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キャラメルは今・・・

作者: しゅうや

 さわやかな春風が吹く中、私は走っていた。風のように軽やかに。自分のペットに会うために。私の名前は、あかり。今日は、私のペットの犬であるキャラメルが家に来てから一年になる日だった。だから私は、キャラメルにためにプレゼントを買って帰っている途中だった。

「キャラメル喜ぶかな?」

そんな事をつぶやきながら走る足を急がせる。家に帰ったらあんなことになっているなんて、思ってもいなかったから・・・


 僕はみなと。あかりの弟だ。僕は本を読むのが好きだった。もっと言えば静かなところで読んでいたい。だから、ほぼ毎日図書館に来ていた。図書館にいる理由はキャラメルだ。キャラメルが来てからうるさくて、家では落ち着いて本を読めなかった。だからこそ僕は、キャラメルがそこまで好きじゃない。しかも今日は一年目・・・あかりまでうるさいだろう。

「いつ静かになるのかな・・・」

そんな事を考えつつ本を読み続けるのだった。


 「ただいま!!」

家に着いた、やっとキャラメルに会える。でも、いつも足に飛びついてくるはずのキャラメルは、来なかった。家じゅうを探した。何度も呼んだ。でも、それでも、見つからなかった。

「きっと外に行ったんだ・・・」

そうつぶやいて走り出した。

「みなとにも手伝ってもらおう。」

みなとがいるであろう図書館へ。キャラメルのことを考えながら・・・


 図書館はとても静かだった。僕は集中して、何も考えず本を読んでいた。でも、そんな僕に話しかけてくる人がいた。

「みなと、大変!!」

あかりだった。なんだか、とても焦っていた。

「なんだよ。」

いやいや問い返す。

「キャラメルが・・・いなくなった。」

「それで?」

キャラメルがいなくなった。それは僕にとって好都合だった。

「探すの、手伝って。」

どうして僕が手伝うと思ったのだろう。

「ごめん。僕帰るから。」

こうして僕は、静かになった家に帰るのだった。


 なんと冷たい弟だろう。そんなことを思いながら、私は再びキャラメルを探す。図書館を出て走る。見つけるまで帰らないなんて、そんな事を思いながら・・・


 家に着いた僕は本を読み始めた。静かだった。とても静かだった。いいんだ、静かだから。そう思っていた・・・。でも、何かが違った。何か、物足りなかった。

「キャラメル・・・」

そうつぶやいたときには走り出していた。楽しかったんだ。楽しかったんだ、キャラメルといた日々が。いなくなって初めて気づいた。キャラメルの大切さに。あかりも探しているはずだ。二人で探せばすぐに見つかる。だから僕も探そう。そんな思いで走り続けるのだった・・・


 どのくらい走ったのだろう。一時間、二時間、いやもっとかもしれない。時間など気にしていなかった。今は、疲れたので、少し休憩していた。そんなとき、前を通った人が目に入った。

「みなと?」

でも、あっちは気づかなかったのかのように走っていった。なぜ走っていたのかは分からない。キャラメルを探していたのかもしれないし、違うのかもしれない。それでも探していると信じた。そして、絶対に見つかる、そう心に言い聞かせて。


 僕は走っていた。途中あかりが見えたような気がしたが、気にしなかった。

「もしこれが本だったら、最初にあった場所・・・」

現実にそんなことがあるのだろうか。いや、きっとない。そんなのは人の想像だ。あり得ないと思った。思っていた。でも、それ以外行く場所なんてなかった。それしか思いつかなかった。だからそこに向かった。キャラメルと最初に会った、隣町へ・・・


 みなとがどこに行ったのかは分からない。だからついていくことにした。みなとが行く方向からして、隣町。最初にキャラメルとあった場所かな。走って、走って、とうとうみなとに追いついた。キャラメルと最初に会った公園に・・・


 とうとう見つけた。公園の真ん中にいたんだ。

「キャラメル!」

僕は走った。全速力で走った。とうとう見つけたんだ。

「キャラメルーー!」

どこにいたのかあかりも来た。

「みなと、見つけてくれてありがとう!」

「うん。僕も今日からキャラメルを大切にする。」

やっと終わったんだ。もういらないなんて思わない。

                   

                  大切な家族だから・・・

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