第74話 こうもりの正体
その日は、夢のこうもりのことや、しずるの好きな人は誰なんだろうか。
と、気になることがありすぎて、なんだか、ぼーっとしてしまった。
英語の勉強でもするかな。
夕食の時間が来た。
「お兄ちゃん、明日文化祭なの?」
「ああ。そうだよ。」
「行きたいなー。行ってもいい?」
「ああ。別にいいよ。」
「お兄ちゃんのクラス、何するの?」
「喫茶店。」
「喫茶店かぁ。しずるおねぇちゃんもいる?」
「ああ。もちろん。」
「そっか。おかーさん。明日、おにーちゃんの文化祭行きたい。」
「あら。お母さん、仕事なんだけど…。」
「じゃあ、私、一人でいこーかな。」
なんて話していた。
「じゃあ、クラスで待ってるから。何かあったら、スマホ鳴らして。」
「オッケーお兄ちゃん。」
俺は、自分の部屋に戻った。
はぁ。なんだか、何もやる気しないなぁ。と、思いながら、ベッドでうたた寝をしてしまった。
「おぎゃあ!」
「あ、デビルちゃん!」
「デビル様」
かぐやが、赤ちゃんにミルクをあげていた。
「かぐや、その、赤ちゃんと、スーツを着た人は?」
「あ、デビルちゃんと、執事さんです。」
「はい。デビル様と、その執事でございます。」
「はぁ。」
「秋ヶ谷の、先の山の中腹から、こうもりやら、ゾンビやらが出てきたんだけど、聖泉魔法で浄化してたら、二人に行き着いたの。」
「はい。見つけて頂いたので、こちらに、住まわせて頂くことになりました。」
「え?山の中にいたの?」
「はい。魔神さんに、土を頂いたのですが、どうやら、魔神さんの世界のエネルギーと、こちらの世界のエネルギーが相まって、生まれてきたようです。」
ぴんぽーん!
「はーい。」
「宇宙宅配便です。魔神さんからお届け物です。サインお願いします。」
「宮古でいい?」
「はい。毎度ありがとうございました。」
なんだか、大きな木箱が届いたぞ。
「開けてみるか。」
どーん!!
「うわっ。手紙が入ってる。」
中には、宝石やら、金貨銀貨など、宝物が詰まっていた。
「えーっと。何々?この度は、迷惑をかけたようですまなかった。謝礼の品だ。受け取ってくれ。魔神。って書いてある。」
「あ、そうだ。ひじり様が電話をかけてくれた時に言ってましたわ。」
「それにしても、すごい宝物だな。」
「ただいまー。」
「ひじり様おかえりなさい。」
「ひじりさん、こんにちは。」
「やぁ。すぐるくん。」
「聖泉魔法を使った時に浄化したら、魔石が沢山出てきてね。全部回収してきたよ。」
ひじりさんの持ってきた袋の中に、キラキラ光る宝石のようなものがたくさん入っていた。
「す、すごい、宝石の量ですね…。」
「ああ。これで、デビルちゃんは、一生食いっぱぐれなさそうだよね。」
「ばぶー。」
知ってか知らずか、ミルクを飲み終えたデビルは、ご機嫌であった。
「じゃあ、こうもりとかは?」
「まぁ、執事さんが、出せるけど、出す必用もなくなったから一件落着かな。」
「そうなんだ。良かった。不気味だったから、心配したよ。」
「わたくしも、子育てを一人でするのは、気が重く、助かりました。」
執事も言っていた。
「宜しく。デビルちゃんと、執事さん。」
「こちらこそでございます。」
「ふぅ。」
俺は、ソファーに腰かけた。
「なんだい、すぐるくん、お疲れかい?」
「いや、明日、文化祭がありまして。」
「文化祭?」
「楽しそう!」
「僕らも行っていいかい?」
「はい。いいですよ。」
「やったー。」
かぐやが、喜んでいる。
「私たちは留守番してます。」
デビルちゃんと、執事は、留守番だそうだ。
「で、どうして、お疲れなんだい?」
「いや、しずるが、告白されてて。」
「あ、この間来たかわいこちゃんかい?」
「ま、まぁ。可愛いですけど。」
「好きなのかい?」
「好きってゆう感情がよくわからないんですが、好きな人がいるらしいんです。なのに、俺と文化祭回りたいそうで。」
「すぐるくんと回りたいんだね。この間、こっちに来た時も、彼女楽しそうにしてたもんね。」
「ああ。俺もそう思ってたんですが。」
「いいじゃないか。二人で楽しい思い出たくさん作れば、自ずと答えが見つかるさ。」
「そうなんですかね。じゃあ、文化祭の時に聞いてみようかな。」
「何を聞くんだい?」
「いや、好きな人いるなら、応援するぜ、と。」
「やれやれ。きみも鈍感だね。」
「うんうん。」
「ワン!」
俺は、うたた寝から起きた。
風呂入ってこようかな。




