8話
「せ、世界を救う?私がですか?」
レーンさんの発言は全く意味が分かりませんでした。なぜ元魔王の私が世界を救えるのかなんの脈略も無かったからです。
「そうだ、救ってくれ」
レーンさんの肩を握る力が強くなります。
「ま、待ってください、どうゆう事ですか?」
「私は思うんだ、もう1度お前が魔王になれば世界を取り巻く状況は好転するんじゃないかって、推論があっているならお前は魔物を従わせることもできるし、制圧することもできる。そして、人間との共存を図るのであれば無闇な破壊行為もしない。そんな魔王はお前しかいない。だからお前には世界を救う力があるし、救えるのはお前しかいないんだ」
レーンさんの意見は無茶苦茶でしたが、正しいことでした。確かに私が魔王になれば人間界に今日のような事が起こることは偶然が重ならない限り、万に一つも起こさせないからです。
「無理です」
ですが、私にも事情があるのです。
その言葉を聞いたレーンさんは驚いていました。
「なんでだ!」
私の肩をつかむ力がより一層強くなり、そして、私の肩を肩を揺さぶってきました。まるで子供がダダをこねているようです。
「それは、あなたに共存を提案しなかった理由にも関係あります」
「どういう事だ」
レーンさんは私の肩から手を離して、じっと私の瞳をのぞき込みました。
「私は……私は部下に魔王を辞任させられたんですよ、それも現魔王にね」