第十一話「決着」
「何が本気だよ.......めちゃめちゃ弱いじゃん!」
「ぐはっ! ここまでとは.......」
「よくそれで優勝候補なんて言われてたね」
「.......」
「あらら、ねちゃった」
「さてあと一人探しに行くか」
「まったく腹が立つ!」
「おいおい心かっかするなよ」
「俺らにとって悪くない話だと思うぜ」
「良くない! 私はあんな心の無いことしたくない!」
「しかし、伯爵も何考えてるかわかんねぇぜ」
「多分これから私たちは、あいつの悪巧みに巻き込まれていくんでしょうね」
「本当に腹が立つ!」
「ねーブラック、人間サーチ機能とかないの?」
「そんなものない」
「役に立たないね、けん玉」
「お前.......普通けん玉にそんな機能ない」
「普通はけん玉を武器になんかしないよ」
「武器っていうのはな、これが武器だと思えば武器なんだよ」
「なんだよその理屈.......」
「その通りだ」
声のする方を振り返ってみると、後ろにタンクトップと短パンで丸坊主の男が立っていた。
「見つけたぞ、良くぞあの二人を倒した」
「きもい!」
「かっこだけで判断するな、そしてその武器で殴るな」
「お兄さん、そんなふざけたかっこで僕に挑もうってわけ?」
「そっこーで終わらせるよ!」
「舐められては困る、この勇このゲームの重役という物を任せられてる」
「知らないよ、そんなのより早く戦おうよ」
「うむ、かなりの戦闘狂とみた、手合わせ願おうか」
「きなよ、痛い目みせて泣かせてあげるから」
「ははっ言うな、では遠慮なくいかせてもらおう!」
「食らえ! エアーカッター!」
「ぬぅん! 効かぬ!」
「弾き返した!? ちょっ危ないじゃないか!」
「ふははは! 我の能力はノンダメージこの強靭な肉体は刃物も通さぬ!」
「なにこいつ.......案外強いんだけど!」
「さっきまで挑発してごめんなさい!」
「謝っても、もう遅いこの勇の戦う意志はもう止められん!」
どうしよ、あの体だったらけん玉の糸で縛っても
糸をちぎって襲ってくるよね.......
でもまてよ、あいつが無敵なのは体だけ、ということは内部は無敵じゃないよね!
「ブラック! 小さくなれる?」
「どういうことだ!?」
「なれるの? なれないの?」
「なれるわ! ほらどうだ、完璧な小ささだろ!」
「ブラック流石! そしてごめんちょっとベタベタするね!」
「どういうことだ絆!?」
「どんなことをしても無駄無駄無駄!」
「殴ってばっかじゃつまんないよ」
「それにそんな隙間がある殴り方じゃ僕に懐に入られちゃうよ?」
「ぬっ!?」
「気づくのが遅いよ」
「僕のけん玉美味しく食べてね」
ズボッと霧雨は勇の口にけん玉を入れ空気で無理やり喉の奥まで押し込んだ。
「あがっがっが! いぎがぁぁぁぁぁぁ!」
「やっぱり! 体の中は無敵じゃないか!」
「というか物理的に息を止めただけだろ、早く出してくれ」
「駄目だよブラック、こいつが窒息して気絶するまで中にいてね」
「だってまだ、戦闘不能の表示が出てないんだもの。それまで我慢してよね」
「勘弁してくれ、生暖かくて気持ち悪い」
「そして勇くん君はその苦しむ顔を僕に向けながら絶望してね」
「.......!!」
「あははっもう声も出ないかー!」
「いいねぇその顔僕の心が喜んでるよ」
「絆.......お前は狂ってるだがそれがいい!」
「ブラック、僕は狂ってないよ」
「ただ人が絶望したり、希望を持ったりするのを見るのが楽しいだけなんだ」
「そして、僕がその希望を打ち砕くのはもっと楽しいし絶望を希望に変えるのも楽しいんだ!」
「.......やっぱり狂ってやがるぜ」
「やったやったよ!」
「霧雨絆、彼も凄いぞ!」
「でも彼を仲間に加えると俺までやられそうだ」
「さーて結果発表だ、テンション上げてみんなを楽しませなきゃね」
「.......その必要はない」
「支配人、何のようですか」
「今回罰ゲームはなしだ」
「その代わり私があの場で重大発表をする」
「なんでだよ! みんなを楽しませるのが俺の役目だ! みんな罰ゲームを望んでる!」
「黙れ、支配人の言うことは絶対だ」
「それとも、またあの部屋に入れられたいか?」
「.......わかりました、今回は支配人がしたいようにしてください」
「わかればいいんだ」
.......絶対許さねぇ!早くこのゲームを乗っ取り親父を絶望のどん底に叩き込んでやる!
そして俺の望んだ世界に! こんな腐った世界を俺がぶっ壊してやる!