帰宅、そしてご飯
マンションに着いてからエスカレーターに乗って3階まで上がり廊下を歩く。
大学からずっと同じマンションで同じ部屋、見慣れた廊下からの景色を見ながら自分の部屋まで行くと鍵を開け双葉を迎え入れる。
私が履いているのと別の靴が2つ、スニーカーとサンダルが適当に置かれた玄関、明かりを付けると散らばった部屋が見える。
廊下は寝坊した時に邪魔な物があると遅刻する可能性があるため廊下は散らばっていないが、リビングの方が酷い。
ゴミを貯めるのは本能が許さないのもあってゴミなどはないが、服が散らばっていたりいつからあるのか分からないダンボールの中に雑貨が適当に積まれている。
「ごめんね、汚いけど」
「大丈夫ですよ」
言葉を受け取ってキッチンのレンジの前に行くと2つのグラタンを温める。
時間の猶予があるため長らく使ってなかったテーブルの上に置いてある服とペン類を適当にどっかにやり食べれる場所を作る。
「香織さんの部屋汚い理由わかった気がします」
「…いや、さっきのは時間があまりないから仕方なく」
「ふふ、そういう事なんですね」
初めて見た微笑んだ顔、高校生らしい顔とは言わないけれど私よりも10cm程小さい双葉が笑うのを見ると似合っていると思ってしまう。
そんなことを思っているとレンジから温めが終わった合図がなる。レンジからグラタン、キッチンの棚を開けてスプーンを取るとテーブルに置いて双葉を座らせる。
「ご飯は何日ぶりなの?」
「…2日、3日…くらい?」
「あんたお腹減らなかったの?」
「1日目はしましたけど2日目からはなんとも」
「はぁー、まあいいか、いきなり食べるとお腹びっくりするからゆっくり食べな」
「はい」
グラタンを口に含むと一瞬でその熱さが口に広がり、瞳が大きくなって体がビクッとする。
急いで袋の中からお茶を取り出し口の中の熱さを収める。
それを見ていたのに双葉も同じようにグラタンを口に含む。すぐに私と同じように体をビクッとさせ慌て出す。クスッと笑いだしそうになるが急いで袋の中からもう一本のお茶を取り出して、蓋を外して渡すと一気にゴクゴクと飲まれていく。
「ふふ、何してるの」
「そんなに熱くないと思って……その、ごめんなさい」
「?…謝んなくていいよ……それと敬語じゃなくていいよ」
「え?」
「堅苦しいの嫌だし、それにこれから暮らすのにずっと敬語なのなんか嫌だから」
「…わかりまし、えっと…わかった?」
まだ敬語が抜けきれておらず、疑問形になる双葉を見て少し笑い、またグラタンを食べ始める。
700円くらいのコンビニのグラタン、なのにいつも食べれている物よりも美味しく感じる。
やがて私と双葉どっちもが食べ終わり机の上には空になった紙製の丸い容器とペットボトルが置かれていて、それを回収して近くにあったゴミ箱に入れる。
「んー、お風呂にしよっか」
「はい」
「先入っていいよ」
「?…いいんですか?」
「いいよー、私はお風呂前はゆっくりしたい人間だから」
「その…ありがとうございます」
「うん、後で服持ってくから早く入ってきな」
「わかりました」
双葉が立ち上がりお風呂の場所に歩き出す。それを見送ってから床に寝そべりスマホを弄り始めた。




