第75話 文化祭当日
「おはよー。お兄ちゃん。今日は宜しくね。」
「ああ。待ってるよ。」
朝食を食べて、
「行ってきます!」
と、家を出た。
ぱーん!ぱーん!
文化祭当日、昼間なのに花火の音がしていた。
俺のクラスは、喫茶店なので、コーヒーを用意したり、ジュースや、クッキーの代金を貰ったり、運んだり、中々繁盛していた。
「すぐるくーん!」
ひじりさんだ。
キャー!
女子がこちらを見ている。
「あ!ゲームの中でお会いしましたよね!」
しずるも気づいたようだ。
ひじりさんは、かぐやと二人で来たようだ。
「こんにちは。すぐる、しずるさん。」
かぐやは、ジュースを頼んだようで、チューチュー吸っている。
ひじりさんの金色の髪は束ねられている。
少女のかぐやと一緒なのは、不思議がられているが、目立つので女子たちが何やら騒いでいる。
「しずる、知り合いなの?」
「早乙女さん、宮古くん、知り合いなの?」
まぁ。そうなんだけど。
「かぐやとひじりさん、どこか回りましたか?」
「いや、まだなんだ。」
「迷路とかも行ってみたいです。」
「このクッキー美味しいね。」
「あ、それ、女子が焼いたんです。お口にあって良かった。」
しずるが言った。
「じゃあ、僕たちは、他のところも回ってくるよ。」
ひじりさんと、かぐやが行ってしまった。
女子たちが、もう少しゆっくりしていけばいいのにー。と残念そうだ。
「おにーちゃん!」
「お兄様こんにちは。」
ミワ?まさか…彼氏?
「こちらは神崎くん。校門でバッタリ会って。テニス部が一緒なの。」
「同じ部活の神崎です。宜しくお願いします。」
同じ部活の子か。
『ミワちゃん、彼氏?』
しずるがミワにコソっと話しかけた。
「え?ええ!?違いますよ。同じ部活の仲間で…。」
ミワも神崎くんも、顔が赤い。
「宮古さんさえ、良かったら…。」
良かったらなんだ…?と思わず見てしまった。
「こ、このあと、どうしますか?」
さっと、話題を変えられてしまった。
「えっと、どうしよっか。違うところも回ってみたいよね。」
と、ゆうことで、持ち帰りのミルクティとクッキーを頼んで行ってしまった。
ふぅ。ミワに彼氏が出来たのかとビックリしてしまった。
「私も負けてられないなぁ。」
と、しずるがボソッと言っていた。
午後になり、係が交代になった。
「すぐる。お昼食べに行こうよ。」
しずるが話しかけてきた。
「ああ。じゃあ、出店に行くか。」
俺たちは、出店に行ったが混んでいたので、焼きそばを買って学食へ行くことになった。
パク。
もぐもぐ。
なんだか、昨日のことが気になって、ソワソワしてしまう。
「あ。」
「ううん。水持ってくるね。」
「ありがとう。」
「あのさ、昨日のことなんだけど。」
「告白、されたこと?」
「あ、そうそう。好きな人いるって言ってたから応援するよ。」
「応援?」
「ああ。好きな人いるんだろ?」
しずるの焼きそばを食べる手が止まった。
「すぐるは、好きな人いないの?」
しずるがまっすぐこちらを見ている。
「好き、とゆうか。好きってゆうのが、よくわからないんだ。」
「え?」
「いや、この間も、ゲームしたり、楽しかったし、また、みんなで、遊びたいなーと思うけど。しずるに好きな人がいるなら、誘った方がいいかなーとか。」
「え?」
「だから、好きな人がいるなら、応援するぜ。」
「この間、遊んだの、楽しかった?」
「ああ。楽しかったよ。」
「ふーん。今は?」
「え?今?やきそば、旨いけど…。」
「あっそ。」
え?なんで、不機嫌なの??
「じゃあ、秋葉原デートは、連れてってくれる?」
「デート?俺と?」
「そうよ。」
「え?俺でいいの?」
「もー知らない!」
不機嫌にさせてしまった。
「え?」
もしかして、俺のことが好きなの!?
それから、お化け屋敷に行った。
「キャー!」
こちらに、しずるが、ギュッと抱きついてきた。
俺は、顔が赤くなってしまったが、薄暗くて良かったと思ってしまった。
そして、輪投げ。
ぬいぐるみが取れたので、しずるにあげた。
ちょっと不細工なウサギだが、喜んでいたのでよしとしよう。
なんだか、お昼から、俺は、ソワソワして落ちつかない。
しずるもそっけない。
どうしたらよいか。
考えていると、
「よう!」
ともよしだ。
あれ?マネージャーと二人で回っている。
「ともよし。」
「よ。お暑いね!」
と言われたら、しずるが、ともよしに、グーパンチしていた。
「ともよしと、マネージャーさん、二人?」
「いや、こいつが一緒に回ろうってゆうからさ。そんなこと言うから、雨降るんじゃないかって、さっきっから、天気が、気になって…。」
ベシッ!
マネージャーさんにも叩かれてる。
「マネージャーさん、ともよしのこと好きなの?」
俺が言うと、
みんなに、え!?
と、言う顔で見られた。
「おま、俺のこと好きなん!?」
「宮古くん、鈍感かと思ってたのに!」
マネージャーの顔が真っ赤だ。
しずるも驚いている。
「いーじゃん、そんなこと!」
マネージャーが、はぐらかしている。
「俺。」
「な、なによ。」
ともよしが、真面目な顔をした。
「お前のこと、好きだぞ!」
マネージャーさんが、口を押さえている。
顔は相変わらず、真っ赤だ。
「すぐる。告白はこうやってするんだ。」
「で、お前は俺のことどう思ってるの?」
「言わない。ここじゃあ。」
「なんだよ。じゃあ、あっち、いこうぜ。」
と、言って行ってしまった。
俺、告白されている人初めて見た。
となりに、しずるがいるのを一瞬忘れてしまった。
「いいなぁ。」
しずるが、呟いた。




