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14. 兄貴

―アリスとルミナへ、


少し用事ができたので今日は宿に帰れません。大したことではないので心配ご無用です。昨日作った残りものと、外食で食事は何とかしてね。俺が言うのもなんだけど二人でクエストに行くなら十分気を付けてください。次の日までには帰るのでよろしくお願いします。


                                          兄より 



アリスは朝起きると宿の机に置かれた一枚の手紙を発見した


いったい何があったの。大したことないわけないじゃん。本当にお兄ちゃんこういうところあるんだから・・・


アリスは天才であるが兄の考えや行動を正確に把握することは不可能だ


「アリス、これなんて書いてあるの」


日本語が分からないルミナは手紙の内容を理解することができない


「とりあえず今日は帰れないってさ」


お兄ちゃんが何を考えてるか分からないし、きっと変ないざこざに巻き込まれてる。


「で、どうすんの」


「探しに行くに決まってる」


へへ、実は内緒でお兄ちゃんの着ているすべての服にGPSつけてあるんだよね。まあ、お兄ちゃんに手を出したやつは全員殺してあげよ。


「アリス、探すあてはあるの」


「まあね」


アリスはポケットからレーダーのようなものを取り出す


へえ~、今こんなところにいるんだあ。






―ゾクっ


「なんか今,変な感じがしたんだけど」


どこかで噂されていたかのような、はたまた監視されているかのようなそんな気分に襲われた


「兄貴、なにかあったんですか」


「分からない、っていうか兄貴呼びはやめい」



昨日少年を助けてからいろいろあって、なぜか兄貴呼びになってしまった。少年の名前はレオである。没落貴族で今は貧民街に住み、ぎりぎりの生活を送っているそうだ。そんなレオのぼろぼろになった家にいる


「レオ、お前の妹が王国宮廷内に囚われているのは間違いないんだな」


「うん」


親を謀殺されてしまったレオには家族が妹一人しかいない。その妹を利用したい貴族たちによって無理やり捕らえられてしまったようだ。形は違えど、昔の自分自身を見ているみたいでじっとしていられない


「じゃあ、行くぞ」


こういうのは一刻を争う。凄く嫌な予感がするのだ


「えっ、王国に乗り込む気なんですか。いくら何でも―」


「じゃあ、妹を見殺しにするのか」


元貴族であるレオからしたら王国に楯突くことがいかに危険なことかよく理解している


「絶対に嫌です。でも―」


レオには迷いがあるのだろう。自身の非力さに・・俺だって強いわけではない。王国に侵入して無事生きて帰ってこれるか分からない。でも―


「レオ、本当の意味で妹を助けられるのは、お前だけだろ」


レオの背中を押してやる。俺にできることはこれぐらいだ


「妹を助けない理由に自分の力は関係あるのか」


「でも力がないと、救えない」


確かに、レオの言う通りだ。俺も力足りず敵わなかったこともあった。だが、戦わない理由にはならない。


「それで、どうしようもできないから泣いているのか」


俺はレオが泣き止むまで待った


「兄貴、俺は、妹を・・助けたいです」


「ああ、ライン王国だっけ、壊しに行くか」


こうして俺たち二人は、王城に向かった。レオの妹を救うために


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