表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

制服の上から重そうなジャンバーを背負って学校に向かう。

 通学路の途中にある人参畑の土には霜が降りていた。

道理で寒いわけだ。


 下駄箱で上履きに履き替えたら教室へと向かう。

 斗真の教室は3組。ちなみに先生は高木先生だ。

 ガラガラと大きな音を立てて堂々とドアという名の蓋を開ける。


 教室中へと踏み出す第一歩と同時におはようーと元気よく言うと…


 『おはようー』『あ!おはようー斗真くん!』黄金色のタンポポのようなニコッとした顔をして出迎えてくれる。


 だがただ一人無反応で本を読んでいる女の子がいる。そう。アイツだ。10数年前にこっぴどく俺を振った本人だった。


 でももうリベンジは始まっている。アプローチを始めよう。


 『おはよう、佐藤さん』


 『…おはよう』


 少しの間こちらを向いてくれたがすぐに目線を本へ戻してしまう。

 まったく興味を持たれていなかった。はぁ…俺、人生の恋愛…こんなハイレベルにした覚えないんだけどなぁ…


 『何読んでるの?』


 『別に…あなたに関係ないわ』



 塩対応だな…本当に復習リベンジできるのか?こんなやつに…


 『あはは…そういえば今日の数学の宿題やった?』

 『やったわ』

 『難しかった?』


 『簡単だったわ』


なんだ…この単語だけで出来ている会話は…会話って言うものは文ですることだろう…


 まったく先が思いやられる…

 自分の席に着くと周りに何人かの女の子がよってくる。


 一、二、三……五 いや、こいつは男か…



 その中に一人男がいた。それは昨日俺がラーメンを奢ってあげたやつだ。

 『で?涼太なんのよう?』


 『へ?そんなの決まってるじゃ〜ん!斗真の近くに寄ってくる女の子たちを狙ってんの!』


 たぶん受け狙いで言ったのだろう。


 だが女の子たちには伝わらなかったらしい。


 女の子たちはゴミを見るような目で涼太を見やると机越しの反対側へと移動する。

 泣きそうな涼太は頬っておいて…

 『斗真くん!数学の宿題やった?』


 『うん』


 『難しかった?』


 『確かに少し難しかったね…』


 デジャブか?さっきこんな会話をしたような…


 『凄い!あんな難しい宿題を少しだけとか!』


 いや…簡単とか言っていたやつすぐそこに居るよ?

 そんな会話を妨げるかのように鐘が鳴る。


 キーンコーンカーンコーン………………


 クラス中人が自分の席に着くと同時に先生が入ってきた。

 少し太ってて年齢も40代後半くらいの担任。高木先生だ。


 『はい、じゃーホーム厶ームを始めるぞ!』


 なんだよホームムームって…ホームルームだろ…


 こう見えてもお茶目な一面もあるようだ。


 『え〜2学期も残るところ一ヶ月になった。そろそろ文化祭の時期だ。そこでうちのクラスはくじ引きによって劇をやる事になった。内容は生徒一同で決めてよし!今日中に決めておくこと』


 じゃー挨拶。先生が号令をかけ挨拶を終えると一斉に文化祭について各自で話始めた。


 『わー宿題やってねぇーのに今日中とか無理だろ〜』

 『いやお前関係ないから黙ってろ』


 『あ?』



 『わー文化祭かぁ〜劇か〜』

 『もうこんな時期だねぇ〜』


 みんな必死に青春を過ごしている。


 さぁ、俺も青春リベンジを続けよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