1章―8 first
「事情は理解しましたが……いいんですか?私たちEクラスなんかを護衛だなんて…」
そう俺に話しかけてきたのは、クラス委員長のラナティアだ。流石にクラスを纏めるだけあって、他の学生より若干強いようだが……正直言って、俺らとは比べようもないほどに、弱い。なので流石に萎縮しているようだ。というより、卑下と言った方がいいかな…?
「あー、別に問題はないよ。この護衛作戦自体、誰かに強制されたとかでもなくて俺らが発案して実行してるっていうだけだから」
「…ですが!Sクラスであるアウスさんの貴重な時間を使わせるなんて…」
「ちょっと卑下しすぎじゃない?それに流石にこのままだと狙われると分かっているのに何もしないとか、見殺しにするような真似はしないよ」
参ったなぁ。ここまで自分たちを低く見積もられていると話がうまく進まない。周りの生徒もどうやらラナティアと同じ気持ちらしく、多少怯えが入った目でこちらを見ている。ちなみにジョシー=メタクソフは熱のこもった視線を向けてきている。……うん、無視。
おそらく、ここまで彼女らの自己肯定感が低いのはこの学校のせいであろう。この学校は生徒個々人の実力によってクラス分けがされる。そこで一番下――すなわち、Eクラスに配属された者に待っているのは、壮絶なイジメだ。
もちろん、この学校の生徒がそんな愚かしいことをするのではない。イジメるのは、教師だ。パワハラ、暴言、暴力…とにかく、そういった事を教師からされるのだ。
一応学校側としてもこれには考えがあるらしいが…なんだったか。確か…Eクラスになるほど弱い…または才能が無い人間は戦わせても役立たずなので、そういう意欲を無くして帰らせる…という狙いがあるらしい。……これを初めて聞いた時は、バカなんじゃないかって思ったね。正直、ただの噂話だと思っていたからあまり信じてはいなかったが。必要悪という概念はあるにはあるが、そういう事じゃ無くないか?
ただ、実際これで効果が出ているのも事実らしい。その事実は目の前のこの光景を見れば明らかだ。どうやら、意気揚々とやって来たら才能なしの行くクラスに当て振られ、挙句の果てに尊敬の対象――つまり、教師に全てを否定されるというのは、かなりクるらしい。
なんだろうな、夢と現実の格差というか、そういう事だろう。彼らもこの学校に入学したということでそれなりに優秀だったのだろう。特に地方出身とかだと自尊心も育ちやすいんじゃなかろうか。なのに落ちこぼれとされ虐め抜かれる生活と来た。そりゃあポッキリいってまうわけだ。
元おじさんの人生2周目としては、これでもかと言うほど学校生活でカーストの重大さを学んできたので、正直Eクラスの面々には同情する。昨日までは何とも思ってはいなかったけれど、流石にこんな光景を見ちゃうとね…
「………そうだ」
だから、こうしてみよう。
「…?どうしました…?」
「なぁキミたち。Eクラスのみんな。悔しくはないのか?せっかく勇気を出してこの学校に入学し、努力して強くなろうと意気込んでいたのに、なのに!教師からの執拗なイジメを受け、上のクラスの顔色をうかがい、怯える日々!!もう一度聞く、悔しくはないのか?」
教室に、沈黙が流れる。正直、自分には似合わない感じのカッコつけた事を言ってしまったということを言い終わってから気づき、恥ずかしさで若干顔が赤くなっているのがわかる。黙りこくった教室に、顔の赤い男が1人、とても気まずい。
だが、その気まずさを打ち破る人間が、いた。
「………悔しいよ。こんな扱い受けるために、親の反対押し切ってここに来たんじゃないんだ。そりゃ、悔しいよ」
そこで口を開いたのは、金髪ギャル――キュマリだった。見た目通りクラスに影響力のある人物らしく、キュマリの発言を皮切りにどんどん言葉が出てくる。
「俺たちは教師どもの道具なんかじゃねぇってのに…」
「試験に受かるためにあんな頑張ったってのに、なのになんなんだよこの扱いは!?」
「上のクラスのやつは、俺らを憐れみか侮蔑の視線で見やがる!それなのに俺らはそれを否定すらできない…!」
「……わたし、この間先生に写真を要求されてて…」
「何かしようとしても、挑戦も努力も全部否定されるんだ!悔しくないわけがない!」
「おっほwダウナーっぽい雰囲気なのにその芯は熱血系とwwいいですなぁこれはwこれは萌えですなwいや熱血系だけに燃えかってんですよw」
思い思いに、みんなの不満が飛んできた。1つ 明らかに毛色の違うものがあったが、それは一旦忘れよう。やはり色々溜め込んでいるようだ…これからの話がしやすい。
「うん、よく分かった。それじゃあもう一つ。見返したくはないか?自分たちもできるんだって、強いんだって」
「………したいに、決まってます!!」
そう言ってきたのは、ラナティアだ。さっきは黙っていた彼女だが、やはり思うところはあるらしい。
「――なら、1ヶ月後の初夏にある魔騎祭で優勝、してみたくないか?」
そう問うが、返事はない。――いや、顔を見れば、目を見ればそれが返事だ。彼らは今、燃え盛っている。それに俺は誰かに何かを教えるというのが、結構好きだ。だから――
「……分かった。それじゃあ――」
だから、彼らに協力しよう。今後、自分たちのことを“なんか”なんて言わないように。それに、こういうところで指揮官としての経験を積むのも、悪くはない。そういう浅慮が始まりとなり、大義になるのならば歓迎すべき事じゃないか。少なくとも今は彼らを助けるという大義があるのだから。
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この、翌日に、Eクラスの、女子が、1人
死んだ
私事ではあるんですけれども本日高校の合格発表がありまして。無事合格してました、めでたい!
はい、それは良いんですが手続きだなんだで暫く忙しいので一旦止めます。どっかで適当に書き溜めて一気に放出いたします。




