名誉ある大遅刻
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「おはようございます、皆さん。今日は、ここ『天下学校』の入学式です。今日は〜」
校長のゆっくりと静かな声が、全校生徒のいるホールに響く。まるで授業のように長ったらしく語る校長は退屈さと、眠気で攻撃してくる。
だが、生徒達も負けじと目を見開き、まるで真面目に話を聞いているふりをする。本当は、何を言っているのか理解する余裕もないのに…
しかし、生徒達は絶対に居眠りという醜態を晒さない。なぜか、理由は簡単である。彼らは誇り高き天人の卵だ。いくら天人になる前の幼い身とはいえ、将来全て世界の神々を力がなくても尻に敷けるようにならなければならない。
だが、その中に目を輝かせて、食い入るように校長の話しを聞く者達がいた。
今年の新入生である。
天人になれる権利を持つ者は星の数ほどいるが、天人になれる資格を持つ者は一つの年に十人ほどしかいない。そして、 天人は知識欲の固まりで出来ている。新人は特に。
なのでこの光景は、天下学校の春の風物詩となっている。
だが、生徒達はあることに気付いた。
「なんか少なくね?」
新入生が足りないのだ。何故だろう?事件に巻き込まれたのだろうか?あるいは下界に堕ちてしまったのだろうか?いや、それは有り得ない。もしそうなら、ここまで堕ちた衝撃が伝わるはずだ。
そんなこと考えていると、何処からかドタバタと足音が聞こえてきた。
「遅れて申し訳ありません!!」
「ごめんなさい!」
「ハァ、ハァ、ッすいません!!」
「申し訳ありまちぇん!」
等々、それぞれの個性をもって入場した四人組。一人は体力の限界がきていた。
「ッ…………!」
生徒や教師の冷ややかな目線が四人に突き刺さり、その温度の感じられない瞳に、一人は思わず泣き出しそうになった。すると、
パチパチパチ。
何処からか手と手を叩きつける音が聞こえた。それは段々と周りに伝染していって、
「凄いぜこいつら!」
「これが『遅刻』というものなのね!」
「素晴らしい発想の持ち主だよ!」
と褒めたたえたのだ。
割れんばかりの拍手に一人は頬を染めていだが、すぐに鬼の形相の、、確か担任の先生が近付いてくるのを見てハッとした。どれだけ褒められようと、自分達が『遅刻』というやつをしてしまったのに変わりはない。その後、先生にこっぴどく叱られたあと、泣きべそをかきながら入学式に参加していた。一人はケロリとしていたけれど…
そういえば、なぜこのような反応なのか。それは、天人というのは誇り高き者であり、遅刻などというものは本能でしないようになっている。なのでまだ経験の浅い生徒達にとって、遅刻は未知の領域なのだ。
あまりいい事では無いと分かっていても、知識欲旺盛な生徒達は興奮を抑えられない。
そしてその四人組、オトカ・ハルノ、フーリ・ナツウミ、コーキ・アキヤマ、
ハク・フユモリは、天下学校ではじめての遅刻者として歴史に名を残した。
▂▅▇█▓▒ (’ω’) ▒▓█▇▅▂うわぁぁぁ!!
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