第六話「観戦者」
「おはようございます。」
「おっす!おはよう!ご飯つくっといたからな」
キッチンに足の長くて顔が鳥の変な人間がいる。
・・・誰だお前は、きっと寝ぼけてるんだなもう一回寝るか。あんな変なの夢にしか出てこない。
昨日疲れてるからなうん、寝よう。
「おきろよー今日は学校だろ?」
「うるせー!キモいからさわんなー!」
綺麗なパンチが鳥人間の頬に当たった。あれ殴った拍子に雀の姿になった・・・
「お前スズメか!?どうしたその姿!」
「お前に飯を作ってやろうと思って人間の姿になったんだが驚かせちまったな・・」
驚いたって言うか、気味が悪くて恐怖を覚えたわよ。本当になんでもありだなその体。
「飯食ったら俺を呼べよ学校までひとっ飛びしてやるからな!」
「・・・目立つから遠慮しとく」
学校は嫌いだ、学校に入るだけで心の声が滝のように流れてくるし人間関係のどろどろした部分がわかって気分が悪くなる。
「心お前こんないい所で学べるのか!」
「スズメ・・・私の肩でじっとしてて、話しかけるなら心の中で。」
(おーけぃ。)
「あら!相澤さん、おはよう!」
「おはよう、西野さん」
「昨日はどうしたん?具合でも悪かった?」
(相澤がいなかったから、寂しかったよー)
「・・・大丈夫よ。それより時間大丈夫なの朝練じゃないの。」
「そーだった!バイバイ!」
(心今の子は?)
「西野仁美って子あの子は素直で、心まで綺麗な人よ。」
(お前が人を褒めるの初めてきいたぞ!それにあの子に気に入られてんな!)
「・・・そうね。あの子はあのままでいて欲しいわ。」
(うわっあの女肩に鳥のっけてるうけるー)
すれ違いざまにバカな奴の心の声を拾ってしまった。こういうのは別に許せる、でも少し頭にくるわ。
心を読む能力なんてあるだけで邪魔。知らなくていいことまで知ってしまうんだもの。
教室にいると仲良くしてる女子の本音が聞こえてきたり。
仲のいい男女の互いに気づかない恋心がわかったり、男のキモい妄想まで私は分かってしまう。
妄想系のは本当に酷い、クラス1の美人がブサイクに犯される妄想をして興奮してたり。生徒達のBLを想像する教師もいたり。あんなの授業中にやられたらたまったもんじゃないわ。
「おはよーございまーす。」
小声でそう言って私は教室に入った。みんな静かに本を読んでるのにも関わらず、教室内は騒がしい、みんな無心で本を読んでないことがわかる。
(おお!あいつのブラ透けてるラッキー!)
(しんどい寝たい)
(由美子のやつムカつく死ね!)
(昨日のノースウォッチングゲーム面白かったなぁ)
(やばい洗濯もの干しっぱなしだ!今日雨降るのに!)
はぁ本読むときくらい静かに読めないのかしら・・・ちょっと待って、誰だあのゲームの事言ったやつ!みんなうるさい!ちょっと黙りなさい!
「ねぇ相澤さんちょっといいかな?」
「言いけれどこのタイミング出来たってことは貴方かしら?」
「何のことかなまぁいいや。君に聞きたいことがあってね。」
「あのゲームへの出場方法僕に教えてよ!」