第51話 鬼神のお父さんと町
「ほんま、すんませんなぁ。」
二人の鬼の子供たちが、海で遊んでいる途中に、お父さんが到着した。
鬼らしく、大きな風格に毛むくじゃらだ。
「これ、少しですが、受け取ってください。」
見ると、砂金や高価そうな焼き物、金銀財宝がそこにあった。
「こんなの受け取れません。」
すぐるはそういうと、
「いやいや、今後もよしみにしてください。」
とお父さんが言った。
「いやー。それにしても昔を思い出すなぁ。」
「と、言いますと?」
「ワシも昔は、地球に行くのが好きで好きで。調子に乗ってたら、桃太郎に退治されたんじゃよ。懐かしいのぉ。」
「は、はぁ。」
「大丈夫じゃよ!この星に害を与えようなんて考えてないぞ。」
「そ、そうなんですか。」
「それにしても、いい星ですなぁ。ワシの星は、焼き物とか、鉱物、鋳物が盛んで、賑やかなんじゃ。良かったら、遊びにきでくだせぇ。」
「ありがとうございます。それで、宝物があんなにすごいんですね。」
「もし、良かったら、町を案内してくれんか?」
「もちろんです。」
「あの、茅葺屋根!いいなぁ。田んぼの里かぁ。地球の日本とか、ベトナムみたいじゃの。」
「地球のこと詳しいんですね。」
「しばらく、地球に出禁になってたからのぉ。最近は、角を隠して、地球に遊びに行くこともあるんじゃよ。」
「あっちの、日本家屋の町並みもいいのぉ。」
日本家屋の町は賑わっていた。
トントントントン!
それはこっちに運んでくれー!
と、お店だったり、いろいろなものの準備が進んでいるようだ。
「まだ、できたばかりの世界で、ついこの間、100人だけですが、転生してきたんです。」
「そうなんですか。器とか、わしの星でせいさんしちょるから、良かったら扱ってくれな。」
「ありがとうございます。」
砂浜に行くと、かなえさんと、ひじりさん、子鬼の二人がサーフィンをしていた。
「おーい!!たける!わたる!こっちにくるんじゃ。」
「げ、とうちゃん。」
「とうちゃーん!」
「ばかもーん!」
ごつん!とお父さんは、たけるの頭を殴った。
「いてててて。。。」
「おまえは。勝手に人様の星に行きおってからに。」
「宿題終わったし。」
「教えてもらったり、手伝ってもらったんじゃろ?お礼を言わんかお礼を。」
「あ、ありがとうな。」
「とうちゃーん、自由研究に、カメラ作ってくれたんだよ!!」
「これ、予備のフィルム。現像したくなったら、またおいで。」
「ありがとう!ひじりおにいちゃん!」
「えらい、すんませんなぁ。良くして頂いて。」
「いえいえ。こちらこそ。たくさん宝物頂いて。」
「また、何かあったら、言って下せえ。」
「そういえば、水族館の方には案内したんか?」
かなえが言った。
「あそこ、すごいんだよー。」
みことが言った。
「すぐるの力作だから。」
かぐやが言った。
「ワンワン!」
「じゃあ、みんなで行くか。」
すぐるは、水族館を案内した。
「ほぅ。これはまた。竜宮城を思い出すな。」
「「ほー!!」」
と、驚いている。
「とうちゃん、こっちにサンマが泳いでる。」
「本当だ!旨そうじゃな。」
「良かったら、持って行きますか?」
「いいんか?うれしいの。」
そんなこんなで、この世界を満喫してもらった。
宝物のお礼に、魚やら、農産物を渡し、鬼の星に帰っていった。
「すぐるおにいちゃん達ー。またくるねー!」
「また来てやるぜ。」
ゴツン!
「いで。」
父ちゃんに殴られて、たけるが頭を抑えている。
「みなさん、えらいお世話になりました。」
「いえ。またいらしてください。」
そう言って、宇宙船が出発した。
ふ~と一息ついていると、
「そろそろ、わても戻らんと。まだくるですぐる。」
「すぐるさん。また海で遊ばせて!」
と、かなえとみこと。
かぐやが、
「また、遊びに来てねー!」
と、ニコニコしている。とても楽しかったようだ。
「すぐる、サーフボードおいてくから、使ってーな。あ、ひじりもな。」
「「ありがとう」」
じゃあねーと、皆、解散した。




