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英雄よ、英雄たれ、英雄なのだから  作者: ふるぽん
天才少年の英雄譚(旧題:ヒロインが全員死ぬラブコメ)
2/8

1章―2 天才とは、その定義

「それではぁぁぁぁ!!本日はぁぁ!対人を想定し魔法戦闘の実技を行ぁぁぁう!!ディアとアウス!メルシィとタニアでそれぞれペアとなりぃぃ!自分と相手の弱点を探しだし、把握しておけぇぇぇい!!アァルマァ!貴様ぁ!未だに魔力を流用した身体強化すらできないそうではないかぁぁ!!こちらへ来いっ!私が直々に教えてやろぉぉう!!さぁ言ってみろ、どぉこが分からないんだっ!?」


高等部に入学してから、早くも数日が過ぎた。今日は…聞いての通り、魔法の実技だそうだ。Sクラスなだけあるのか、中等部と比べ座学が少なく、大半が実技の授業になっている。ちなみに、魔道士でも自衛の術は身につける必要があるし、騎士でも魔法を覚えておけばいざという時に使えるので、志望する職に関係なく授業は共通だ。もちろん、各々のレベルに合わせてやる内容は変わるが。まぁ、アルマは身体強化――魔力を扱う戦闘をする上での基礎中の基礎――に手間取っており、それに先生も手を焼いている状態だ。もう、本能的に向いてないんじゃなかろうか?“何がわからないのかわからない”状態ぽいし。


「アーウスー?なぁにしてんのさ、はやくー!」


そうディアに呼ばれると同時に、アルマが先生に連れられながらこっちを向いた。…あれは、助けを求めている…のか…?だがすまないなアルマ、その先生怖いねん。そう心のなかで謝りながら、ディアと合流し、早速戦うことに。


§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§


魔法とは。

難しく言うならば、魔力を使用し世界に干渉し、物理法則を無視した現象を引き起こすことである。要するにRPGでよくあるアレだ。ただ、そんな代物を誰もが使えるわけではなく、魔法を行使できるのは凡そ全人類の3分の2ほどだそうだ。しかし魔法が使えなくとも魔力を感じ、ある程度操作することができる。これが先ほど少し説明した【身体強化】だ。こちらは基本誰でも使える上、日常生活にも役立つので一般人でも使う人は多い。で、本題の魔法の方だが。魔法というのは更に属性があり、基本は使えても1種類。魔道士クラスとなると2種類、3種類使える人の方が多いとは聞いたことがある。つまり何が言いたいのかというと――


「――はぁぁぁ!!おいこらアウスぅ!逃げんなぁぁ!!」


「無茶言うなよ、阿呆!」


7種類――火、氷、風、雷、木、闇、毒の魔法を自在に操り俺を追い詰めてくるディア(こいつ)は、異常だということだ。


現在、唯一使える魔法である水魔法をなんとか駆使し、俺は加速、そして相手は減速。これでようやく試合ができているという状態である。まぁこちらからはディアに何も攻撃できていないのだが…。これが大気中の水分や相手の体の水分を操れるレベルにまで熟達していたら話は別なのだが、まずもってそも戦闘経験が足りないし、相手の方が魔力操作の質が上なので…。この不甲斐ない結果である。要するに、一方的な負け。


「アウスはほんとあれだな。逃げ腰と言うか、怯えすぎ。もっとガッツを見せたら?男でしょうが」


「ぜー…はー……。ぎ…逆にディアは打ちすぎじゃないか…?絶対無駄なとこあったろ…。そんなんじゃすぐ魔力切れになるんじゃないか?あとコントロールが悪い。質量ゴリ押しじゃすぐ限界が来るぞ、たぶん」


ディアからも小言をもらう始末である。一応言い返せたので、よしとするが。


「いやぁ、どっちかって言うとそれはアウスが凄すぎるだけじゃない?魔法完璧に打ち返してきてたじゃん。特に火とか使ってもすぐ消されたし。本当にさ、せっかく天賦の才持ってんだからもっと活かしゃいいのに」


「お褒めにあずかり光栄です。……って、俺が天才ってそれマジで言ってる?どう考えてもディアのが凄いだろうよ、だって7属性使えんだろ?」


「まぁそれはそれ、でしょ。逆にね?ワタシが7種類使ってんのにそれに水だけで対応してくるアウスがヤバい。ぶっちゃけワタシよりよっぽど」


「そうは言ってもなぁ。結局負けてるわけだし…」


「いやいや。正直総合的に見てこのクラスで1番才能があるのアウスだからね。過度な謙遜は良くないぞ?ワタシは魔法ができる代わりに格闘とか剣術はからっきしだし、アルマはその逆。だのにアウスときたら基本どれも卒なくこなしちゃうじゃん。もっかい言うけど、ワタシよりアウスのが凄いから」


……なんだぁ?今日はやけに褒められるな。別に悪い気分ではないが、むず痒くはある。だが正直、俺みたいなやつは器用貧乏と評するのが正解なんじゃなかろうか…?ディアには魔法で勝てないし、アルマには剣で勝てない。それも相手は身体強化を使っていないのに、だ。メルシィさんより馬鹿だし、タニアみたいに特殊な魔法もあるわけではない。ふーむ、考えれば考えるほど俺の才能とは?と堂々巡りだ。


結局、この話はこれで終わった。ただ俺の心の奥底に微かな劣等感を植え付けて。

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