呪い子
今日俺とミュウは冒険者ギルドに来ている。勿論依頼を受けるためだ。
「ニナさん、これをお願いします」
俺が出したのは、ゴブリン討伐ランクE。
「依頼を受領しました。ゴブリンは初級者レベルですが気を付けて下さい」
俺達が初めての依頼ということで、気を使ってくれているのだ。
「ホクトもいるので大丈夫ですよ。そのホクトを待たせているので行ってきます」
そう言って俺とミュウはギルドを出た。
ギルドを出た俺達はホクトと合流して街を出るため今門にいる。
「やぁリュートくん、依頼かい?」
警備隊長のシリウスだ。
「そうですよ」
「なんだい、その可愛い子は、もう捕まえたのかい?」
イラッミュウは違うっての、
「パートナーだよ」
「そっかぁ、いいや!君たちの門の通過を許可するよ!気をつけて」
俺達はシリウスに送られ街を出た。
俺とミュウは今ホクトの背にまたがったている。2人も乗せているのに、重さを感じさせないかのようなスピードで走るホクト。
「ホクト、ここでいいぞ!」
俺が言うとホクトはゆっくり止まった。
「お疲れ様、ホクト」
「ワォン!」
大丈夫!とでもいうように元気よく吠えるホクト。
「追加で悪いけど周囲の警戒頼むなホクト」
「ワオーン!」
任せろといわばかりの大きさで吠えたホクトは走って周囲の警戒に行った。
「じゃあ早速、ミュウの装備を決めるか」
俺が言うと、待ってましたというように喜んだ。「お願いします、リュートさん!」
「分かった。しかしその前にお前のステータスを見るがいいな?」
ちなみに観察眼の事は昨日教えておいた。
「わかりました、大丈夫です」
一瞬寂しそうな顔をして決意した顔になる。
「分かった」
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ミュウ・アレスタ 【銀狼族】
女 12歳
レベル 25
HP 1500
MP 1000
力 1500
速 2000
戦闘スキル
水魔術Lv5 短剣術Lv5
特性
【呪い子】
満月の日に血が暴走して獣化して暴れてしまう。また不幸を運ぶ。
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呪い子か………
「なぁ、ミュウ。呪い子だろ?それがお前の秘密だろ?」
濁さずまっすぐな言葉で聞いた。
「…はい、そうです」
「そうか、じゃあさお前の事情を聞かせてくれねぇか?」
「リュートさんになら、わかりました」
彼女の過去と事情を聞いた。
ミュウはこの街から少し離れた所にあり、森に囲まれた銀狼族の里に住んでいた誘い込む。この街に来る前まで楽しく暮らしていたそうだ。だがある時の満月の夜にミュウ自身はおぼえていないが獣化して暴れてしまったらしい。それが原因で呪い子とバレてしまった。村の掟で呪い子は殺されるとのことだが、両親に助けられ里の外に1人で逃げて来て今に至るわけだという。
「なぁミュウ、最初に言ってた迷惑とはこのことか?」
すべてを聞いたあと俺が聞くと、
「…そうです。嫌ですよね、こんな私ッ!ヒグ!近くにいたらグスッ!」
泣きながら、言っているが、
「くだらねぇな、そんなの。そんな呪い子なんぞどうでもいい。最初に言ったよな、迷惑なんていい、お互い様だと!俺はそんなこと気にしない。だから泣くな。ミュウ」
「リュートさん…」
俺にそんなことを言われて喜んでいるが、でもという感じだ。
「それになミュウ、もっと俺を頼ったって、我が儘言ったっていいんだぜ?俺なら、治せるかもしれんしな」
俺が自信ありげに言うと、ミュウは涙を流しながら聞いてきた、
「本当ですか?」
「おうよ、任せな!こっち来い」
「はい!」
ミュウを俺の膝の上に寝かせる、いわゆる膝枕だ。
「ふぇ?あ、あの!」
「ちょっと待ってろ」
俺は両手に魔力を集め呪いを浄化する光を強くイメージする。日本にいた頃見ていたアニメの浄化魔法的なのを。すると青白い魔力が消えて、代わりに暖かさを感じる光の玉が二つ現れる。その光をミュウに当てると、一瞬光がミュウの体を覆ってから弾けた。
それからもう一度ミュウのステータスを見るが呪い子は消えていた。その代わりに【女神の加護】がついていた。あの女神様か……。関わってるな絶対。まぁしかしこれは幸運が上がるらしい。
「消えたぞ呪い」
俺がミュウの頭をなでながら言うと、
「ありがとうございます、リュートさん!」ニコッ
女神にも負けずの笑顔を浮かべるのだった