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2.レイモンの日常

 レイモン・ランダードの父親は、国王陛下の弟セリウス・ランダードであった。

 国王陛下には第1王子がいるが、まだ幼く、王太子として立太子していないため、セリウスが第2王位継承者であることから、その息子のレイモンもまだ王族の一員として扱われている。

 そのため、王宮にも幼い頃から自宅のようによく出入りしていた。

 今日は情報省長官として働くセリウスによばれて、7歳になるレイモンは1人でセリウスの執務室に向かっていた。


「レーイモ―ン!!」と王宮の廊下を歩くレイモンのところへ、4つ上の11歳になるエミール第1王子が嬉しそうに駆け寄ってきた。


「ちっ、エミールか……」とつぶやき、スルーしたいレイモン。


「……レイ、3日ぶり!!今日も可愛い~」とニコニコしながら挨拶するエミール。

 レイモンは普段は親しい者たちからレイと呼ばれている。

 エミールとは幼い頃から仲良くしているが、こんな風に可愛がるエミールにはいつも苛立ちを感じるレイモンであった。

 しかし、従兄で第1王子のため、無視はしないように両親から厳しく言われているため、レイモンは一応、いやいやながら返事をする。


「おう!いつも言っているが、男に可愛いって言うな」とぶっきらぼうに返事をするレイモン。


「……レイはその無駄な男らしさをなくせばいいのに」と残念そうにエミールに言われ、さらに苛立つレイモン。


「無駄じゃないから!俺の男らしさ」


「……レイは男でさえなければ欠点がなくなって完璧なのに。身分も容姿も能力も」とまたもや残念そうに言われる。


「いや、普通、性別は欠点にはならないから」


「……欠点だよ。僕との婚期までには換えようね?」


「いやいや、換えないよ!本当にいい加減にしろよ!?」


「……いい加減じゃないよ!僕は本気だよ」


「……父上に呼ばれているから、じゃあな」ともうスルーすることにしたレイモンはエミールから離れようとするが、エミールはレイモンをしっかり捕まえて、あやしげな桃色の液体の入った透明な小瓶を差し出した。


「待って!!

 ついに完成したんだ。

 君を僕の理想のお嫁さんにするための薬の試作品第117号が!!

 ほら、飲んでね?」とあやしげな薬をレイモンに飲ませようとするエミール。


「飲まないよ!!

 もう、何度言えばわかるんだ。

 俺は女になる気もないし、お前に嫁入りなんてしないから!」と拒否するレイモン。


「……今回は大丈夫!

 君を苦しめるような成分は入ってないよ。

 渾身の作だから!!」


「いやもう、そういう次元の問題じゃないからな!」と怒るレイモン。


「……そんな心配しないで。

 レイの体に負担はかからないように1ヶ月もかけて開発したからね」


「心配以前の問題だから!

 そんな1ヶ月も無駄な時間を過ごさず、この国の王子としてちゃんとしろ!!」


「……そうだね。

 僕が将来、王になったら、レイが王妃になるから、すぐにでも君には王妃教育をしないとね」


「いや、ありえないから!」


「……お互い、がんばろうね!

 さあ、まず、これ飲んで!!」


「いや、飲まないから!」とレイモンとエミールはいつものようにもみ合ったが、勝負はすぐについた。


 レイモンはこの長きに渡るエミールからのレイモンを性転換させようとする攻撃により、幼くしてすでに通常の大人よりも戦闘能力も高く、魔法も母譲りで才能があり、防御も完璧であった。

 さっさとエミールを退けて、あやしげな薬も消滅させておいたレイモンはスタスタと父親の執務室に向かう。


「ああー!僕の1ヶ月の努力がー!!」と粉々にされた小瓶の前で叫ぶエミールに、レイモンはいつも思う。


 いい加減あきらめて、このランダード王国のためにも、まともな王太子になってくれ!

次回から、レイモンは秘密諜報部員として活躍する予定です!


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