1章―1 転生デビュー、大成功?
ここは、魔導騎士育成学校。魔物や、天災と評される魔王の脅威に対抗する戦力を育成するための学校である。もちろんいたずらに国民――それも、近い将来労働力となる学生を死なせるわけにはいかないので倍率は非常に高く、入学できる者は大陸内でも1握り。そして無事に卒業した後、実際に魔道士や騎士となり活躍する者は更に1握りである。だが、この現実を知っていても世の少年少女は大陸の英雄と成る事を夢見るのだ。そのため志願者は年々減るどころか増えている。ちなみに、中高一貫校なので高等部では内部進学も外部受験でも通うことができる。
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そんな由緒正しき学校の校門前で、晴れて入学となった新入生が緊張した面持ちで歩いている中―
「ね、その…やめよ?流石に恥ずいから…やめましょ?ねぇ、聞いてる!?」
「ごめんねぇアウスくん。でもね?アウスくんの照れ顔と怒り顔と困り顔が可愛すぎるのが悪いと思うの!分かる?」
「……少しくらいは良いでしょう。もっと心を広く持ったらいいんじゃないですか?巷ではそういうの“ノリが悪い”と言うそうですよ?」
「………まぁ、同意見…。アウスは…前から言ってるけど…丁度いい身長差で抱き心地が凄く…いいんだよ…ね。だから……いや、いいや。……えいっ、ぎゅ~」
「らしいよ〜?いやぁほんっとにモテるよねぇアウスって。んー……ワタシもやっていい?」
「―――だーッもう!!ごめんなさい分かんないですメルシィさん!あと普通に恥ずかしいです!タニアぁ!!それ言うならこれは“イジメ”になるからな!?あと、良くない!アルマ!!やめて、マジでやめて!!お前の抱き方色々ヤバいの!!おわかり!?んでディアぁ!?君今日初対面だよね!?やめようね!?」
男1人と、女4人。傍から見ればただただ羨ましい組み合わせで、抱き合いながら――否、1人の男を4人で抱きながら登校していた。その光景を見たおよそ9割が爆散を願っているがそんな事気にもしない鋼のメンタルっぷりである。――約1人を除いて、だが。
しかし、ふざけた態度に見える彼らだが、実はこの学校の新入生で特に優れた――現役の騎士、または魔道士と同等の戦闘能力を持つと判断された者のみが集められる[Sクラス]の人間である。それも、全員が。
ちなみに、この中でたった一人の男子である彼は、
(…………、モテ期来たぁぁぁぁぁぁぁっしゃだらぁぁぁぁぁぁ!!!!勝った!人生勝ったっ!!!よっっっっしゃぁぁぁぁ!!!あっ肌柔らかっ…)
一応嫌がるというスタンスを取りながらも、内申飛び跳ねそうなほど大歓喜であった。ちなみに余談ではあるが、表情筋を意識していないのか顔が緩みまくっているため、周りには普通にバレている。その顔を見た通りすがりの学生から孫の代まで呪われることが確定するほどである。
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さて突然だが、俺は今日高校へ入学した。と言っても中学からの持ち上がりなのだが。
『えーっと…アウス、アウス…おっここか。………えすぅ!!?』
と心底驚いたことは記憶に新しい。正直、人数の少ないSクラスよりAやBの方がよっぽど良いとは思っていたが…。他の面子が全員女子。更に俺はその皆からなぜかモテていると来た。これは思春期…思春期?まぁいいや。思春期男子としては通わざるを得まい。
とにかく、2度目の高校生活は思いっきり楽しむ所存である。そう、2度目の。
察しのいい人は気づいたかと思うが、俺は前世の記憶を持っている。所謂、転生者と言うものだ。しかも同じ世界でなく、魔法や魔物が当たり前のように存在するいかにもな別世界。正直、自分が死んだということに悲観するよりも、この新天地での生活の方に心が躍った。いくら前世が家族に縁切られた系無職交際経験なし素人童貞の死因テクノブレイクだろうと、伊達に人間やってない。少ないながらも人生経験を活かし、2回目を思う存分楽しめるようにしようとそれはそれは頑張った。……多分だが、ちょっと上手くいき過ぎてる。
というのも、原因に心当たりはある。今世での俺の顔、やたらと良いのだ。少し贔屓が入るがそうそう見れない部分のイケメンである。……そう考えるとそれはそれで何となく虚しいのだが…。あぁ、人生経験?誰とも喋らず不登校で行事も参加してない引きこもりだから何も無かったわ。ウケる。
……とにかく。せっかくこうもモテ期が来たのだ。楽しまないと損だろう。そういうわけで今後に思いを馳せながら、これからを想像して眠りについた。ちょっとえっちぃ想像が出たのは内緒で。
前描いてたやつ(もう消した)をやり直してみようかと。今度は1つの作品に纏めてみます。まずは学園譚ですね。暫くは平和です。どれもそうか。うん、暫くは。
前までと違ってたまにふらっと更新する感じでいきます。




