プロローグ
見に来てくれてありがとうございます。
※ただしイケメンだけが
神はそう言った。
放課後。
俺の名前は雄歴斗真。突然だが今クラスの幼馴染みの友達とプールサイドに来ていた。季節も季節なので冷たそうな水を眺めながら10年前のことを頭の中で回想させる。
10年前。まだ7歳、恋愛のなんたらを理解してない頃。俺はある女の子に好きだと告げた。
その女の子は幼馴染で美少女、それに対して俺はデブでブス。だがお金には困っていなかった。お父さんがまだその時は分かっていなかったのだろうけどお偉いさんをやっていたらしい。
どうせカネヅル程度にしか思われていなかったのだろう。今改めて思うと残酷だ。
そして答えはNO。ごめんなさいの一言で見事に玉砕した。
それからこの子には会っていないし合う気もなかった。
リベンジできるようになるまでは…
それからの毎日は過酷なものだった。
朝ごはんは野菜だけ。肉はほぼほぼ禁止、ランニングは一日5キロ。それプラスで筋トレ、美肌クリームや肌のトレーニング。他にもたくさん…
中学生に入ったとき。5年前だった。
入学式で俺は8人の女の子たちに告白された。ついに努力は実った。そう思いながらも必死にトレーニングを続けていった。
中学2年生、3年生に上がっていくたび告白される頻度がグイグイと上がっていき、駅前を歩くだけで『キャーカッコいい!』だの『なんかの撮影かな!』だの言われるようになった。
努力は必ず実を結ぶ。その言葉の意味か初めて分かった気がした。
そして高校入学式。
受験勉強とトレーニングを両立させるのはマジでキツかったけどアイツにリベンジしてやることを思い出せば屁でもなかった。
高校入学。必死になって勉強した成果は実って無事合格した。アイツと同じ高校へと。
そして今に至る。
プールサイド。
そこはまるで天国のような景色。
見学に来ている男子生徒の見るものなんて一つしかない。何とは言わないが…
25メートルを泳ぎ終わってプールサイドを軽く走って通り過ぎる女の子たち。その一人はついに言った。
『何見てんの?変態?あっち行けクソ野郎』
一人が言い出すとみんな言い出す。流石今の時代。空気を読まずにはいられないのかもしれない。
だが大勢の女の子たちが指差すのは俺…ではなくその隣の幼馴染こと堀田涼太だった。
それが気に食わなかったのか涼太は反撃を開始する。
なんで俺だけぇ?とか、何も見てないよぉ?とか…
反撃と言うよりは言い訳だった。
その中の一つの言い訳『そんなこと言うならこいつも見てたぞ、お前の』
流石にお前の…の続きは言えなかったらしいが女の子たちには伝わったらしい。
やべぇ怒られるか?少しは肩をすくめてしまう。
後ろの方でゴチャゴチャ文句言っている女の子たちは最低!を連呼していたがこの子達は違った。
同じクラスの花森優香とまたしても同じクラスの御笠志津
『は?なにいってんの?斗真くんがそんなことするわけ無いじゃん』
お?
『そうだよ!斗真くんが可愛そうだよ!』
あれ?
『は、はぁ!そんなのありかよ!花森だって御笠だって斗真がイケメンだから許すんだろ!』
ああ、そういうことか…
『……』
拗ねたように両者言葉を止めた。
イケメン。それは何でも許される最強の武器だ。それを今証明した。これならあのときのリベンジも!
イケメン。そう俺はイケメン。ちょっとカッコつけとくか…
『ほらほら喧嘩しないの、もう練習戻っていいよ?』
痛ってぇ…心が痛てぇ…こんなダッサイセリフ…少女漫画かなにかですか?
ってレベルの気持ち悪いセリフを履いてもイケメンなら許されるらしい。
『カッコイイ!』その一言を残して二人は25メートルプールの出口のほうへ走っていった。
その後、激怒した涼太にラーメンを奢ってから家へ帰った。
それからはランニングマシーンに乗ってアイツのことばっかり考えていた。
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