第80話 しずると付き合うことになった。
家に帰ってきた。
今日あった出来事が、なんだか、本当にあったことなのかなぁ。
と、ボーとしてしまう。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「すぐる、珍しいな。」
今日は父さんもいる。
「いや、なんでもないよ。」
と、俺は答えた。
「父さん、今日は家にいるんだね。」
「そうなんだ。仕事がひと段落してね。」
「新しい星が見つかったって話?」
「そうなんだ。青い星と、赤い星でね。」
「へぇ~。」
「青い星は、水があるんじゃないかって言うことで、生命の可能性があるんだ。」
なんだか、夢の世界の星と、みことの星なんじゃないかと思ってしまうのは内緒だ。
「地球から行けるようになる?」
「いやいや。何万光年も先の星だから、行くには、科学の進歩が足りないなぁ。」
そうなのか。
「父さんは、どんな星だと思う?」
「うーん。青い星は地球に似ていて、赤い星は火星みたいなんじゃないかな。」
「そっか。どんな星だったらいいと思う?」
「そうだなぁ。自然がたくさんあって、満喫できるといいなぁ。」
父さん、仕事で疲れているのだろうか。
そんなことを話した。
はぁ。しずると付き合うことになったけど、うまくやっていけるかなぁ。
パフッと、ベッドに腰かけ、そのまま仰向けに倒れた。
少し目を瞑る。
あ、そういえば、ひじりさんの店に行かなかったな。
今度、二人で行ってみようかな。
ひじりさんがいてくれると思うと少し心強い。
「さて。風呂入って寝るか。」
その日の夢は、
「すぐるくん、うちの店にこなかったなぁ。」
「来てほしかったんですか?」
「いやぁ、デート姿の二人っていいじゃない?」
「お二人を見たかったんですね。」
ひじりと、かぐやが話していた。
「こんにちは。」
すぐるだ。
「すぐるくん!しずるちゃんとはどこに行ったんだい?」
「それが、ひじりさんの店に行きたかったんだけど、時間がなくて行けませんでした。カフェで、二人でいました。」
「いいなぁ。若いって。」
「来週、もしかしたら、おじゃまするかもしれないです。」
「いつでも来てくれていいよ。」
「かぐやも、みんなとあそびたいなぁ。」
「そうだね。ゲームの世界以外でも遊べたらいいね。」
「はぁ。なんだか、この世界は落ち着くなぁ。」
波の音を聞きながら、畑の方を見た。
「畑も、実りが多いよ。はい。これぶどう。」
「あ、ぶどう。ひじりさん、ワイン飲みたいって言ってましたよね?」
「よく覚えてくれてたね。かぐや小町商店街の酒屋さんが、ワイン用に狙ってたよ。」
「そうですか。じゃあ、ワイン作ってくれるのかな。」
「もう、日本酒はお米で作り始めているみたいだよ。」
「へぇ。」
「かぐやも、甘酒もらいました!」
「へぇ!商店街も賑やかになってきましたね。」
「そうなんだよ。町も活気がでてきたよ。」
「じゃあ、散歩してこようかな。」
「それもいいかもしれないね。」
そんなことを話していた。




