1章―3 巨峰
「いやぁ〜、ごめんね?アウスくん。重さ的にはなんてことないんだけどさ、量がまぁ多くて」
「んー、別に大丈夫ですよ。暇でしたし」
学校と言うのは、ただ脳死で授業を受け楽しむ者だけで構成されているのではない。生徒会、委員会、実行委員――普段は表舞台に出てこない彼らだが、それは働いていないわけではなく日々学校のために目立つことはないが動いているのだ。
というわけで、本日は生徒会であるメルシィさんのお手伝い。目の前に山積みにされている段ボールを運ぶのだそうだ。
「メルシィさんって庶務だったっけか?庶務ってこんなことすんの?」
「んー、肉体労働は珍しいかなぁ…。ま、今度『魔騎祭』もあるしね〜、色々と忙しいのよ」
「あぁ、あのよく分かんない名前の…」
「ひっど!?」
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さて、現在2人で仲良く荷物を運んでいるわけだが……
「大丈夫?重くない?」
「あ、うん。だ、大丈夫ですよ?」
「………?どうかした…?」
すみません、メルシィさん。こんな俺をお許しください。目線がついつい行ってしまうんです…。どこにかって?
段ボールに決まってンドゥアロウ!?…、失礼。段ボールです。段ボール。
というのも、メルシィさん中々のものを持っておられる。まず少なくとも俺の知り合いの中では1番。そして…おそらく、俺の勘が正しければそれは“H”…!!紛うことなき巨…!それが今、段ボールの上に乗っかっていつもより見た目5割増し……いやいや、段ボールの話だったな。おかしいな。
まぁとにかく、ここで単純作業を続けるだけというのは所謂凡夫の思考。愚行と言わざるをえまい。せっかくのチャンスを棒に振ってどうすると言うのか。人生とは楽しんでなんぼであろう。
「ねぇ、アウスくん」
「…!?へぁいっ?」
ヤバい、動揺して声裏返った。流石に挙動不審すぎてバレたか…?いや、なんかクスクス笑ってるだけだな…。バレてなさげ…。
なんだかなぁ。俺がメルシィさんだけ呼び捨てにしにくいのはこういうところな気がする。何というか…、手玉に取られてる感じがするというか、見透かされてそうな気がするというか。
少し笑いながらも、メルシィさんは言葉を続けた。
「もし、高等部で将来に向けて働く経験とかしたかったら、アウスくんも生徒会入ってみたら?というか優秀だし、入ってくれたら助かるな〜、なんて」
「あ、そういう真面目な感じの…。いや、う〜〜ん…遠慮しておく」
「そりゃまたどうして」
「いやなに、生徒会入ったら多分大分時間が吸われるっていうか、自由時間結構減るでしょう?今のメルシィみたいに。それが悪いとは言わないけど…俺とはあんま合わないかなって。自分の時間は持ちたいんですよ。ほら、楽しんでなんぼじゃないですか、人生って」
さっきも言ったが、『人生は楽しんでなんぼ』とは俺の持論である。おそらく同じように思っている人間は大勢いるが、その大多数は社会の波に流され、妥協を繰り返す人生になってしまう。人生2回目の俺としては、それは避けたいわけだ。という訳で、なりふり構わず楽しさ全振りするというわけ。魔導騎士育成学校に来たのもそう。格好よくてチヤホヤされそうで楽しそうだったからという、それだけの理由だ。
「ふ〜ん、なるほどね。まぁでも経験って大事だしさ、拘束されるのが嫌なら部活とか委員会に入ってみなよ、生徒会ほどやる事は多くないからさ。それに新しく仲間とか友達もできると思うよ?」
メルシィが丁度そう言った頃に目的地だった備品庫へと着いた。その後彼女には『考えといてねー』と言われたが…まぁ、考えるくらいはしてみようかな。Sクラスの誰かと一緒なら楽しいだろうし…
書いてて『魔導騎士育成学校』て長くね?ってなったんで以降は略すことが多くなります。魔騎校でよろしくです。凄い適当に略しました。




