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第二十二話「翔太郎アスレチック後編」

「……翔太郎、お前は何をやってもダメなクズだ」

「だからお前を変えてやったのに、なぜ元の何も出来ないクズに戻ってしまった」

「心を無くし、ただの狂人にしてやったのになぜだ」

「なぜ心を取り戻してしまった、すべてあの相澤心のせいなのか」

「でも大丈夫だ、今日で全て元に戻る」



「マスター! 快調です! ちょーぜつグレート!」

「逃げ切ることは容易いですよ!」

「いやまって! 今話しかけないで! 落ちる落ちるから!」


アスレチック開始15分、翔太郎は今1本の綱を渡っている、下を見ると暗い世界が広がっている

一歩一歩落ちないよう慎重に足を運ぶ

だがしかし、これを成功させる運営ではない

前方から人工的な強風が翔太郎を襲う


「バブルガード」

「おおー泡で守られてますよ!」

「うまいこと割れずに、私たちを風邪で防いでます!」


おおー! すごい! がんばってるなぁ!

会場ではそんな声が聞こえてくる

ここにいるほとんどの人間が彼のゲームを楽しみながら鑑賞している

この3人と1羽を除いては


「翔太郎大丈夫かしら、始まって15分なのに……」

「翔ちゃん案外やるじゃん、ちゃんと生き残ってよね」

「心ちゃんを悲しませる結果にしたら許さないんだから」

「頑張ってくれ翔太郎!」



「……なんとか渡れた」

「マスターここまでで25分経過あと35分です」

「あぁ」

「マスター! 来ます! 集中砲火! 大量の矢がこちらに向かって放たれています!」

「くそっ! 前に向かって全速で走る!」


トストストスと翔太郎が走った方向に矢が地面に刺さった


「マスター! こんどはゾンビの大軍です!」

「ああもう! キリがない! つかあの阿呆数打ちゃ当たると思ってるだろ!」

「マスター! 目が回ります! あばばばばば」

「ヒツジあと何分だ!」

「あと20分です~なんか後半雑になってますよね~」

「親父さんを追い詰めてるんですかね?」

「……だといいんだけど」


「だーーーー! なぜだ! なぜ私が用意した罠を易々とかいくぐる!」

「くそっ! ……まぁよい残り5分にさえなれば私の勝ちだ」

「翔太郎よもがき苦しめそして楽しめ!」

「ふひっふひっふはははは!」



「……ねえなんかつまらなくない?」

「心!? お前何言ってんだ!?」

「僕もそう思ってた!」

「心、霧雨と同じ思考を持つなんてやばいぞ?」

「そうじゃないわ」

「……ただ人を陥れる奴がこんなゲームみたらそういうんじゃないかって」




「マスターお疲れ様です後7分ほどになりました」


……おかしい、親父のやつ

潰しに来ると思ったのになんだこの生温いゲーム

は、全然ピンチにもならないしこのゲーム特有の腹が立つ要素がない!

あと数分でゲームが終わってしまうんだぞ!

このままじゃ俺が勝ってしまうんだぞ!


「あのマスター少しお話してもいいですか?」

「……どうしたヒツジ」

「私作られたから、不具合があったんです」

「それに、ノロマでグズで仕事もできなくて皆から蔑まれました」

「でもそんな私にもすごい仕事が来たんです!」

「それが今日の舞台です」

「だから私とても嬉しくてマスターの期待に応えようと思ったんです!」

「そうか……ヒツジそんなふうに思ってたんだ」

「はい! ……でも私あと数分の命なんです」

「へっ? 何言ってるんだ君はブキコットだぞ? 君は死なない」

「翔太郎さんに会えてよかった、最初にあったのが貴方だったのならこんな別れ方しなかったのに」


そういうとヒツジの槍は姿を変えぐにゃぐにゃと曲がり始めた

そして翔太郎の体に巻きついた


「ちっ! なんで気づかなかった!」

「くそっ! こんなのってありか!」


親父は最初からこれを狙っていたのか!

親父は俺を散々ゲームで客の見せ物にしてそれからこうやって胸糞悪い方法で潰すつもりだったのかよ!


「……マスタァ出会えて嬉しかったですよ」

「でもホントのマスターはあなたのお父様でしたけどね!」

「はははっ! 頑張ってきたのに台無しですね!」

「私はあと5分で爆発する! 今まで過ごした55分が無駄になってしまいますねー!」

「……君は酷いやつだね」

「仕方ないのです、私みたいなやつにはお似合いの汚れしごとです」

「あなたは最後の5分どう足掻いて皆を楽しませますか?」

「……僕は」



うおおおおおおお! まじか!!! なんだこの展開むなくそ! それがまたいい! 初めからかたせるきねーじゃねーか!


「すごい観客が喜んでるよ」

「さっきまでの翔太郎さんの頑張りをみてたからでしょ」

「人っていうのは頑張ってる人間が報われるより、報われない方が見ていて楽しいもの」

「……嘘よこんなのって嘘よ」

「やだ、やめて! お願い!」



「足掻かないで、喚かないで、怒らないで」

「ただ単に棒みたいに立ってこのゲームを終わらせるよ」

「えっ??? ふざけてんの?」

「うん、ふざけてる」

「俺はそうやって皆の見せ物になるのはごめんだ」

「だから最後はつまらなく終わるよ」

「なっ? じゃっじゃあ! ちょっと力緩めちゃおーかなーなんて」

「無駄だよ残り数秒だろ? ぱっぱと自爆しろよ」

「どーせ人体には無害なんだからさ」

「……」

「ヒツジ少しの間だったけど君と信頼関係が築けてよかったよ」

「じゃあね」


ドーン!

と爆発音が響き、モニターには戦闘不能と表示された翔太郎の姿だけが残されていた


「さっさあ! 今回の罰ゲームは!」

「闇の中の1本の光」

「ごゆるりとお楽しみください」



「……ここは?」


あぁそうか罰ゲーム室か……めんどくさいなぁ

そうかみんなここで心を壊されたのか

暗い、怖い、寂しいこんな部屋であんな映像体験したらそりゃあんなになるよ

……俺は酷いことをしてきたな


「そんなことないよ」

「私はあなたに会えて嬉しかった」

「心? まじで? 嬉しいな」

「でもどうしてここに?」

「大丈夫よ、今助けるから」

「あなたの心を壊させはしない!」

「心……!」



「違う! それは私じゃない!」

「お願い気づいて! 気づいてよ!」

「やだよ翔太郎! そんな結末じゃやだよ!」

「心! 落ち着け! お前まで壊れるぞ!?」

「心ちゃんに映像を見せるな! 隠せ!」

「ごめんね心ちゃん! ちょっと隠す!」



「翔太郎どうしたの?」

「いや別にただ俺は幸せ者だなって」

「ふふふ本当にそうね」


ザクッ


「えっ?」

「でも、あなたは幸せになりすぎた」

「ここで辛い思いをした人間のこと忘れたの?」

「心を壊し、それを見せ物にした」

「その人達を差し置いて幸せになるなんて酷いじゃない」

「だからね」

「幸せなった分あなたは絶望を味わいなさい」



「はい! ここまでー!」

「彼が最後に見たのは彼が親しいと思ってる相手」

「そんな人に刺されて暴言吐かれて死んでく体験をしたら心なんて壊れちゃうよね」

「まったく実の息子なのにこんなことしなきゃいけないなんて泣けてくるよ」

「じゃー次回をお楽しみにばいばい!!」

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