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グレイアス伝記

幸せな子供の一日。

作者: siro

魔法の世界のある家族のお話。ゆるーい一日です。

ぼくのパパはとっても強い。


ふーん。


きんにくが、むっきむきなんだよ。ぼくもおっきくなったらパパみたいになるんだ!


それは無理だと思うぞ。


えーなんで?


君は、父親より母親似だろう。


ママににてるってよくいわれる〜ママはね〜



**


「ふぁ〜」

薄暗い部屋で小さい固まりが動いた。オレンジがかった金色の髪をした子供が布団から起き上がったのだ。子供が座っているのは筋肉質な男性のお腹の上、その男性の横には長い黒髪の女性が枕代わりに抱きついて眠っていた。幼子だけ白いパジャマを着ている。

「時間ぴったしだな、もう少し眠るか?」

低く心地の良い優しい声が子供にかけられた。

「や。目が覚めちゃった。遊びたいからおきるんだもん。」

子供は目をごしごししてから開ければ、大きな瞳は青く、男と目があった。子供の色彩は横になっている男と一緒だ。

男が指を鳴らすと、寝台の横にあるランプに火が灯った。淡いオレンジ色の光は優しく、眠っている女性が起きない程度の明るさだ。

「おはようございます。パパ」

ぺこり、と頭を下げた子供にパパと呼ばれた男性は優しい笑みを浮かべながら、幼子の頭をなで回しながら言った。

「おはよう、ナーブル。」

ナーブルと呼ばれた幼子は嬉しそうに笑いながら、父親の腹の上から降りた。

「侍女を呼んで、着替えてきなさい。」

「はーい」

嬉しそうに寝台から飛び降りて、子供は扉に向かって走って行った。男性は眠る女性に口づけて、自分の変わりに枕にだきつかせてから、寝台からおりると、チェストの上に置かれたガウンを取り、羽織った。

