5-9.CHECKMATE
ボーン ボーン
6時の鐘が鳴る。
『どうやら柱時計は無事なようだ。そりゃそうか。このクエストの軸だしな』
「イッキ、早くしてくれ」
『では1つ目。柱時計と振り分けられたカード番号について。これはもう謎というほどでもなく、1時なら1番、2時なら2番、という風にプレイヤーが減っていく。プレイヤーというよりはNPCだけどな』
「まぁ、そりゃさすがにわかるじゃろ」
『ただし、7時の文字盤だけが消えている。これはおそらく7時になっても7番は消えない。というより、7時までかからないクエストなんじゃ無いか』
「どういう事?」
『実際に今6時の鐘が鳴った。残り1時間もあれば7番の狩人、いやハンターが全滅まで持っていけるだろう』
『2つ目は、フェンリルの存在。フェンリルのターゲットは7枚のカードを持ったキャラクターたち。最初から違和感があったのは、1人氷像になると、しばらく動きがないこと。5時の大工が氷像になる時、実際には見ていないが氷になり、そして粉々に散っただろう。その後に廊下から見えた鍛冶屋。フェンリルは振り落とすでもなく、襲うでもなかった。1体処理するごとにクールタイムがあったのだろう』
「あくまでお前の憶測にすぎんがな…」
『そして最後3つ目。この[失われた7]というクエスト名。最初は柱時計の7だと思うよな』
「うん。文字盤が7だけ無かったからね」
『婆さんのピストルに弾が1発しか入っていなかったのも、[失われた7]だったから、1発で足りるんだよ』
『まず、このクエストのクリア条件は7人が居なくなること。6人目までは自動で消滅。最後の1人をどうするかを最初から委ねられたものなんだ。この婆さんが人狼みたいなもので、俺かヅカどちらかが消されれば、クエスト失敗。反対に、婆さんを消せばクエストクリア』
「そういう事か!『7人を失え』って事だったのか。なんてひどいクエストなんだ…」
『そして外で暴れてるフェンリルは大神だろ?』
「そこまでわかっているなら、ワシを消しな」
『あぁ、あんまり気乗りしないが、これで終わりにさせてもらうよ』
薬師の作った弾丸を装填し、ピストルを向けた。
『ヅカ、離れろ。じゃあな婆さん、チェックメイトだ』
パンッ!
狩人は無抵抗のまま撃たれた。その瞬間、狩人が氷像になる。
「なんてクエストだほんとに。これ、壊さなきゃいけないんだよね?」
ヅカが悔しそうに狩人の氷像に触れる。
パシャーン!
氷像は砕け散った。もう見慣れた光景だ。
俺とヅカの足元に魔法陣が現れた。2人とも吸い込まれていく。
転送された先は、大きなモニターのある部屋だ。クエストに転送される前の場所に戻ってきた。
「クエストクリア、オメデトウゴザイマス。コレヲ、オウケトリクダサイ」
モニター前にクエストカウンターでもらったカードが返却された。
「クリアしたから星が白抜きになってるね」
【探索クエスト☆☆:失われた7】という表記になっている。
『じゃあ、クエスト完了報告に行くとするか』
来た道をそのまま真っ直ぐに戻り、クエストカウンターへ報告した。
「ようこそクエストカウンターへ。クエストの完了報告ですね。お疲れ様でした。今回のクエストの報酬です。お受け取りください」
「なんか報酬って、カード5枚だったね」
何も書かれていない真っ白なカードを5枚受け取った。使い方がわからないな。クエストカウンターで尋ねてみた。
「クエストの報酬は全て同じです。白紙のカードを使用するとランダムでカードが手に入ります。また、通常のカードは売買のみですが、白紙のカードは譲渡も可能です。また、カードの所持限度枚数は50枚ですが、白紙のカードは含まれません。従って、戦闘で敗れた際に失う事もありません」
『なるほど。カードを生成するカードって事か。デッキ内カードとはカウントされないから、失う事もないか…』
「保険として持ってるのもいいかもね」
クエストカウンターの説明は続く。
「白紙のカードは1人5枚まで所持可能です。ただし、白紙のカードを持った状態では、クエストを受けることができないので、注意してください」
『なるほど。白紙のカードだけ沢山集める事はできないか』
「これからどうする?」
『一旦、宿屋にでも行って休憩しようか』




