第41話 長屋や日本家屋
えいっ!と念じると、
~ドドドド~と、長屋や日本家屋が立ち並ぶ、小さな町ができた。
「こんなのでいいでしょうか。」
「日本家屋か!趣があっていいね!江戸時代みたいだ。」
「お味噌やさん、しょう油やさん、酒屋さんなんかが立ち並ぶといいかなーと思いまして。」
「いいね!じゃあ、商店街みたくなる予定かな。」
「家族連れも来るんですよね。」
「そうだが。」
「いや、学校とか、職場とか、これから増やしたほうがいいのかなと。」
「さすが、すぐるくん。そこまで考えてくれてるんだね。転生者の適性もあるから、面接しながら決めていこうか。」
「あ、面接があるんですね!はい分かりました。」
「すでに一組目は決めてあるんだ。」
「そうなんですか。」
「地球以外の星で戦争に巻き込まれた家族がいてね。もう呼んだんだ。ほらあそこ。おーい!!」
「こんにちわー。えーっと、1,2,3,4…8人家族ですか?」
こちらに来てくれた。
「はい。そうなんです。家族みんなで平和に暮らせると聞いて、それだけでも嬉しくて。」
「立ち話も何なので、どこか家屋に入って話しましょうか。」
「ありがとうございます。」
かぐやくらいの小さい子もいて、キャッキャしている。
「地球以外でも戦争があるんですね。」
「そうなんだよ。やっぱり人が増えると、戦争みたいのも少なからず起こってしまうんだ。そうやって歴史が刻まれていくから仕方ないとは言えるけれど。」
「えーっと、前の職業は何をしてたんですか?」
「僕らは医師と看護師でね。病院に爆弾が撃たれてしまったんだよ。」
「お医者さん!」
「前の世界では薬も発展していたんだが、一瞬のことで吹き飛ばされてしまったよ。でも、こんなにいい所に住めるんだったらラッキーだったかもしれないね。」
わーい!と子供たちが走り回っている。
「あの世で私たちの父と母にも会ったんだ。老夫婦が二組いるけれど、こちらは私の父と母で、父が医者で母も看護師なんだ。」
医者の人は言った。
看護師の奥さんは、
「うちの父母も、戦争のある国は嫌と言っていて、あの世にずっといたみたいで。介護されるのも嫌なんて言ってたわよね。」
「そうなんです。健康が一番です。」
みんな、うんうん。と頷いている。
「お子さんが4人と。賑やかでいいですね。じゃあ、病院や学校がやっぱり必要ですね。」
いつの間にか、ひじりさんがおにぎりとお茶を持ってきた。
「これが、ここで採れたお米なんです。」
「わー!おいしそう!!」
子供たちが、我先に手に取った。
「これは美味しそうですね。」
「うん。うまい。この黒くて薄いものはなんですか?」
「それは海苔といいます。」
「うまいな~。」
みんな大満足のようだ。
「じゃあ、すこしここで休んでもらって、学校だとか、病院だとか、建ててきます。」
「すぐるくん、宜しく頼むよ。」
「はい。」
「え?私たちも手伝います。」
「いいのいいの。お疲れでしょうから、僕とくつろいでましょう。」
ひじりさんはそう言った。