扉の向こう側から侍女を急かす子供の声が漏れ聞こえる。


男は、そのまま逆側にある衣装部屋の扉を開けて、簡素なズボンとシャツに着替えると、ナーブルが向かった扉を開いた。

「あ!パパ」

振り返ったナーブルも、簡素な釣りズボンにシャツを着ていた。

「準備はできたようだな」

「はやくはやく。」

その場で足踏みしながら喜ぶナーブルに侍女達も笑みをうかべた。父親はナーブルを抱き上げて、外へと向かった。

向かった先は開けた闘技場のような場所。そこには既に人が何人かいた。皆がたいの良い男性ばかりで、上半身裸であったり素振りやランニングをしている者もいる。

「さて、最初に何がしたい?」

父親はナーブルを降ろすと聞いてきた。ナーブルの中ではもう答えは決まっている。

「かけっこ!!!きょうはパパをぬかすの!」

元気な声が返ってきて、父親は破顔しながら頷いた。

「そうかそうか、じゃー行くぞ!」

そう言うと走り出した。その後を嬉しそうにナーブルも駆け出した。

「きゃー!」

子供の甲高い声が響くと周りの人達が、最近始まった親子の様子を優しく見守った。

父親は軽い走りで、時々後ろを見ながら早くしたり遅くしたりしながら、ナーブルを翻弄させていた。

「やー!まてまて!きゃー!」

「ほらほら、早くしないといっちゃうぞ」

「王子〜頑張れ〜」

「王子!あとちょっとですよ!」

周りの男達がナーブルを囃し立てて頑張らせながら大きな闘技場を一周走り切った所で、限界に達して、ころりと床に転がった。

「ひゃーーーあちがーあちがぷるぷるするー!疲れた〜〜」

ケラケラ笑いながらナーブルは地面にゴロゴロしはじめた。額には大きな汗が流れている。すかさず近くにいた男性が飲み水を持ってきて飲ませた。

「いっぱい汗かいたので、しっかり水分補給ですよ。」

ごくごく水を飲んでいる間に、父親はもう一周走りに行ってしまった。

「あぁーあ!またパパ捕まえられなかった!」

「陛下に追いついてるだけ王子は凄いですよ!」

「でもくやしーの!」

ぷりぷり頬を膨らませる姿に、思わず水を渡した男性は肩を振るわせてしまった。あまりの可愛さに頭を撫で繰り回したくなったが、流石に王子にはできない。

そう、ナーブルはこの国の王子で、父親はこの国の皇帝だった。戻ってきた父親は、近くにいた兵士に声をかけた。

「ナーブルはどのくらい走れてたか?」

「本日は一周走り切りました。」

「もう一周いけたか!」

兵士の言葉に思わず喜んだ父親は、まだ座り込んでいるナーブルを抱き上げた。

「わ〜!」

「凄いな!この距離を一人で走れるようになったのか!」

頬釣りしながら言えば、ナーブルは父親に追いつけなかった不満を叫びながらも嬉しそうな声を上げた。

「よし、ナーブル。次は何がしたい?」

「剣!けんでカンカンしたい!」

えいやーと言いながら腕を振り回せば、すぐに兵士が子供用の木で出来た剣を手渡した。ナーブルを地面におろしてから、父親も中型の木で出来た剣を召還して握った。

「騎士のマナーは覚えてるかな?」

「一礼してからかまえるー!」

ナーブルは、ぺこりと頭をさげてから、ふんと鼻をならして両手で剣を構えた。

父親も同じように一礼してから構えた。

「こい!」

そう合図すると、ナーブルはえいやーとかけ声をかけながら父親の剣に木を当てて行く。父親はそれを受け止めながら、時々受け返しながら、叩く力を調節しながらも少しずつ重くしていく。

「1、2、3。ほら、単調になってきたぞ。」

「やー!あー!」

強くしたから叩き返せば、ナーブルが持っていた木の剣はポーンと飛んでクルクル回りながら後ろに飛んで行ってしまった。

「おててじわじわー」

みれば、小さな手は赤くなっていた。少し強く叩きすぎたかなと父親は思いながらも、鍛えれば鍛える程伸びる我が子に嬉しくて仕方が無かった。頭をなで回しながら褒めれば嬉しそうな笑顔をして父親の首に抱きついた。

ほんの少し重みを感じ、そろそろ限界な様子の我が子に父親は抱き上げた。顔を見ればほんの少し瞼が下がりかけている。

「よし、お風呂にはいるか。」

「あーい。ママもいっしょ?」

「あぁ、一緒だよ。」


お風呂場にナーブルだけ先に連れて行き、泥だらけの服を侍女達が脱がして行く。父親は眠っている母親を連れてくる役目だ。

「今日もママは寝てるのかなー」

「そうですね。」

服を脱がされながら侍女に聞けば、いつもと同じ答えが返って来る。それに不満そうな顔をしつつも、父親がガウンを羽織った母親を抱いてきた。

眠ったままの母親と父親とナーブル三人でお風呂場に入って体を洗う。母親の体は父親が、ナーブルは一人で洗えるようになったが、父親に洗ってもらうのが好きなので、横に座って待つのだ。

「ナーブル、お前はもう一人で洗えるだろ?」

「やー。パパに洗って欲しいのー」

ぷっくり頬を膨らまして言う姿に苦笑しながらも、愛する妻と瓜二つな息子に弱い父親はその我が侭に付き合うのだ。母親の体が洗い終われば、大きな湯船の端にある浅い場所に横たえられる。そうすると次はナーブルの番だ。勢い良く髪の毛をかき混ぜられ、その激しさにナーブルは笑い声を上げる。髪の毛は白い泡で埋もれてしまう程だ。

「ふわっふわー!ぶわー」

遊んでると、ようしゃなく頭からお湯がかけられ洗い落とされる。体を洗い終われば、父親が自分の体を洗い始める。その間ナーブルは母親の元にいくのだ。こっそり父親を盗みみてから、ふっくらと膨らんだ母親のおっぱいをしゃぶった。

いっぱい動いて喉が渇いたのだ。ちょっとだけだしっと言い訳を心の中でしながら吸ってると、父親とは違った細くて優しい手が頭を撫でてくれる。その手は母親だが、瞼はしっかりと閉じられている。無意識なのだろう。

