第64話 日曜日。早乙女しずるの家。
今日は日曜日。
俺はVRとノートパソコンを持って、ミワと家を出た。
「おにーちゃん、手土産なにがいいかな。」
「しずるの最寄り駅で、菅原と佐々木さんと待ち合わせしてるから、みんなで買いにいくか。」
「うん。分かった。」
電車に乗り込んだ。
「ミワ、最近学校どうだ?」
「え?最近?いつも通り元気に通ってるよ。」
実は、先日、帰り道を送ってくれた男の子がいたのだ。
『みやこさーん。』
『はい?』
『はぁ。はぁ。追いついた。』
『どうしたの?神崎君。』
『いや、宮古さんのテニスの腕前がすごいからさ、どうしてか聞いてみたかったんだ。』
『え?そんなことないよ。神崎君だってすごいじゃない。』
『今日は、部活遅くなっちゃったから、家まで送るよ。』
『え?いいよ。』
『そんなこと言わずに。ね。』
『ありがとう。』
神崎君は同じ一年生で、テニスも上手だ。
なんだか、男の子と二人で歩くのが気恥ずかしい。
『小学校から、テニスしてたの?』
『うん。そうなんだ。お兄ちゃんがテニスしてて、一緒に着いてったりしてたんだ。』
『そうなんだ。宮古さんテニス上手いもんね。』
『そんなことないよ。神崎君だって上手じゃない。』
『ありがとう。休日はどこかで練習してたりするの?』
『土曜日は、前園公園のテニス場に行こうかなーなんて思っているよ。』
『そうなんだ。僕も行ってみようかな。』
そんな話をしながら、帰ってきたのだ。
電車の中で、ぽけーとそんなことを思い出していると、
「ミワ。着いたぞ。」
「え?お兄ちゃん待って。」
駅に着いた。
「おーい、宮古君。」
「待たせたか?」
改札を出ると、菅原と佐々木さんがいた。
「ううん。俺ら今来たとこ。」
「私も。」
「妹さん?」
と佐々木さん。
「はじめまして、宮古ミワといいます。良かったらミワと呼んで下さい。」
「同級生の、菅原さねよし、といいます。」
「私も同級生の佐々木かおり、といいます。」
「さねよしお兄ちゃんに、かおりお姉ちゃんでいいですか?」
「うんいいよ。」
「はい。」
二人はミワに笑顔を向けた。
「みんなー!」
しずるが来た。
「うちまで案内するね。」
途中のコンビニでお菓子や飲み物を買った。
10分程度だろうか。
閑静な住宅街を抜け、神社の前を曲がった。
お寺のような建物を通り過ぎようとすると、
「うち、ここなの。」
てへへ。と案内してくれたのは立派な門。
表札には、早乙女と書いてある。
「うち、剣道場があるんだ。」
聞くと、お父さんが、師範なのだそう。
そうだったのか。すげー!
「お邪魔します。」
門を抜けると、日本庭園のような立派なお庭。
「しずるの家、でかいんだな。」
「まあ、ね。」
すこし、恥ずかしそうにしている。
「今日は練習ないから、ここ使って。」
広い剣道場に案内してくれた。
テレビが置いてある。
「早乙女さん、こんな広いお部屋、ありがとうございます。」
「これなら、騒いでも大丈夫そうでしょ?収穫も思いっきりできるわよ。」
「収穫?」
「今日も収穫するんじゃないの?すぐる。」
「収穫も出来るけど、町を広げたから、他のこともできるよ。」
「え?このゲーム、宮古君が作ってるの?」
菅原と、佐々木が驚いていた。
「そうなの。すごいよねー。」
「じゃあ、テレビにPC繋ぐね。」
俺はそういうと、VRの準備をした。




