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提案

「私の家で暮らす?」


この問いを聞いて目の前にいる子は心底驚いている。

それもそのはずで私と目の前の子は初対面、しかも私は成人済みで相手は未成年。それなのに泊めるというのは100人に聞いたら全員が「おかしい」、「普通は泊めない」と言うに決まっている。

それなのに私は一緒に暮らすかを聞いている。

十数秒程の沈黙が続き外していた視線を彼女に向ける。明らかに迷っている様子。でも1つ大きく息を吐いてから私の目を見てくる。


「いいんですか?」

「どうせ寝てご飯食べるくらいにしか使ってないから1人増えたところで変わんないし」

「……なんで、私と暮らすっていう…」


言語化ができてなくてそこで言葉が止まる。

多分だけど「なんで一緒に暮らしてくれるのか」「なんか見返りが欲しいのか」それが聞きたいのだろう。


「んー、なんでだろ…わかんないけど、そうした方がいいって思ったのと家事苦手だから代わりにやって欲しいんだよね」

「それだけでいいんですか?」

「んー、現状お金に困ってないし…ただ時間が足んないから掃除とか洗濯できてないからそこカバーしてくれる人間が欲しいってだけ」

「そう…なんですね」

「でどう?一緒に暮らす代わりに家事、あとは私寝坊しがちだから起こして欲しい」

「…わかりました」

「おっけ、じゃあ私の家行こっか」


私が立ち上がると目の前の子…

そういえば名前聞いてなかったな。


「そういえば名前なんて言うの?」

「双葉って言います」

「ふたば…私は香織って言うから呼び方は自由にしていいよ、私は呼び捨てで呼ぶけどいいよね?」

「はい…その、お願いします」

「よろしく…じゃっ行くよ」


事務所を出て元来た道を辿っていく。やっぱりだが客は少なくなっていて所々で暇しているキャストがいる。

その中には私の後輩である伊織が居る。

テンションの高い伊織の対応をするのはめんどい、だからすぐに視線を外して帰りたかったのだが目が合ってしまってニコニコしながら近寄られる。


「あれ、香織さん帰ったんじゃないんですか?」

「うげ…なんでいんの?」

「それこっちのセリフですよ!?」

「用があって戻ってきただけ…あんたも指名客居なくなったんなら帰りな…っ!どうしたの?」


伊織と話していると突然腕を引っ張られる。後ろを振り返るとそこには私の腕を掴んだ双葉の姿がある。

驚いて問いかけるが双葉は腕を話して「ごめんなさい」とだけ答えて1歩下がる。


「ん?その子どうしたんですか」

「…えっと、友達の妹、何故かいたから保護してる」

「そーなんですね……香織さん変なことしないでくださいね」

「しないよ、じゃあ帰るから」

「はーい」


会話を終えて歩き出す。

キャスト何人かに見られてしまっているが、伊織が説明してくれるだろうし、私に話しかけてくる人の方が少ないため問い詰められることもないだろう。

夜の街は相変わらず眩しくてでも静かで夜風が吹いていて心地いい。そんな夜道を歩く。


「コンビニ寄るけど、ご飯なに食べたい?」

「なんでもいいです」

「んーじゃあ私グラタン食べたいし、グラタンでいいよね?」

「はい」


そんな会話をしてすぐにコンビニに着く。夜遅いのもあってコンビニは品薄になっているが、目的のグラタンは2個ありそれとお茶も2個取って買う。


「こっから20分位だから我慢してね」

「はい」


タクシーを捕まえることもできるが夜風が気持ちよく、それにもしものために双葉にお店から家までの道を覚えてもらいたい。

そんなことを考えながら帰路に着くのだった。

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