第28話 さんまバーベキュー
砂浜に戻ると、ひじりさんがどこからか、枝を出してサンマを串刺しにしていた。
ひじりさんがポンと手のひらを返すと、焚き火が上がり、その回りにサンマを刺していく。
「神様ってなんでもできるんですね。」
感心していると、
「すぐるくんもできるよ。」
笑顔で返された。
かぐやは、初めての経験のようでキラキラ目を輝かせていた。
焼きながら、
「もう、これはできたかな。」
ひじりさんが、かぐやと、俺に差し出してくれた。
「はふはふ、おいひーです。」
「ああ。うまい。」
「すぐるくんが作ったサンマ、刺身でもいけそうだね。醤油とカボスが欲しいな。」
食べながら、
「そうそう、ひじりくんにコレあげるよ。」
ひじりさんの手には、『取り扱い説明書』なるものがあった。
「はい。」
「なんですか、これ?」
「まぁ、現世に帰ったときのフォルダの使い方かな。」
「ああ。そうなんですか。」
「まぁ。君なら、良い世界を作ってくれそうだから大丈夫だとおもうけれど、小さいながら世界というのは繋がっていてな、俺達がサンマを食べているように、サンマもイカやプランクトンを食べるということなんだよ。」
「食物連鎖ってことですよね。」
「そうそう。地球で習っている勉強しかりなんだけど、化学だったり、歴史だったり、一歩間違うと大惨事~なんてことがあるだろ?」
「怖いですね。」
「そう、怖いって思ってくれたらいいんだ。期待してるよ。」
俺、大丈夫かなって心配になった。
「すぐる大丈夫。私たちがついてます。」
にっこり。
かぐやの笑顔を見たら元気がでてきた。
「そうだよな、かぐやや、ムーン、ひじりさんもいるんだし、大丈夫だよな。」
「その調子だ!すぐるくん。」
サンマを食べながら朗らかに過ごした。




