。でも・・・





「お待たせ~」


やっと終わった。やっと昼食だー!


「アリスさん。お疲れ様なの」


メイド服を着たカレンがスプレッド邸の玄関で出迎えてくれた。以前までは城内で生活していたが全壊していたスプレッド邸を建て直しそこで生活することになった。ちなみにカミヤ城は防衛システムや武器、食材など大切なものを保管している


「ありがとうカレン。ちなみに今日の昼食は何かな」


「アリスさんに教えていただいた餃子です。それと師匠のトマトパスタです」


カレンにはもとの世界のあらゆる料理を叩きこんだ。器用なカレンはどれも完璧に作り上げてしまったのである


「やったあ。たくさん食べようかな」


「あっ・・それなのですが」


どうしたのカレン・・いつになくそんなモジモジして・・


「ルミナさんが・・待てないって言って餃子を・・・」


「うん、死刑」


あいつ絶対許さないから。アリスの餃子をおおおおおおお




そのころ食卓では・・


「アリス遅いわね。それにしてもこのギョウザというものは美味しいな」


「はい、お嬢様。この醤油というものを付けるとさらに美味しくなるようです」


アリスには悪いけど背に腹は代えられないからな。特にこんな美味しいものは取り合いになるだろうし・・・


「さすがに怒られてしまいますよ」


「なによ、レオも気にせず食べなさい」


「いや、アリスさんのこと待っていた方が・・・」


もう、レオは真面目なんだから・・どうせ何とかなるって


ズドンっ


「っ!」


いきなりものすごい勢いで開けられたドアにルミナはドキッとする


「ごめん。お待たせ~」


アリスはニコニコした表情でルミナの隣に座り昼食を取り始めている


「お・・お疲れ様アリス。ぎょ・・ぎょうざはこれだけしかないけど──」


「んー美味しい。カレン上手にできてるよ」


「ありがとうございます」


動揺するルミナの隣でアリスは何事もなかったかのように振る舞い餃子を口に運ぶ


「アリス・・その・ね。怒ってるならさ・・・」


「そうだ、アリスお菓子作ったんだよね。いつも頑張ってくれている、カレンとレオ、あと師匠に作ったよー」


この緊張した空気の中、カレンとレオは引きつった笑顔でやったあと喜ぶ


「私の分は?」


名前の上がらなかったルミナはことの重大さに気づく・・がもう遅かった


「・・・」


この世界で一番冷たい沈黙が流れる


「ねえ・・ごめんねアリス。私が悪かったから機嫌直してよ」


「嘘だよルミナごめんね、ルミナの分もちゃんと作ってあるよ」


アリスはみんなにクッキーの入った子袋を渡していく


「なんで私のだけ赤色なの」


ルミナに渡されたクッキーだけ色が赤であった


「ルミナは私の一番の親友だからね。特別に作ったの」


「もしかして今日とれたてのトマト?」


「よく分かったね。さすがルミナ」


この様子を見てただ一人、カレンだけがアリスのやったことに震えている


「じゃあ、さっそくいただくわね」


相変わらず待てない性格のルミナは赤いクッキーに何の疑問も抱かず口に運ぶ。その正体はトマトではなく唐辛子だ。そして獣のような悲鳴が館を揺らした


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