その優しいてに安心して思わず、ちょっとのつもりがぐびぐび飲んでいると、後ろから脇腹をくすぐられてしまった。

「ひゃあああ!!」

「ナーブル。何をしてるのかな?」

「な、なにもしてないよ!おっぱいなんて飲んでないよ!」

「そうだよな。ナーブルはもう赤ちゃんを卒業したはずだからなー」

「そ、そうだよ!ぼく、もうおにいちゃんだもん!」

おもいっきし目線をそらしながら言う我が子に父親は笑いそうになるのを耐えながら抱き上げた、口元に鼻を近づけて嗅げば甘いミルクの匂いがする。

「ナーブルのお口からミルクの匂いがするけどなー」

「き、きのせいだよパパ!」

口を合わせて押さえながら言う姿は可愛らしいが、ここはしっかり言わなければと笑みを耐えながら父親が言った。

「今回だけは見逃して上げよう、ナーブル。だがな、ママが寝てる間におっぱいは飲んじゃダメだぞ。」

「う。」

「ママが寝てる時に飲むと、ママはお前にいっぱい魔力を渡してしまう。そうするとママが魔力貧血になってしまうし、寝ているから誰も気づかない状態になってしまうんだよ。」

「ごめんなちゃい。」

しょんぼりする姿に、苦笑しながらも父親は優しくナーブルの頭を撫でた。子供にとって母親の魔力が籠った母乳は体力回復に一番効果的なものだ。本能的に求めてしまうのは仕方が無いのだが、ナーブルは魔力保持量も多い分、母親から接種する魔力も大量だった。

反省している様子のナーブルと、眠っている母親を抱きかかえながら父親はお風呂の湯船につかった。

魔力をゆっくり母親に流し込めば、うっすらと瞼が上がったがしがみつく力が弱く魔力が少なくなったせいか体温も低い。ナーブルは母親にしがみついて、少し拗ねている状態だ。

父親は何も言わず二人一緒に抱きしめながら体を温め終わると、湯船からだ出た。

二人を侍女に託せば、体を拭いて仕事用の衣服に着替える。ナーブルは暖まったせいか、頭がゆらゆら揺れている。柔らかい部屋着用の服に着替えたナーブルを、ドレスに着せ替え終わった母親の腕の中に入れれば、すんなりと抱きついて寝る体制にはいった。

「朝から陛下に遊んでもらって満足げですね。」

侍女の言葉に、父親は嬉しそうに笑みを浮かべながらナーブルの頭を撫でた。母親には口づけてしながら魔力を流し込めば、うっすらと目を開けた。

「魔力が回復する迄ゆっくり休め。ナーブルが隙をついて飲むから気をつけるように」

前半は母親に、後半は侍女達に言うと母親を抱き上げた。胸元にいるナーブルは規則正しい寝息を上げている。

慈愛に満ちた視線を我が子に送る母親は、優しく頭を撫でながらナーブルの頭部に口づけした。3人が廊下を歩けば、朝支度で歩き回る使用人達が道の端によけていく。

執務室に着くと、母子ともに同じ場所で休めるようにと改築した隣の部屋に、そのまま移動し、これまた特注で作らせた丸いソファに二人を降ろした。ブラッケットをかけ、二人に口づけを落として父親は仕事をするためにまた執務室に戻って行った。


ナーブルが朝の二度寝から目覚めると、ソファの上にはナーブル一人。ブラッケットから這い出れば、それに気づいた侍女が近づき飲み物を聞いて来る。

小さく頷けばすぐに、果実をたらした水がわたされ、それをごくごく飲んだ。

「ママはー?」

「皇后様は今陛下とご歓談中ですので、暫くお待ちくださいな。」

その言葉にナーブルは頬をぷっくり膨らました。前に一度無視して部屋に侵入したら父親に怒られるだけでなく、いつもは怒らない母親にも怒られたのだ。

「パパばっかりママとちゅーしてるだけなのにずるい。」

そう、その時は父親の上に母親が乗り、いつもナーブルにしてくれる軽いキスではなく長く口づけしているキスをしていたのだが、それだけではなかったのだが幼い王子には、ただ二人が自分だけのけ者にしてちゅーをしていたのが許せなかっただけなのだ。

