第71話 魔神から貰った土②
かぐやと、ひじり、ムーンは、かぐや小町商店街を通って、市役所のほうに向かった。
かぐや小町商店街の軒下にも、こうもりがぶら下がっていた。
市役所にも問い合わせがあったようで、
「なんだか不気味ですね。」
「こうもりもたくさん飛んでますし、天候も悪くなってきました。」
「こんなの初めてですね。」
みんな、不安そうだ。
「じゃあ、秋ヶ谷のほうに行ってみようか。」
「はい。」
秋ヶ谷のゲームセンターを過ぎた奥の山のほうから、黒っぽい雲が発生している。
どうやらやはり、山から、こうもりや、黒雲が生まれているみたいだ。
「この山のどこかに、異変があったんだな。」
「あ!ひじりさん!あの山の中腹に洞窟ができてます!」
「本当だ!行ってみよう。」
「ワン!」
洞窟は、薄暗く、蜘蛛やこうもりが出てきた。
「ひじりさん、不気味です…。」
「仕方ない。ホーリーフラッシュ!!」
「ひじりさん!蜘蛛やこうもりが消えていきます!」
「かぐや、ここは聖泉魔法が効くようだ。」
「はい。じゃあ、聖泉魔法を使いながら、先に進みます!」
「ワン!」
聖泉魔法を使いながら、奥に進むと、ゾンビやミイラも出てきた。
「ホワイティング!!」
「ホーリーフラッシュ!!」
「ワンワオーン!!」
随分奥まで来た。
ゾンビや、ミイラのいたところには、キラキラ宝石のようなものが落ちている。
なんだか、洞窟がキラキラしてきたな。
「ふにゃー!ふにゃー!」
なんだか、赤ちゃんのような声がしている。
おや、こうもりの親分みたいなのもいるぞ。
「ふはははは。この土地は、デビル様のものだ!」
シャキーン!
振り向いて、人差し指を立ててターンをした。
「あ!」
かぐや、ひじりがいたことに気づいてなかったみたいだ。
「ホワイ…。」
「ホーリー…。」
「ワンワ…。」
「ちょっちょっとまってくれ!!」
「は?おまえは誰なんだ。」
「それが、目覚めたらここにいたのだ!」
「成仏させてやろうか?」
ひじりが言うと、
「まて。待ってくれ。デビルさまも、執事の私も、なぜここにいるか分からないのだ。」
「ふにゃー。ふにゃー。」
「お腹すいてるんじゃない?」
かぐやが言った。
「じゃあ、赤い屋根のお家に戻るか。」
執事とデビルを連れて帰ることにした。
赤い屋根のおうちに着いた。
「気づいたら、山の洞窟にいたってこと?」
「そうなんです。」
執事が言った。
「ふにゃあ。ごくごく。」
かぐやが、ミルクを作り、デビルにあげている。
「ふにゃあ。すーすー。」
寝てしまった。
「お腹がすいてたみたいですね。」
「そうだったのか。ミイラやゾンビ、こうもりを出しても泣き止まないから、どうしようかと思った。」
「やっぱり、お前の仕業だったのか。」
「わざとではないのだ。すまない。どうやら、土の中で生まれて、山を掘ったら、こうなったのだ。デビル様のためにこの世界があるのかと思ったのだ。」
「まぁ、わざとじゃないし、悪気もなかったみたいだから、鬼神に連絡を取ってみるか。」
「何?鬼神様はここにいらっしゃらないのか?」
「ここは、夢の世界だからな。」
「夢の世界?」




