魔法
ケルベロスを倒した俺はミュウたちがどうなったか気になって、ホクトに跨って探していた。
ひときわ大きな爆発的が起きたところに行ってみた。すると。
「おりゃゃゃゃあぁぁ!」
放電する斧振り切った姿のギエルと真っ二つになり焦げたケルベロスがいた。
「こっちも終わってたか」
こっちもケルベロスだったみたいだが結果を見るに特に重症もなく善戦だったようだ。
「リュートさーん!凄いです!」
何がすごいのかわからない。なんかしたっけ?
「だってランクAを1人で倒したんですよね?」
そういうことか。ギエル達はパーティーで勝ったが俺はひとりで勝っている。
「こっちと同じでケルベロスだったよ。それにギエルでもひとりで倒せただろ」
ミュウと話していると豪快な声が聞こえる。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!でもだなリュート、お前の年でしかもほとんど怪我もしねぇで勝つのはすげぇことだぜ!誇れよ」
まぁ素直な感想を言ったつもりなんだが。ソレはそうとこの後どうするんだろうか?
「この後は?」
俺の答えに、えーと、えーマルスかな、が答える。
「この後は、他の魔物の討伐だよ」
「わかったが、頼みたいことがあるんだけどいいか?」
俺達は今、魔物達から少し離れた所にいる。
「まさか自分の魔術で全力を出したいからやらせろなんて、驚いたぜ」
ギエルが面白そうに言い、エナが
「あの魔力の量なら……」
と言っている。頼んだ事はこうだ。魔物を1体づつ倒すのが面倒だから、高威力の魔法を使って殲滅していいか、ということだけである。
「じゃあやるぞ」
両手で胸の前に魔力をためる。自分の中にある魔力を引っ張り出す。イメージは吹雪のエネルギーを氷で囲い圧縮していく。外層の氷も厚くしていく。これは着弾すると氷が舞う吹雪を起こす。
「……【永久吹雪】」
できた氷の玉を魔物達の中心に投げる。するとバァァン、ヒュゴォォウッと音をたてて吹雪が起こる。
「くっ、うぅ…」
体から力が抜けて、視界がだんだん暗くなって倒れる。少し疲れたな…………。
「うぅ、……ここは?」
目が覚めると、
「起きましたか、リュートさん?」
ミュウが心配そうに聞いてくる。
「ああ、それよりここはどこだ?」
「ここはギルドの休憩室ですよ。リュートさんは急激に魔力を消費して倒れたんですよ」
思い出してきたぞ…………………。
たしか魔法を使って魔物を殲滅しようとしたんだっけか。
「波はどうなったか?」
「リュートさんの魔術で残りの半分が倒されて、すぐにみな討伐されたんですよ」
あれ結構な威力あったんだな。
「リュートさんの魔術すごかったんですよ?魔物が凍ってるし、氷に貫かれてるし。さすがリュートさんですね!でも心配しましたよ……?」
心配掛けちゃったか。
「後でホクトに感謝してくださいね?リュートさんをここまで運んでくれたんですから」
そうか、ソレは御褒美をあげなくては。
コンコンとドアがノックされる。
「入るぞリュート」
ギエルが入ってきた。
「この街の領主が呼んでる」
…………………は?