床
金がない。
今の私の財産は米が少々、あとは水道水か。
次の給料まで残り数日。憂々。
とりあえずは米を炊いて食す。水道水をお味噌汁変わりとして。
しかしこんな状況は馴れている。私は毎月毎月こうなるのだ。
だから私はもうひとつおかずを用意する。
それは床だ。
この部屋の床の木目模様をジッと見て、魚の切り身をイメージしながら米を食べるのだ。
私は、都合よくイメージするのには長けているし、自己暗示もかかりやすい。
だからしっかり魚定食を食べているつもりになれる。
一人暮らしを始めて、一番多いおかずもこの床という魚だ。
私は流石に、自分でも自分が気持ち悪くて大っ嫌い。