第33話 VRは夢の世界と一緒
VRを覗くと、そこは夢の中の世界そっくりだった。
出発点は、赤い屋根のお家だったようで、出るとすぐ畑に繋がっていた。
かぐやが、赤い屋根のお家に、滞在してくれてるからか、作物も順調に育っている。
~ぴろり~ん~
枝豆を収穫しますか?
→はい
いいえ
『はい』にカーソルを合わせ念じた。
~ぴろり~ん~
冷蔵庫にしまいますか?
→はい
いいえ
『はい』を選択すると、冷蔵庫にしまわれたようだ。
「すぐる、枝豆取ってくれたの?」
と、かぐや。
「ビール飲みたくなるな。」
ひじりさん、神様ってお酒、飲むのか。
「ひじりさん、俺は、現実世界で夢の世界に行くことはできないんですか?」
「う~ん、できないこともないんだけど、新学期始まったばっかりだし、自粛した方がいいんじゃないかと思うよ。」
「確かにひじりさんの言うとおりかも。」
今でさえ、予習、復習、学校のことが手が一杯だ。
「まぁ、すぐるくんの余裕のありそうな時に、連れてってあげるよ。まぁ、寝ちゃえば、行けるんだけどね。」
「すぐる、夢の世界、気に入ってくれてるんですね。」
「ああ。なんか、ほのぼの出来て好きだな。学校は勉強ばかりだし。まぁ、勉強も嫌いじゃないんだけど。」
「まぁ、基礎的な学習をしておくと、夢の世界でも役に立つから、損はしないよ。」
「友達がVRをやってもいいんですか?」
「もちろんいいよ。あ、予備のメガネと、フォルダが入った拡張アイテム渡しておくよ。」
「えー、すごい!ありがとうございます。ともよしっていう友達も興味持ってて。話聞かせろってうるさいんですよ。」
「まぁ、君らはそうゆう年頃だものな。秋葉原って、そうゆうのが好きなひとの集まりだから本当にイイよな。」
ひじりさんは、ニカッと笑った。
「もう、こんな時間か。」
すぐるは、時計を見ると呟いた。
「すぐるくんは、本当に真面目だね。」
「はい、やることはきちんとしないと気が落ち着かないんです。」
「すぐる、偉いね!」
「ワンワン!」
俺は、荷物をまとめ、
「また来ますね。」
「ああ、またおいで。」
「うん、すぐる、また夢の中で。」
「わぉーん!」
と、見送られながら、秋葉原駅の方向に歩いて行った。
「また、夢の中で会えるのが楽しみだな!」
「はい。ひじり様」
「ワン!」




