第60話 穏やかな日々
「ふぁ~あ。」
ひじりが目を覚ました。
んー!と伸びをして、
「なんか、僕、ここのソファーで寝ること多いな…。」
と呟いた。
外を見ると、キャッキャとかぐやの声や、ワンワン!うゎっやめろーなんて言いながら、プールを楽しんでいる声がした。
「楽しそうだな。なんか、お腹すいたな。」
神様は食べなくても大丈夫なのだが、美味しそうなものがあると、つい、食べたくなるのだ。
テーブルの上のみかんを剥いて、テーブルの椅子に座った。
「お。甘くて美味しいな。なんだか、よけいにお腹すいたな。何か作るか。」
冷蔵庫を開けると、卵と牛乳、野菜、小麦粉、米、魚介類、鹿の肉?などがあった。
鹿なんて、誰が捌いたのだろうなんて思いながら、フライパンを熱した。
塩を降った鹿の肉に、小麦粉をまぶした。
オリーブオイルがあったので、ニンニクをスライスして、熱したフライパンに入れた。
ニンニクの香りが出たら、鹿の肉を入れた。
ジューと音がして、いい香りがただよった。
鍋にお米を入れて、同じくらいの水を入れて火をかけた。
弱火でコトコトすると、お米もフツフツ沸いて、いい香りがしてきた。
鹿の肉を取り出して余熱で火を入れた。
フライパンに、ズッキーニとトマトと塩を入れてソースも作った。
バジルが欲しいな…と思っていると、
「わぁ~いい匂い!」
と、水着姿のかぐやと、
「すごくいい香りですね。」
と、すぐる。
「ワンワン!」
と、二人と一匹がプールから出てきた。
「やぁ。一緒にどうだい?」
ひじりはみんなを誘った。
「ひじりさん、お料理上手なんですね。」
「まぁ、30億年生きてるといろんなことおぼえるんだよー。」
「さ、30億年!?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「し、知らなかったです。」
「かぐやっちも、ああ見えて1億年くらい生きてるんじゃないかなぁ。」
くちの回りをトマトで赤くしたかぐやが顔を上げた。
「もう、そんなになりましたかしら。ひじり様とっても美味しいです。」
もぐもぐしながら、コメントしていた。
ええ!!えらく年上じゃないか。
「ワンワン!」
ムーンには、塩なしの鹿のソテーをあげたようだ。
美味しそうに食べている。
「かぐやさんって呼んだ方がいい?」
「そんなの気にしません。」
ふふふ。と笑っていた。
「はぁーお腹もいっぱいになったし、サーフィンでもするかな。」
「かぐやも海行くー!」
「ワンワン!」
「ひじりさん、サーフィンもできるんですか?」
「まぁ、たしなむ程度だけどね。」
と、ウインクした。
「俺もやってみようかな。」
「じゃあ、みんなで行くか。」
サーフィンの板を持って海へ行き、ひじりさんに、サーフィンを教えて貰った。
「うわっぷ。」
波になかなか乗れず、波にのまれてしまう。
「あははは。すぐるくん、惜しいね。もう少しだ。」
「まだまだー!」
もう一回チャレンジした。
「おー!すぐるくん、いい感じ!」
今度は波にのれている。
「うわっぷ。」
また、砂浜に流されてしまった。
でも、波に乗れたな。
えい!
今度はさっきより上手く乗れたな。
「上手い!上手い!」
ひじりさんが、ほめてくれた。
それにしても、ひじりさん、サーフィン上手だなー。
波にのり続けているひじりさんを見てそう思った。
「すぐるー!見てみて!」
かぐやは、砂でお城を作ったようだ。
かぐやの砂遊びのスキルも上がっていた。