すると、ノックの音が聞こえた。執務室へと続く扉とは逆側にあるもう一つの扉、そこが開くと一人の男性が立っていた。

「おや、王子はお目覚めでしたか。」

起きているナーブルに気づいた男性は、ふてくされている様子にもすぐ気づいた。

「王子どうしました?」

ナーブルの横に腰を降ろしながら聞けば、ナーブルは身を乗り出して言った。

「ルー!!ママとパパ。ごあんだんちゅうなんだって」

ルーと呼ばれた男性は一瞬何を言われたのか分からず首をかしげた。

「ん?」

すぐに侍女が耳打ちしナーブルが何を言いたかったのかを理解した。

「そうですね。本日は少々長引きそうですからね。」

先ほど覗き見、もといチラ見した感じではまだまだ時間がかかるだろうと思った。

「ずるい!」

「そうですねー王子が大きなつまみ食いをしたそうですからね。」

「つまみぐい?」

「皇后様の母乳・・・おっぱいを飲まれたとか」

「・・・・しらないよ」

もぞもぞ動いて、ルーから距離を置こうとするナーブルにくすくす笑いながら抱き上げた。

「そうですか?ふむ、王子の口から甘いミルクの香りがするのですがねー」

父親と同じように自分の口を嗅ぐルーにナーブルは暴れて逃げた。

「やー!ちょっとしか飲んでないもん!」

「飲んだんですね。」

もう笑いが絶えられず震えながら言うルーに、後ろで全て見ていた侍女も肩を振るわせていた。

「さて、王子。暫く陛下達のご歓談は終わらないと思いますので、このルーカスと一緒に遊びませんか。」

その言葉にナーブルは嬉しそうに瞳をキラキラさせた。

「あそぶ!!ルーと遊ぶ!!」

元気な言葉に、ではお手をと言って手を差し出せば嬉しそうにしがみついた。

二人で向かったのは部屋には、部屋の真ん中に大きな円盤状に机くらいの高さに突き出たものがある所だ。部屋の壁には世界地図と、棚には船の模型が数種類と飛竜、そして人形の模型が並んでいた。

ナーブルには高くて円盤状の上に何があるか見えない為、台座が直に用意されると全貌が見える。円盤状の上にはこの世界を縮尺した模型が広がっている。川や海にはちゃんと水が流れ動いているのだ。

「さて、今日は陸と海、どちらで遊びますか?」

「今日はねー海!」

元気よく答えれば、部屋に静かに控えていた使用人が棚から船の模型などの一式を持ってきて、円盤状の模型の上に配置して行った。

「では、王子どちらの色にされますか?」

船には旗が着いており、片方には黄色で描かれた紋章、もう片方には青い紋章がついていた。

「きいろー!パパの紋章!」

「では、私は青ですね、私は南から、王子は東に配置を」

両方とも実際に港がある場所に船が移動し並んで行った。

「では王子、大きな船は」

「まっすぐにしかすすんじゃだめー!」

「えぇ、では中くらいの船は、斜めにもうごくー。」

「小さい船は?」

「ちょこちょこうごけるー!」

「飛竜が置けるのは?」

「大きなお船に4つ!中くらいの船には1つー」

「正解です。」

手を叩きながら、模型を王子が操っておいて行く。二人とも大きな船一隻に、中くらいの船三隻、小型の船が5隻、飛竜の模型は6頭のみ。

「もっとのせちゃだめ?」

「ダメです。王子。一人飛竜は6頭までです。では始めますよ?」

そう言うと円盤状の端にあるパネルに手をつくと、ルーカスの模型が本物のように動き始めた。その様子に慌ててナーブルも自分のパネルに手を置いて起動させた。

「私の陣形を読めれば、相反する陣形もわかるはずです。」

「がんばる!パパみたいに途中でかえるのなしだよ!」

「えぇ、陛下と違って私は大人ですからね〜」

苦笑しながら、二人は船を動かし始めた。水の上をゆらゆらと船は進みながらぶつかったり、砲撃をしたりする。飛竜も飛ばして攻撃を相殺したりと大忙しだ。

ナーブルは一喜一憂しながらなんとかギリギリルーカスに勝てた。

「やったー!かったー!」

沈んだ大きな船に手をパチパチ叩きながら喜んだ。

「流石王子、上手ですね」

その後は陣形についてや、何処が悪かったとかナーブルが飽きない程度に話を振って終わりだ。後ろに控えるナーブル専属の侍女を見れば静かに頷いた様子に、夫妻のご歓談が終わった事を知らせた。

