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出会い

「香織さん今日指名お客さん少ないんですね」

「私にだってそういう日はあるよ」


仲のいい後輩のヘルプに入って、お客さんが離席したタイミング出そんな会話をする。

今の時間帯はピークを少し過ぎたあたりで、いつもならまだ指名してくるお客さんが多いのだが今日は開店してから指名してくる人が少なく、ピーク時もいつも作れない暇な時間を30分程度作れてしまうほど指名客が来なかった。


「もう帰ろっかな、今日来てくれる人居なさそうだし」

「えー、今日も閉店後一緒にご飯食べいきましょうよー」

「ご飯食べに行くのはいいけど…さすがに閉店までこのまま暇なのは耐えられない」

「私のヘルプずっと入ってればいいじゃないですか」

「あんたの客に申し訳ないし、あんたずっとハイテンションだから疲れる」

「酷いー」

「酷くない……よいしょっとじゃあ帰るね」

「はーい、明日はご飯食べいきましょうね」


適当に返事をして事務所まで行き、店長さんに話しかける。

普段の素行が良いからか許可を得たためドレスの上からダウンを着て、バッグを持ってお店を出る。

帰る時間が早いとはいえ外は真っ暗で、変わるところといえば周りは営業中のところがほとんどなためいつもより周りが明るい。

1度見回した景色をもう一度見回す。


(なんで店の前に座ってるの?)


さっきは気づかなかったが、看板の下に制服姿のままうずくまってる女の子がいる。

夜の街で、キャバクラ店の前で、制服姿の女の子が座っている。明らか何かしら事情やトラブルを抱えている人なのだろう。

善人でもなければ、話しかける義理も無いはずなのに

なのに_


「あんたなんでこんな所にいんの?」


ゆっくりと顔が上げられ視線が合う。

看板の下にいるという都合上話しかけられるのはわかっていたのか、特に驚きもしていない。


「ごめんなさい、邪魔ですよね」

「邪魔なんて言ってないけど?てか私の質問に答えてくれない?」


傍から見たら夜の街で制服を着ている学生に絡むキャバ嬢という犯罪臭しかしない光景、夜の街、学生、キャバ嬢どこか一つだけ変えても問題なまま。

なかなか話してくれないし視線も合わせてくれない。

ここでもういいやと帰ることもできるが、体がそれをしてくれない。


「はぁー、まあいいや…とりあえずさ店の中に入って」

「え?」

「そこに居られると客が寄り付かなくなるの」

「…わかりました」


制服のままお店の中に入れる訳にも行かないため、着ていたダウンを着せ店の中へ手招きする。

お店の中は1日のピークが過ぎたとはいえ客の話し声、BGMの大きさから声を張らないと聞こえずらい。

何席か抜け事務所の中に入る。

幸いにも人はおらず、ロッカー代わりにバッグが散乱している机の近くまで行くと椅子を用意して座らせて冷蔵庫の中から誰のか分からない未開封の天然水を渡す。


「それで…なんで看板の下にいたの?」

「家出して…3日前まではネカフェとコンビニのご飯買って食べてたんですけどお金が尽きて…泊まる場所探しているうちにあそこにいて…疲れて休んでたら体動かなくなってたんです」

「なるほどね」


家出、しかも未成年となると少しでも関わってしまったら最後まで責任を持って寄り添わなくちゃ行けなくなる。

それだけでなくめんどくさい事に巻き込まれることがほぼほぼ確定してしまう。

まだ私になんの影響がない今の状況で突き放して、私が無意識ではじめたこの偽善的行為を終わらせた方がいい

いいに決まってるのに突き放す言葉が思いつかない、それどころか体全体がその言葉を言うのを拒んでいる。

信じていないが、神様がこの子を突き放すことを許さないのだろう。

いや…私の実体験のせいだろう。

神様のせいにしろ、実体験のせいにしろ、突き放す言葉が思いつかないだけでなく体が言うことを拒んでいるのなら__


「私の家で暮らす?」

「え?」

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