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RATE  作者: 恵 奏香
1章
5/19

1-4.セブンスカード

0時50分




もうすぐ陸が迎えに来る時間だ。




携帯が鳴る。




『はいはい?』




家の前に着いたという連絡だった。




俺はすぐに荷物を持ち靴を履く。




「こんな時間にどこに行くんだ?」




タイミング悪く親に遭遇。




『陸の家に泊まるから』




その一言を残し玄関を出る。そして目の前に停めてある陸の運転する車へ乗り込んだ。




『おまたせ』




かるく一声かける。




「じゃあ、行くか」




陸はエンジンをかけ、ショップへと車を走らせた。




俺の家から陸の家までは車で15分ほど。例のショップはそこから5分以内で着く。




実はもうかなり眠たい。少し寝ると伝え、助手席で仮眠をとることにした。




「着いたぞ」




陸に起こされる。携帯電話で時間を確認する。




『ん?4時?』




家を出て3時間も経っている。そんなに時間がかかるはずは無い。時刻設定がずれてるのか?どうなっているんだ…




「おはようさん」




ヅカの声が聞こえる。ここはどこだ。




起き上がって辺りを見渡すと「SEVENTH CARD」と書かれた看板があった。ここは駐車場のようだ。




『お、おはよう』




ヅカの顔が見えたので俺も返した。




「相変わらずの爆睡だったな」




2時間前にはこの場所についたが、俺はずっと寝ていたと陸は言う。




今度はヅカが話し始める。




「それよりさ、陸から聞いたぞ」




すぐにハジメの事だとわかった。ヅカとハジメはプライベートではまったく接点がない。しかし学校では比較的、会話はしている印象だ。




「とりあえずさ、俺も一緒にオンラインするよ。まー、RATEが手に入ればだけどさ」




そうだった。どのくらいの人が並んでいるのだろう。




しかし、二人がここにいるという事は誰も並んでないという事か。一応、聞いてみる。




『もしかして1番乗り?』




ヅカと陸は首を横に振る。




『えっ?じゃあ早くいかなきゃヤバいんじゃ?』




二人は顔を見合わせた。




「もう終わってるんだよ」




陸が言う。何が終わったのだろうか。まだ店が開くにはかなり時間があるはずだ。




「店の前に箱があってさ、その中に自分の名前を書いた紙を入れるようになってたんだ」




なんてことだ。まさかの抽選とは。




何番目に入れたかもわからないらしい。わざわざ深夜に来た意味がない。俺は寝てたわけだが…




『ってことは、俺の分も書いてくれたの?』




「行こう」




ヅカに連れられ店へ向かう。




遠くからでもわかる大きめの箱。街灯がある為、色は銀だとわかった。とても中を確認できそうもない。




箱には一本足がついていて、下のコンクリートに埋まっている。色以外はまんまポストだ。抽選のために設置されたのかこれ…




入口に着くと張り紙に気付く。




【箱の上にある用紙に名前を記入】【書き終えたら投函してください】




と2行書かれていた。




しかし用紙があっても書くものがないぞ、と思いながら箱の上を見ると、当然の如くボールペンが置いてあった。箱と紐で繋がっている。




用紙も箱の上にクリップで束ねられ置かれている。




この紙に名前を書けばいいんだな…




ふと用紙に目をやると、




【必ず本人が記入してください。不正した場合は購入できません。】




と不気味な文字で書いてあった。




RATEの世界観なのだろうと気にせず、名前を書き終え投函した。




あとは開店時間を待つだけだ。




「しっかし抽選とはなぁ」




ヅカが嘆く。情報通のヅカが知らないとは意外だ。




「あとは運次第だな。とりあえず車で寝るか」




陸の提案に俺とヅカは頷く。




8人乗りのワンボックスカーなので3人で寝るにも快適だった。



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