料理するには材料がなくちゃ始まらない
刺さるような朝日に俺は目を覚ました。とりあえず昨日深夜まで食事係は何やら話し合っていたようなので朝食が楽しみだ。
心の跳ねるような思いで食堂へ行くと、その期待をはるかに上回る美味しそうな料理がずらりと並んでいた。
「おまえら…すごいじゃないか!俺が教えたのはこんなすごいものじゃないぞ!」
「はい!レナがスキル『料理人』に目覚めたおかげで前とは比べ物にならないほど美味しく早く健康的な食事になってます!」
なるほど。あの時に目覚めたスキルそんなにすごかったのか。残念ながら俺は目覚めることがなかったようだがな。
これからの長旅の時はレナを同伴しよう。きっとレナほどまでは行かずとも食事係も美味しい食事を村で提供できるほどの腕前にはなってるだろう。
朝食を取り終えると集会が始まった。コルバスが壇上に立つ。
「昨日我らの国に食事の革命が起きた!その功労者を今からたたえることとする!ショウ!レナ!前に出よ!」
…え?レナがたたえられるのはわかるけどなぜ俺まで?
そんな疑問も考える余地無くレナに手を引かれて前に出て行った。
「昨日、ショウによる料理の概念を覆す革命が起こされた!それによりレナがスキル『料理人』を習得し我々の生活を一変させることとなった!ここにこの二人を称し今から新たな政治機関として食事係を『食事院』とし、ショウ、レナ、及び食事係の者をそこへ配属しショウを『料理院名誉最高長官』、レナを『料理院最高長官』とする!」
料理教えただけでこれって大袈裟すぎないか?とも思ったが、確かに彼らにとって食事は大切なものであり食事の発展はとてつもなく重要な出来事なのだ。ありがたく命を授かることにした。
こうして新たな機関の長となった俺は皆からのより大きな信用を得た。
集会の後俺は自分の部屋に戻った。あとやりたいことの一覧がこれだ。
・村の建築物の立て直し
・畑作り
・簡易的な防衛設備
・人間の国探し&交流
・村の地図作り
・研究所作り
研究所作りは今思いついたものだ。とりあえずある程度落ち着いたら研究所を作ってそこを拠点にいろいろなものを作りたいと思ってる。
この中から次のミッションを選びたいと思っている。どうしようか。研究所を作りたい気持ちもあるがやはりここはまず食糧の安定供給が優先だろう。よし次は畑作りだ。
というわけで作業を始めることにする。お昼過ぎくらいまで宴会をしていたのであまり時間に余裕はなさそうだ。
それから1週間後。なんということでしょう。何もなかった広大な土地が真っ黒な肥沃な土地になっているではありませんか。早速早く育つ植物を大量に植えた。これで相当なことがなければ飢える心配もなさそうだ。
こちらの世界では肥料の代わりにMPの元となっているマトムと呼ばれる原子が使われているそう。使われているというより空気中に自然に含まれてるらしいから勝手に土壌に降ってくるらしい。これは普段使っている(俺はあんまり使わないけど)MPの回復に必須で、呼吸するだけでマトムが体に入ってくる、という仕組みだ。このマトムが体の中で合成されてMPができている模様。これってどうせ空気中にあるなら抽出して持っていればいつでも回復可能なんじゃ?これは研究所の設立を急がなければ。
多分畑を作ったことも作物が完成したら表彰されることだろう。コルバスはものすごく驚いてたからな。そんな方法思いつかなかったって言ってるけど少しは頭を使ったらどうかと思う。
完成した畑を横目に俺は眠りについた。
・ショウ HP 10
スピード 1 パワー 1 MP1/1 スキル 発明家
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