「では、王子。お昼にしましょうか。両陛下と一緒にお食事が出来ますよ。」

「やったー!」

嬉しそうに、台座からぴょっんと飛び降りてナーブルは駆け出した。

その後をルーカスと侍女達が追いかける。

ナーブルが着た場所は小さめな食堂だ。そこには既に両親とも着ており、椅子に座ってまっていた。

「ママ!パパ!ぼくルーにかったよ!」

「お、ルーカスに勝ったのか!!天才だな!ナーブルは」

そう言って抱き上げて頭をなで回せば嬉しそうな声を上げた。

お昼の食事を食べながら、ナーブルはどんな風に勝ったかを二人に説明した。それを両親は同じように驚いたり褒めたりとしてくれるのだ。

食べ終わった後は母親とお庭の散策だ。あれが奇麗とかこれが奇麗ととりとめのない会話をしながら、大好きな母親を独り占め出来てナーブルはご機嫌状態だ。

「あのねーきょうもねー夢の中のおともだちにあったのー!」

「あらそう。何をお話したの?」

「ママとパパ!」

「ふふふ。そう。」

「ママが大好きってことーパパみたいになるだっていったのー」

しかも今日はナーブルのお気に入りの赤ちゃんがきているのだ。

「こんにちは、ロゼリア。本日はようこそおいでくだしゃいました!ローズちゃんは?」

「こんにちは、ナーブル王子。叱りたい所ですけど〜今は授業ではありませんし〜・・・」

奇麗に挨拶をし終わるとすぐにお目当ての子の名を叫んだナーブルに、ロゼリアは可愛いし妥協点にしとくかと思い、侍女が押してきていた乳母車に載せている赤ちゃんを抱っこしてナーブルに見えるように屈んだ。

「かわいい〜ぼくもだっこしていい?」

可愛く小首をかしげられ、ロゼリアは笑顔で頷いてから、近くにあるベンチにナーブルを座らせてからその膝の上に赤子を乗せた。

「おててがちいさーい。やわらかーい」

まだナーブル自身も小さいのに、赤ちゃんを赤ちゃんが抱っこしているようで可愛い姿に周りの人達はめろめろだ。あちこちで可愛い可愛い言われてるのに本人は気づかずに、赤ちゃんに可愛いを連呼しては額にキスをした。

「うちの子天使だわ。親ばかって言われてもいい。あぁ〜可愛い!」

「いえいえ、お世辞抜きで王子は可愛いですわ!!皇后様に似て可愛いらしい顔立ち!男女ともにかどわかされそうで怖いですわ」

「それは、陛下も言っていたわ。だから、今から体を鍛えるって言って朝早く一緒に訓練してるんですって。」

「そうなんですね。私の夫も王子が心配だと言って、何かあった時の為にと戦略をすでに教えてるそうですわ。わざわざ軍施設の指令室を借りてまで」

「それはお昼に聞いたわ。簡単な戦法であれば勝てるようになったそうよ。」

「末恐ろしいですわね。」

ローズがぐずり初めて、抱っこの時間は終わった。

名残おしそうにナーブルは手を振ってローズと分かれ、部屋へと戻った。まだまだお昼ねが必要なため、また休憩室の丸いソファでころんと横になって眠った。


心地の良い、揺れと暖かさにもう少し眠っていたいと思いながらも、意識は浮上して目が覚めてしまった。

見れば目の前に母親の柔らかい胸があった。ナーブルは飲みたいなーと思って触れば、抱っこしてくれている母親が気づいた。

「おっぱいは、今日はもうだめよ。朝飲んだんですって?」

ぷにぷにと頬を突かれて、今日は何度も言われるなーと思いながら口を尖らせた。

「ちょっとしかのんでないもん。ダメ?」

一生懸命母親に見つめるも。後ろから侍女の一言が飛んできた。

「皇后様、本日はダメです。」

「ダメですって。」

ナーブルは頬を膨らまして、ぶーぶーいいながらも母親の首にしがみついた。あんまり我が侭を言うとママと離ればなれにさせられるので、ナーブルは仕方なく諦めた。

「ヤンギーのミルクはどう?」

「おいちくない。ママのミルクがいいのぉー」

「あらら、困ったわね〜」

「ぼくーあかちゃんにもどりたいー」

「あらら、困ったわね〜赤ちゃんに戻ったらお菓子もご飯も上げられないわ〜ルーカスとも遊べないし、ローズちゃんとも会えないわね〜」

「・・・」

「赤ちゃんに戻る?」

「もどんない。」

「そう。」

笑顔で返した母親にまた、ナーブルは頬を膨らました。だが、抱っこしている母親が脇腹をくすぐったため直に甲高い笑い声が廊下に響いた。

「やーママ!くすぐったい!やーひゃははは!!」

「えーママは笑顔のなっちゃんがみたいなーと思ってね。」

「ひゃー!!こうさん!こうさん!」

「ふふふ、ママの勝ちね。」

きゃーきゃー言いながらたどり着いたのは、大きな温室だ。侍女達は入ってこず、扉の外でとまってしまった。

「ママ?おねえちゃんたち来ないよ?」

いつも、どこでも着いて来る侍女が来ないのを不思議そうに聞くと、母親は歩みを止めずに笑顔で答えた。

「このお部屋にはね。ん〜なんて説明したらいいかしら、聖獣さんがきてる時は、許しがないと入れないの。今日はママとナーブルしか入れないのよ。」

「そうなのー?せいじゅうってお勉強でならったよー!あのねー、魔力のきんとうっていうのを守るひとたちなんでしょー?」

「そうよ。」

「せいじんっていうひとにつかえてるんだってー」

「そうよ。」

「ママ?」

「なあに?」

いつものように笑顔なのに、雰囲気が違う様子にナーブルは不安そうに母親を呼んだ。

「あぁ、着いたわ、あれは白妖木の枝木よ。枝木という大きさではなくなってしまったけど。」

母親が指差す先には、すこし盛り上がった土地の真ん中に大きな白い木が立っていた。

そこには獣が2匹たたずんでいる。


「初めまして、こんにちは、愛し君。」

礼儀正しく言ったのは、白い毛並みの鹿の子供だ。なんだか見た事のある獣にナーブルは首を傾げた。

「おひさやで〜。そのこがナミの息子?」

そう言ったのは上半身は人の形で下半身だけ鹿の獣の様な体をした、ナーブルと同じくらいの背丈のものだ。

「こんにちは、エッフル。初めまして、貴方が・・・」

「はい、僕が例の」

不安そうにナーブルは母親を見上げた。母親は微笑んで、ナーブルを降ろすと、その横に座った。

「ママ?」

「ナーブル。彼が誰だかわかる?」

そう言われて、ナーブルは不思議そうに鹿の子供を見た。ペタペタ触れば暖かいし、何故か知ってる声なきがした。

「ぼくしってるきがする。」

「そうだろうね。もしかして、僕がわからない?」

「んー?」

「君は毎晩僕の夢の中にきては、ママやパパの話をするじゃないか。」

「あー!夢の中のおともだち!ママ!!」

嬉しそうに鹿の子供の首にしがみついたナーブルに母親は困ったように首を傾げた。

「本当にお邪魔してたのね。」

「そうみたいやね〜。聖獣の夢にわたってくるなんて前代未聞だよ。流石愛し君の息子だねぇ〜」

ナーブルはそんな二人の様子に気づきもせず、夢の中でしか会えなかった友達に嬉しそうに今日あった事を話はじめた。

いっぱい話せて満足したのかお腹がなれば、やっとナーブルの会話がとまった。

「ママーおなかすいたー」

「そうね。その前に、なっちゃん。もう勝手に人様の夢に渡っちゃダメよ?」

「夢にわたる?」

「無自覚やろうな〜まだ幼い子供やし。愛し君、対策をよろしゅうな」

「えぇ、そうね。」

小さくため息をついて母親は息子を抱き上げた。

「またね、ナーブル。今度はこのお庭で会おう。夢にはくるなよ。」

「うん?」

意味が分かっていない様子だったが、入り口の扉が叩かれ時間が迫っている事を告げていた。

「では、またやね〜」

手を振るエッフルにナーブルと母親は手を振って温室から出て行った。


その夜もまた。。


突発的に思いついた。暗森の番外編です。

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